Dana 2006年度の動向

ハイライト

業績

(単位:
百万ドル
2006年度 2005年度 増減率
(%)
コメント

総売上高

8,504 8,611 (1.2)

対前年比1.2%減、金額で107百万ドルの減少であった。ドル安効果による売上増94百万ドル、並びに買収効果、特にメキシコの持分子会社であるSpicer S.A.社が以前所有していたアクスル及びドライブシャフト事業の買収効果があったが、売上減が216百万ドル、約2.5%あった。地域的には低調な北米小型車生産に起因し、北米売上が239百万ドル、約4.4%減少した。欧米市場向け売上は、主に新規受注の増加により、260百万ドル増加した。アジア大洋州はGMの子会社である豪州Holden Ltd.とのアクスル供給契約切れにより147百万ドルの大幅減となった。

総純利益

(739) (1,605) -

総純利益損失の主たる要因
-工場閉鎖に伴う整理費用:92
-アクスル事業の営業権損失:46
-その他資産損失:234
-操業停止損失:121

セグメント別売上

ASG

5,567 5,941 (6.3)

AGS部門の主要マーケットである北米小型車の生産が焼く9%落ち込み、その影響により大幅に減少した。

HVTSG

2,914 2,640 10.4

商業車部門は、クラス8の大型生産は10%増、クラス5-7の中型生産は9%増であった北米市場向けに傾注。Off-Highway部門は、比較的好調であった北米と欧州向けに傾注した。

受注
2006年1月: 同社とFord社は、F-150フルサイズピックアップのフレーム一式供給契約を延長した。同社は、30年以上にわたりF-150のフレーム一式を供給している。エンジンとトランスミッションの構成によるが、Ford F-150にはトランスミッションオイルクーラー、ピストンリング、各種ガスケットや液体移送製品も供給している。

2006年2月: 同社は、新設計の2007年型Ford ExpeditionおよびLincoln Navigator、さらに新型Expedition ELとNavigator Lにフレーム一式の供給を継続する契約を獲得したと発表した。同社は、1997年のモデル立ち上げ以来、ExpeditionとNavigatorにフレームを供給しており、更にトランスミッションオイルクーラー、各種ガスケット、流体移送製品も供給している。

2006年7月: 同社はFord Freestyle, Ford Five Hundred 及びMercury Montegoに搭載される3.0L DuratecV-6エンジン用のシリンダーヘッドカバーの供給を開始した。

企業買収
2006年7月:  同社とDesc S.A. de C.V.のメキシコでのジョイント・ベンチャーの解消を完了したと発表した。これにより、同社はメキシコにおけるいくつかのコア事業に関し完全所有を果たした。これらは、同社の新子会社であるDana Holdings Mexico, S. de R.L. de C.V.のもとに運営される。 同社とDescは、ジョイント・ベンチャーであるSpicer S.A. de C.V.を解消し、アクスル、ドライブシャフト、ギアの加工組立て、及び鋳鍛造を行う事業を同社が、これまでの49%から100%の所有のもと行う。一方Descは、これまで51%の所有で行ってきた、トランスミッションとアフタマーケット用ガスケットの事業の完全所有権を取得した。

リストラクチュアリング
破産法第11条に基づく再建計画案における整理統合計画
-同社はいくつかの工場を閉鎖、及び、一部工場の生産を低コストの他国の工場、又は米国内で生産余力のある工場に移転させることとした。この中にはドライブシャフト生産をVirginia州Bristolから最近取得したメキシコの工場へ移転、又、アクスルのアッセンブリ生産をVirginia州Buenoa VistaからKentucky州Dry Ridge、及びColumbia州とMissouri州の工場へ移転させるなどが含まれている。更に、同社はシーリング及びサーマルの米国内3工場及びカナダの1工場、ドライブシャフト生産のNorth Carolina州Chariotte工場、及びカナダのストラクチャー工場を閉鎖する手続きに入った。

-2006年第4四半期中にIndiana州SyracuseとMissouri州Cape Girardeauのアクスル2工場の閉鎖とOntario州Thorold及びGuelphのストラクチャー2工場を閉鎖すると公表した。2007年第1四半期にはWashington州Rentonのドライブシャフト工場を閉鎖しKentucky州Louisville工場に集約させると発した。2007年後半には更に4工場の閉鎖の発表がある模様。

2006年9月: 同社とその子会社2社は、The Boler Companyの子会社であるHendrickson USA, LLC及びその関係会社と、同社のトレーラーアクスル製造事業の資産売買契約に調印したと発表した。この合意条件によると、買い手は米国South Carolina州Lugoff, カナダOntario州Barrie及び中国の無錫にある大型トレーラーのアクスルとサスペンションを生産している資産を、合計約38百万米ドルで取得する。買い手はまた事業に係わる一定の債務を継承する。この取引は、Danaの連邦破産法11条に基づく再建手続きの管轄であるニューヨーク南部地区の米国破産裁判所の承認待ちである。

2006年12月: 2006年12月4日付けで自動車、及びエンジン部品業界大手のマーレ(MAHLE GmbH)と非コア事業であるエンジン部品事業の売却に関し、資産売買契約に合意したと発表した。この合意により、MAHLE GmbHとその関連会社は同社とその関連会社が世界各地で手掛けるエンジン部品事業に係る株式、資産一切を総額約1億5千7百万米ドルで取得する。この取引は、Danaの連邦破産法11条に基づく再建手続きを管轄するニューヨーク南部地区の米国破産裁判所の承認待ち。

開発動向

研究開発費用

(単位:百万ドル)

2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度

研究開発費

221 275 269 252 248

研究開発体制
- R&D事業におけるより創造的な作業環境創出、製品開発時間の短縮、効率の最大化、意思疎通及び情報共有の改善を実施するために、関連する事業の統合を行っている。

- 2006年12月31日時点で同社が運営するASG技術センターは4ヶ所、HVTSGの技術センターは1ヵ所。

技術提携

-同社とGetragは、両社の戦略的協力関係を拡大し電子制御リミテッドスリップデフと電子トルクカップリングの共同開発を行うと発表した。合意条件に基づき、先進トルク伝達装置開発のため、両社の技術者が米国、欧州双方で研究を行なう。この電子駆動デバイスは、DanaのアクスルとGetragのアクスル、トランスアクスル及び動力伝達ユニットに使用され、最終的にライトトラックおよび乗用車プラットフォーム双方に搭載される。


製品開発
新型ドライバーインターフェイス
2006年1月、"Dana Spicer"タイヤ空気圧制御システム(TPCS)にドライバーディスプレーモジュール(DDM)を組み込んで改良したと発表した。DDMは新型のダッシュ取り付け式ロッカースイッチと連動し、変化する路面や地形の下で車の可動性を最大にするためのタイヤ空気圧選定を容易にする。この新しく設計されたドライバーインターフェースは、荷重面で2種類(積載、非積載)、地形選択で3種類(ハイウエイ、オフハイウエイ、非常時)に対応している。ハイウエイモードでは、舗装路を高速運転でき、オフハイウエイモードでは舗装されていない場所で効率的な運転が可能となる。非常時モードでは、補助なしで通り抜けるのは不可能な非常に悪い地形や勾配を走るため、空気圧を極めて低くする。幅広い路面条件や荷重条件下においてスムーズでトラブルと無縁な運転ができるように、6つの個別設定が装備されている。

SmartWave TPMS
2006年2月、同社商用車システムグループが、昨年同社とSmarTire Systems Inc.とが締結したマーケティング協定の成果として、"SmartWave TPMS"タイヤ空気圧モニタリングシステムを発表した。このシステムはリアルタイムに空気圧を監視できるもので、据付式のゲートレーダーを通ったり、手持ち式の装置を使う場合だけでなく、通常の道路上でシステムが稼動する。このシステムは、車外の通信システムと交信し、空気圧や温度といった情報をリアルタイムで送信、必要となるメンテナンススケジュールを事前に提供する。タイヤメーカーの推奨空気圧設定を外れた際には、警告ランプを通じてドライバーに警告を発する。ダッシュディスプレイユニットに各タイヤの状況をグラフで表示することができ、各タイヤの状況がどうなっているかを一目で把握することができる。


先進的エンジンシーリングテクノロジー

2006年5月、付加価値の高い電子特性を持った先進のエンジン・シーリングの生産を開始したと発表した。この製品は、北米の主要エンジン製造会社に供給されるが、クラス2または3のトラック用直列6気筒ディーゼルエンジンに装着するバルブ・カバー・ガスケットである。更に、Danaは2007年からこのエンジン用のバルブ及びブリーザー・カバーの供給も行う事になっている。このガスケットはフューエル・インジェックターの電力回路に、”ウインドー(窓口)”を与える所に特徴がある。必要に応じ、このタイプのガスケットは、ソレノイド、センサー、アクチュエーター、グロー・プラグ用に電源コネクターを供給することもできる。単一または複数のコネクターを使うこの技術により、Danaの電子”ウインドー”ガスケットは、部品点数を削減し、組立て時間とコストを低減して、製造を簡素化することが出来る。複数のサイズのコンダクターへの対応、ワイヤー・ハーネスの統合、高温への耐久力強化にも強みがある。

安全制御技術

2006年6月、日系自動車メーカーの次世代モデルをターゲットにした新技術の提案活動を開始した。センサーを内蔵したシリンダーヘッド用ガスケット、衝撃吸収特性を大幅に高めたプロペラシャフトなどパワートレーンや駆動系ユニット類で、安全に関する制御を高度化する独自の手法にめどをつけた。こうした新技術を生かして、日系メーカーの売上高比率を現在の3倍、30%台に引き上げるとした中期目標の達成を目指す。現在の日系向け売上高は構成比が10%強、約10億ドルとなっている。今後は新製品を軸に提案活動を活発化して、グローバルな成長を実現している日系メーカー向け事業の拡大に結びつける。

設備投資

設備投資

(単位:百万ドル)

2006年度 2005年度 2004年度 2003年度

金額

314 297 329 323