Dana Holding Corporation 2015年12月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位：百万ドル) |
| 2015年12月期 | 2014年12月期 | 増減率 (%) | 要因 | |
| 全社 | ||||
| 売上高 | 6,060 | 6,617 | (8.4) | 1) |
| 当期純利益 | 180 | 328 | (45.1) | - |
| 部門別売上高 | ||||
| ライトビークル | 2,482 | 2,496 | (0.6) | 2) |
| 商用車 | 1,533 | 1,838 | (16.6) | 3) |
| パワーテクノロジー | 1,005 | 1,052 | (4.5) | 4) |
要因
1) 売上高
-2015年12月期、全社売上高は前年比8.4%減の6,060百万ドル。販売量の増加により65百万ドル売上が増加したが、為替の影響で516百万ドル、ベネズエラ拠点の売却で107百万ドルがそれぞれ減収要因となった。
2) ライトビークル向け売上高
-2015年12月期、ライトビークル向け売上高は前年比0.6%減の2,482百万ドル。為替の影響とベネズエラ拠点の売却が減収の主な要因。北米でのフルフレーム小型トラックの需要増と、欧州・アジア太平洋における小型トラックの需要増が有機的売上の増加に寄与した。
3) 商用車向け売上高
-2015年12月期、商用車向け売上高は前年比16.6%減の1,533百万ドル。為替の影響とブラジル市場の低迷、非効率なサプライチェーンによる市場シェアの喪失が主な要因。北米での強含みな商用車生産による増収が一部補った。
4) パワーテクノロジー向け売上高
-2015年12月期、パワーテクノロジー向け売上高は前年比4.5%減の1,005百万ドル。為替のネガティブな影響を、北米および欧州におけるライトビークルエンジンの需要増が一部補った。
ベネズエラ事業の売却
-2015年1月にベネズエラ子会社 C.A. Danavenを現地の独立系企業 Manufacturing and Logistics Solutions Ltd. (MLS) に売却。C.A. Danavenの事業はMLSが引き継ぎ、DanaはTier 2 としてMLSにアクスル部品を供給する。C.A. DanavenはValenciaとGuacaraに生産工場を持ち、約540名の従業員を抱えていた。 (2015年1月26日付プレスリリースより)
主な受注
| モデル | エンジン (該当すれば) | 搭載部品 | |
| Ford | 2017 「F-250/350/450 Super Duty」 | - | フロントリアドライブシャフト、フロントリアアクスル、チャージエアクーラー、トランスミッションオイルクーラー、ディーゼルフューエルクーラー、ヒートシールド、バルブステムシール、カムカバー |
| 2016 「Galaxy」 | - | エンジンオイルクーラー、トランスミッションオイルクーラー、エキゾーストガスケット、シリンダーヘッドガスケット | |
| 2016 「Taurus」 | - | エンジンオイルクーラー、トランスミッションオイルクーラー | |
| GM | Chevrolet 「Corvette Stingray」 | 6.2L OHV V8 | エンジンオイルクーラー、トランスミッション熱交換機、ディファレンシャル熱交換機 |
| 2016 Chevrolet 「Camaro」 | - | エンジンオイルクーラー、トランスミッションオイルクーラー、ヒートシールド、シリンダーヘッドガスケット、セカンダリーガスケット | |
| 2016 Opel 「Astra」 | - | エンジンオイルクーラー、ヒートシールド、セカンダリーガスケット | |
| 2016 Chevrolet 「Malibu」 | - | エンジンオイルクーラー、バルブステムシール、 ヒートシールド、シリンダーヘッドガスケット | |
| FCA | Dodge 「Challenger SRT Hellcat」 | 6.2L スーパーチャージャー OHV V8 | シリンダーヘッドガスケット、パワーステアリングオイルクーラー |
| 「Ram 1500 EcoDiesel」 | 3.0L ターボディーゼル DOHC V6 | ターボガスケット | |
| 2017 Chrysler 「Town & Country」 | - | エキゾーストガスケット、ヒートシールド | |
| BMW | Mini 「Cooper」 | 1.5L ターボチャージャー DOHC | シリンダーヘッドガスケット、ヒートシールド |
| 2016 「X1」 | - | シリンダーヘッドガスケット、セカンダリーガスケット、エンジンオイルクーラー、ヒートシールド | |
| スバル | 「WRX」 | 2.0L ターボチャージャー DOHC H4 | シリンダーヘッドガスケット |
| Volkswagen | 「Golf」 | 1.8L ターボチャージャー DOHC | エンジンオイルクーラー |
| 2016 「Touran」 | - | トランスミッションガスケット、シリンダーヘッドガスケット、セカンダリーガスケット | |
| 2016 「Tiguan」 | - | シリンダーヘッドガスケット、トランスミッションガスケット、セカンダリーガスケット | |
| Volvo | 「S60」 | 2.0L ターボチャージャー DOHC | ヒートシールド |
| Mercedes-Benz | 2016 「GLC-Class」 | - | シリンダーヘッドガスケット、ヒートシールド、セカンダリーガスケット |
| 2017 「E-Class」 | - | シリンダーヘッドガスケット、ヒートシールド、セカンダリーガスケット | |
| 日産 | 2016 「Titan」 | - | エキゾーストマニホールドシールド、フロントリアドライブシャフト |
| Renault | 2016 「Megane」 | - | エンジンオイルクーラー、シリンダーヘッドガスケット、トランスミッションポンプガスケット、セカンダリーガスケット |
| Jaguar | 2017 「F-Pace」 | - | フロントプロペラシャフト、リアアクスル |
| トヨタ | 2016 「Hilux」 | - | フロントリアドライブシャフト、リアディファレンシャル |
| MAN | VW 「Constellation」 | - | ドライブシャフト |
| Eicher | 「2100 8x2, 6x4 Tipper」 | - | ドライブシャフト |
受賞
-「Long」ブランドのツーサイドチップクーリング製品が 「2016 Automotive News PACE Awards」 のファイナリストに選出された。電気自動車およびハイブリッド車向けパワーインバーターの熱伝導を向上させる。 (2014年10月13日付プレスリリースより)
-Daimler Trucks North America (DTNA) より｢Masters of Quality Award｣を受賞したと発表。今回受賞したのは、米国オハイオ州にあるLima工場で、品質・納入・技術・コストパフォーマンスが評価されたもの。 (2015年9月24日付プレスリリースより)
-米国ミズーリ州のColumbia工場がFordより ｢Gold World Excellence Award｣ を受賞したと発表。同工場は、Ford ｢Explorer｣ および ｢Lincoln MKS｣ 向けにドライブアクスルを納入している。 (2015年6月1日付プレスリリースより)
-Audiと共同開発された、部分的コーティング積層スチールバルブボディトランスミッションセパレータープレートが、「2015 Automotive News PACE Innovation Partnership Award」 を受賞した。多段トランスミッションやCVT、デュアルクラッチトランスミッションなどに使用され、密封性、耐久性および多段性能を向上させる。 Audi 「A4」、「A7」、「Q5」 などに搭載されるトランスミッション用に共同開発されたもの。 (2015年4月21日付プレスリリースより)
2016年12月期の見通し
-売上高 5,800百万 ～ 6,000百万ドル。下振れリスクとしてはさらなる外貨安の影響が懸念される。
研究開発費 |
(単位：百万ドル) |
| 2015年12月期 | 2014年12月期 | 2013年12月期 | |
| 全社 | 183 | 176 | 165 |
| 売上高に占める割合 (%) | 3.0 | 2.7 | 2.4 |
研究開発拠点
-2015年12月末時点で、独立したテクニカル＆エンジニアリングセンター8拠点、その他工場内に8拠点を保有している。
-米国テキサス州のCedar Parkに、同社にとって16番目となるグローバル技術センターを開設したと発表。現在、35名のエンジニアとサポートスタッフが勤務している。今後80名超まで増員する予定。面積4万平方フィートの施設では、ライトビークルおよびオフハイウェイ車向けに、連続可変遊星 (CVP) システムを用いた新しいトランスミッション設計 ｢VariGlide｣ のエンジニアリングと生産に従事する。この ｢VariGlide｣ は、DanaとFallbrook Technologiesの戦略的ライセンス契約のもと開発された。新センターは、エンジニアリングステーション、動力計を設置した試験室、プロトタイプ組立、冶金・計測研究室、機械室などを備えている。 (2015年6月17日付プレスリリースより)
研究開発活動
-2015年のハノーバーメッセにおいて、Auto-Stack COREネットワークの一員として、特にメタリックバイポーラープレート技術に関する内容を発表した。Auto-Stack COREネットワークには14の組織があり、自動車メーカー、部品サプライヤー、調査機関などが参加している。燃料電池産業の中核形成を主導するために、欧州において2013年に設立されたもの。同社のメタリックバイポーラープレート技術は燃料電池スタックのパワー密度を向上させ、同時にコストダウンにも貢献する。 (2015年4月13日付プレスリリースより)
新技術・新製品
デュアルレンジディスコネクトタンデムアクスル
-Class 8の大型車に搭載するタンデムアクスルの新たなコンセプト ｢Spicer AdvanTEK Dual Range Disconnect｣ を発表した。この技術は、エンジンのさらなるダウンスピーディングを可能にし、従来の40,000ポンドのタンデムアクスルに比べてパワートレインの効率を2～5%向上させるという。 (2015年3月26日付プレスリリースより)
シングルリダクションドライブアクスル
-北米仕様の商用車向けにシングルリダクションドライブアクスルの新製品を発表した。この製品は、同社の ｢AdvanTEK｣ 技術やその他の 「Spicer｣ アクスル技術を用いて、軽量化や燃費・耐久性の向上を実現した。6×2および4×2型の新製品は、競合製品に比べて軽量化を実現しており、ギア比も2.05～7.17と幅広く設定した。GAWR 21,000～26,000ポンド、GVWR 80,000～100,000ポンドのClass 7およびClass 8の大型車向けで、2016年に発売される予定。 (2015年3月26日付プレスリリースより)
XFE 75W-90アクスル潤滑油
-Technology & Maintenance Councilの2015年度会合で、「Spicer」 XFE 75W-90アクスル潤滑油を発表した。この潤滑油は新しい合成ギアオイルで、交換期間が500,000マイルと長く燃費向上に貢献する。他のアクスル潤滑油と比べ、摩擦とスピンロスを低減し、また安定温度が低く動作粘度が安定して保たれる。 (2015年2月16日付プレスリリースより)
設備投資額 |
(単位：百万ドル) |
| 2015年12月期 | 2014年12月期 | 2013年12月期 | |
| ライトビークル | 140 | 129 | 82 |
| 商用車 | 33 | 38 | 40 |
| オフハイウェイ | 18 | 23 | 33 |
| パワーテクノロジー | 34 | 30 | 33 |
| 消去他 | 35 | 14 | 21 |
| 合計 | 260 | 234 | 209 |
海外投資
<タイ>
-タイのRayongにギアの生産工場 ｢Dana Spicer Thailand Gear Plant｣ を開設したと発表。タイをはじめとするアジア太平洋地域でライトビークル市場の需要に対応する。新工場では新たに従業員100名を雇用。同社にとってRayongで3番目となる工場の面積は6,450平方メートルで、これによりRayong拠点の総面積は約22,000平方メートルとなった。Rayong工場では、さまざまな顧客に対応した｢Spicer AdvanTEK｣のハイポイドギア、スパイラルベベルリング、ピニオンギアなどを生産する。 (2015年9月15日付プレスリリースより)
