Cummins, Inc. 2010年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2010年12月期 2009年12月期 増減率(%) 要因
売上高
エンジン事業 7,888 6,405 23.2 1)
コンポーネント事業 3,046 2,355 29.3 2)

要因
1)
エンジン事業
エンジン事業は2009年、多くの市場で回復に転じた。特に工業用途、据え置き型発電機、小型および大型トラック市場が拡大。北米の大型トラック市場は縮小した。以下は主な増加要因:

-産業機械市場の売上増は、前年比154%増に急伸した建設用エンジンの世界売上が景気回復と新興国のインフラ整備への投資によるもの。さらに、石炭と汎用製品の需要増により鉱業用機器が同123%増へと急伸した。

-据置型発電市場の売上が増加に転じた。これは発電機市場が活況で、特に高出力エンジンの需要が高いレベルで推移したことによるもの。

-小型トラックの売上も前年比77%増加。これは2009年にChryslerの組織再編や工場閉鎖が影響したもの。

-中型トラックの売上は前年比78%増。この増加は、ブラジルのトラック市場の成長と政府補助金により需要が増加したことによるもの。

-2010年のオンハイウェイ関連製品の売上高は、エンジン事業部門の総売上高の50%を占めた。(2009年は61%)。

2)
コンポーネント事業部門
コンポーネント事業部門は前年に比較して全分野で売上が増加。以下は主な減少要因:

-排気ガス対策事業は北米排ガス規制EPA 2010に対応した後処理システム、および後処理システムに対する欧州の高い需要によるもの。EPA 2007対応の製品売上は減少した。

-ターボチャージャー事業の売上増は、欧州および中国市場の需要が急増したこと、および世界のアフターマーケット市場が回復したことが要因。

-フィルター事業は、独自製品の売上増と世界のアフターマーケット市場の回復により増加。

-燃料システム事業は世界市場で増加。特に中国のOEMメーカー向けの需要が増加したのが主たる原因。一部北米市場の減少により相殺。

受注

-同社のフィルター部門(Cummins Filtration)は、米国のトラック・エンジンメーカーNavistarにクランクケースベンチレーションシステムを供給すると発表。V8ターボディーゼルエンジン「2010 MaxxForce 7」に採用されたもの。(2010年6月16日付プレスリリースより)

-トラック用エンジンをChryslerに供給すると発表。「Dodge Ram Heavy Duty」、「Dodge Ram Chassis Cab」搭載用の6.7Lターボディーゼルエンジン供給に関して、複数年契約を締結したもの。同社は1989年から「Dodge Ram」向けにターボディーゼルエンジンを納入している。累計出荷数は170万基を越えており、現在、「Ram」全モデルの8割以上に同社製ターボディーゼルエンジンが採用されている。(2010年2月3日プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
全社 414 362

422

エンジン 263 241 286
コンポーネント 114 88 95

研究開発体制

-全世界に17の技術センターを保有。

技術提携

-同社はVanDyne SuperTurbo, Inc.(米国)を「Super Truck」プログラムの提携パートナーに選定した。VanDyneは自動車用「SuperTurbocharger」の開発・生産を行っている。今回、 Cummins製エンジン向け「SuperTurbocharger」を共同開発することで合意。「Super Truck」プログラムはクラス8(大型)トラック用の低燃費エンジン開発を行うもの。なお、同社はこのプロジェクトに関連し、米国エネルギー 省(DOE)から39百万米ドルの助成金を獲得している。(2010年8月16日付プレスリリースより)

-同社はロシアのトラックメーカーKAMAZとの間で、技術供与に関して基本合意した。両社の合弁会社であるZAO Cummins KAMA(ロシア)に対して、Cumminsは「Euro VI」対応エミッション技術を提供する。この同意に基づき、ZAO Cummins KAMAで「Euro VI」対応エンジンを生産し、ロシア市場向けに供給する計画。「Euro VI」は2018年までにロシアに導入される予定となっている。同社とKAMAZは2006年、折半出資により「ZAO Cummins KAMA」を設立。現在タタールスタン共和国Chelny工場で、ディーゼルエンジンを月間約1,000基生産中。これらのエンジンはKAMAZをはじめ とするロシアのカーメーカーに納入している。(2010年6月24日付プレスリリースより)

-Eatonは、Cumminsが同社を「Super Truck」プログラムの提携パートナーに選定したと発表。「Super Truck」プログラムは、クラス8トラック用の低燃費・クリーンディーゼルエンジンの開発に主眼を置いたもの。Cumminsはこのプロジェクトに関連 し、米国エネルギー省(DOE)から39百万ドルの助成金を獲得しており、PACCAR傘下のトラックメーカーPeterbilt Motors Companyと共同でエンジン開発を行う。Eatonは、オートメーテッドトランスミッションの供給を担う。(2010年1月22日付プレスリリースよ り)

-同社は、米国エネルギー省(DOE)から総額約54百万ドルの助成金を獲得した。うち約39百万ドルは「Super Truck」プログラムに関連しての受給。同社はPACCAR傘下のPeterbilt Motors Companyと提携し、クラス8トラック用の低燃費・クリーンディーゼルエンジンの開発を行う。残る15百万ドルは小型車両(LD)の燃費向上を図る 「ATP-LD」プログラム関連の助成金で、同社はパワートレインの開発を担う。(2010年1月11日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
エンジン 197 207 331
発電 53 34 57
コンポーネント 78 59 139
物流 36 10 16
合計 364 310 543

設備投資

-同社は2011年初頭に、トルコIzmirのエーゲ自由貿易地域で新工場の着工を開始すると発表した。はじめにフィルター工場を建設、その後、 発電機事業部門のオルタネーター工場を建設する計画。100万平方フィートの工場面積で、2012年初めに生産開始が見込まれる。従業員は5年以内に800名になる見通し。同社は同工場とその関連設備に7000万米ドルを投入する。なお、トルコで生産される製品のうち85%は欧州、中東、アジア、アフ リカへ輸出される予定。(2010年12月8日付プレスリリースより)

-同社の子会社Cummins Turbo Technologies Limited (CTT)は、米国サウスカロライナ州Charleston地区の生産拠点をPalmetto工場に一本化した。統合開始から完了までの18ヶ月に同社は 2.7百万米ドルを投資し、ターボチャージャーの組立ラインを新設。その結果、同工場のターボチャージャー生産能力は年間70万基となる。(2010年 10月21日付プレスリリースより)