Dana Holding Corporation 2010年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2010年12月期 2009年12月期 増減率(%) 要因
全社
売上高 6,109 5,228 16.9 1)
純利益 35 (454) - -

要因
1)
-米国ドルに対するいくつかの国際通貨が全体的に高まったことにより71百万ドル増。2010年3月上旬、構造製品事業を売却したことにより前年比460百万ドル減。主に市場の拡大、価格、製品ミックスなどに起因する既存事業の売上げは1,270百万ドル増加。これは構造製品事業売却による影響調整後の2009年売上高と比べ、約27%増。

-2010年、北米での売上げは、2009年と比べ、為替と事業売却の影響調整後で592百万ドル、25%増加。これは、主に小型車や中・大型トラック市場でOEM生産が増加したことによる。

-為替の影響を除いた欧州での2010年売上高は、2009年と比べ32%増。これは、各々の市場で生産が堅調だったことと、市場全般にくらべ好調だった一部小型車への需要が高かったことによる。

-国際通貨高のおかげで売上高は、南米では68百万ドル、アジア・太平洋では54百万ドル増。既存事業の売上げ増は、事業売却調整後の2009年と比べ南米で14%、アジア・太平洋で37%それぞれ増。これは主として、これらの地域で2010年の生産レベルが高かったことによる。

受注

-現代・起亜自動車グループの2011年モデルにエンジンオイルクーラーを供給する。現代「Sonata」、現代「Santa Fe」、起亜「Sorento」の2.4L 4気筒エンジンに採用されたもの。オイルクーラーは米国ミシガン州Rochester Hills工場で生産し、同国アラバマ州Montgomeryとジョージア州West Pointにある現代・起亜グループの拠点に納入する計画。(2010年5月10日付プレスリリースより)

-中国の北汽福田汽車(Beiqi Foton Motor)から「Spicer(R)」リアアクスルアッセンブリーを受注したと発表した。SUVおよびピックアップトラックのプラットフォーム (2012年モデル)向け。アクスルの生産は、福建省福州(Fuzhou)に位置する福建台亜汽車工業有限公司(Fujian Spicer Drivetrain System Co., Ltd.)で行う。(2010年8月26日付プレスリリースより)

-水冷式チャージエアクーラーが、Fordのピックアップトラック「F-250」(2011年モデル)に採用された。この車両は「Power Stroke(R)」6.7L V8ターボディーゼルエンジンを搭載。同社はこの製品をカナダのオンタリオ州Mount Forest工場で生産している。(2010年9月21日付プレスリリースより)

事業再編

-米国の大型車両用製品(Heavy Vehicle Products)事業の拠点をオハイオ州Toledoと、ミシガン州Greater Detroitの計2拠点に統合すると発表。これに伴い、ミシガン州Kalamazooおよびノースカロライナ州Statesvilleの拠点を2010 年末までに閉鎖する。(2010年1月28日付プレスリリースより)

売却

-フレーム等の主要車両構造部品事業をメキシコGrupo Proeza傘下のMetalsa, S.A. de C.V.に売却した。対象は米国、ブラジル、カナダ、豪州、アルゼンチンの拠点と英国の合弁会社への持分。ベネズエラの拠点については、2010年後半に 売却完了の見通し。これら事業資産の売却総額は約147百万米ドル。なお、米国テキサス州のLongview工場は売却せず、継続保有する。(2010年3月8日付プレスリリースより)

受賞

-「Ford World Excellence Award」の「Gold Award」を受賞した。ウルグアイMontevideo工場が対象。同工場は小型ピックアップ「Ranger」向けにリアアクスル 「Spicer(R)」を生産し、アルゼンチンBuenos AiresのFord拠点に納入している。Montevideo工場は、2008年2月にFordの品質管理プログラムである「Q1 Award」を獲得。それ以降、不良率ゼロPPMを継続している。(2010年5月3日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
全社 132 119 193

研究開発体制

-インドPuneに2,000万米ドルを投じる技術センターの着工を開始した。同社にとって世界15番目の技術センターになる。同センターでは小型車、商用車などの車両部品の設計・試験・分析を行う。2011年末に予定される本格稼動時には、従業員数550人が見込まれる。同センターは、同社の完全子会 社であるDana India Technical Centre Pvt. Ltd.の傘下となる。1.9ヘクタールの敷地に、工場面積は11,600平方メートル。また、2010年2月には、Anand Automotive Systemsとの合弁会社Spicer India Ltd.が、国内のChakanでハイポイドギア工場の建設を開始した。同工場は2011年上半期に生産開始となる予定。この2箇所が加わると、同社はイ ンドに12拠点を保有することになる。2010年の同国における売上は2億米ドルの見込み。(2010年12月13日付プレスリリースより)

製品開発

コーティングガスケット
-排気システム用コーティングガスケットの新製品「Victor Reinz(R) ThermoGlide 1000(TM)」を開発した。初めて摂氏1000度まで対応可能な性能を実現し、競合のコーティングガスケットに比べて耐熱性を25%向上した。現在、 このガスケットを大手ディーゼルエンジンメーカー向けに生産中。(2010年5月5日付プレスリリースより)

ドライブシャフト
-アルミ製軽量型1ピースドライブシャフトを開発した。この「Spicer(R) Diamond(TM)」は大型商用トラック市場向け。従来のスチール製2ピースドライブシャフトに比べて40%の軽量化に成功。また、部品点数の低減や NVH性能の向上も実現した。(2010年9月21日付プレスリリースより)

シーリング部品
-「Victor Reinz(R) Linear Stopper(TM)」シーリング部品を開発した。小型車および商用車向けで、エキゾーストマニホールド、シリンダーヘッドガスケットに使用される。ま た、エンジンブロック、シール、シリンダーヘッド間の熱移動を低減、潜在的な燃費改善に貢献する。(2010年9月21日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期*
小型車両 63 30 65
パワーテクノロジー 17 29 39
商用車 12 22 62
オフハイウェイ 10 4 25
構造製品 2 9 43
除去、他 16 5 -
合計 120 99 234
*2008年は2月~12月。