BorgWarner Inc. 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2016年
12月期
2015年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 9,071.0 8,023.2 13.1 1)
営業利益 225.9 939.7 (76.0) 2)
エンジン部門
売上高 5,590.1 5,500.0 1.6 3)
ドライブトレイン部門
売上高 3,523.7 2,556.7 37.8 4)


要因
1) 売上高
-2016年12月期の売上高は前年比13.1%増の9,071.0百万ドル。通貨安と2015年のRemy International買収の影響を除くと、前年比5.2%増。

2) 営業利益
-2016年12月期の営業利益は前年比76.0%減の225.9百万ドル。主な減益要因は、アスベスト関連クレームやRemy International買収に伴う損失、再編コストおよび資産の減価償却など。

3) エンジン部門

-2016年12月期のエンジン部門の売上高は前年比1.6%増の5,590.1百万ドル。為替のマイナス影響を除くと、前年比3.1%増。ライトビークル向けターボチャージャーとエンジンタイミングシステムの売上増加が貢献した。

4) ドライブトレイン部門

-2016年12月期のドライブトレイン部門の売上高は前年比37.8%増の3,523.7百万ドル。為替のマイナス影響を除くと、前年比9.9%増。とくに全輪駆動 (AWD) システムの売上増加が貢献した。

再編

-2016年8月、Divgi-Warner Pvtの株式60%を合弁相手先のDivgi Metalwares、Ltd.に約5.4百万ドルで売却。Divgi-Warnerはインドでトランスファーケースとシンクロナイザーリングを開発、製造している。

受注

-2016年11月、「eGearDrive」 トランスミッションを搭載した電動ドライブモジュール (eDM) を中国自動車メーカーの電気自動車 (EV) 2モデルに供給すると発表した。2017年夏に生産開始予定。同社のeDMはEVまたはP4タイプのハイブリッド車に供給される。このeDMは電動モーターとトランスミッションを統合設計することにより、重量・コスト・スペースが削減される。「eGearDrive」 トランスミッションは高効率なギアトレインとコンパクトで軽量化された設計により、バッテリー容量を削減し、航続距離の延長に貢献する。(2016年11月16日付プレスリリースより)

-同社は中国の大手自動車メーカーに電動式補助サーマルクーラントポンプ (ATCP) を納入する。ターボエンジン搭載のコンパクトSUV向けとなる。このブラシレス式クーラントポンプは、液漏れがなく低騒音の設計で、マイクロコントローラーが内蔵されているのが特徴。補助回路を用いることで、エンジン停止時もクーラントの流れを維持できるため、補助部品を最適な動作温度に保ち、部品の寿命化につながるという。これにより、燃費向上および排出ガス低減に貢献するとしている。(2016年1月18日付プレスリリースより)

-2016年にプレスリリースで発表した主な受注は以下の通り。
<エンジン部門>

製品 搭載モデル
(エンジン)
備考
Wastegate ハイブリッド車用ターボチャージャー BYD 「Qin」, 「Song」, 「Tang」, 「Yuan」 ハイブリッド車用1.5Lおよび2.0L直噴ガソリンエンジンに採用
エンジンタイミングシステム Alfa Romeo 「Giulia」, 「Giulia Veloce」 次世代サイレントタイミングチェーンが組み込まれ、軽量化と摩擦低減により燃費を改善する
カムトルク駆動型 (CTA) フェーザーおよびエンジンタイミングチェーンシステムを含む可変カムタイミング (VCT) 技術 Genesis 「EQ900」, 「G90」, 「G80」, 現代 「Aslan」, 起亜 「K7/Cadenza」 現代の 「Kappa」、「Gamma」、「Theta」、「Lambda」 エンジン向けににタイミングチェーンを供給
セラミックグロープラグ採用のディーゼル用コールドスタートシステム

双竜 「Tivoli」, 「Korando」, 「Korando Sport」

-
可変タービンジオメトリー (VTG) ターボチャージャー 起亜 「Sorento」, 「Sportage」 現代・起亜の「Euro 6」対応ディーゼルエンジンに採用
EGRバルブ 現代 「Ioniq」, Kia 「Niro」 排出ガス低減、3%の燃費向上に貢献
eGearDrive トランスミッション 吉利 「EC7/Emgrand EV」 高効率な歯車列により航続距離伸長や低騒音での稼働に貢献
サイレントチェーン スズキ 「Solio Hybrid」 -


<ドライブトレイン部門>

製品 搭載モデル
(トランスミッション)
備考
マルチセグメントのフリクションプレート技術 Ford 「F-150 Raptor」 2017年モデル, Ford 「F-150」 3.5L EcoBoost エンジン搭載モデル Fordの新型10速ATに採用
クラッチモジュール 起亜 「K7/Cadenza」, 現代 「Aslan」 前輪駆動8速ATに採用
プリエンプティブ・オンデマンド・トランスファーケース Jaguar 「XF」, 「XE」, 「F-PACE」 遠心式電動油圧アクチュエーターの圧力でクラッチパックを押し込み、フロントアクスルとリアアクスルにトルクを適宜配分する。

受賞

-同社は 「Volkswagen Future Automotive Supply Tracks (FAST)」 プログラムにおいて、ターボチャージャーの戦略的パートナーに選出された。(2016年5月23日付プレスリリースより)

2017年12月期の見通し

-2017年12月期の売上高は前年比3.5~6.0%増となる見通し。

研究開発費

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
合計 343.2 307.4 336.2
売上に対する比率 (%) 3.8 3.8 4.0

-上記3年間に研究開発費全体の5%を超える個別の研究開発案件はない。

-研究開発費は毎年、売上高に対して約4%を計上する見込み。

研究開発拠点

-2016年11月、スペインのVigoにあるスペインテクニカルセンター (STC) で、研究開発施設の拡張を行ったと発表した。1,630 平方メートルのオフィススペースおよびテストエリアに先進技術開発用の試験装置を備え、85名の従業員が就業する見通し。(2016年11月17日付プレスリリースより)

特許

-2015年12月末時点、同社は5,600件以上の特許および特許出願を保有している。

設備投資額

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
合計 500.6 577.3 563.0
売上に対する比率 (%) 5.5 7.2 6.8

海外投資

<タイ>
-2016年10月、タイのラヨーン県にあるEastern Seaboard工業団地内において新工場の建設を開始したと発表した。同社が全額出資する。面積は6,500平方メートルで、アジアに拠点を持つグローバル自動車メーカー向けにターボチャージャーを生産する予定。完成は2017年5月を予定している。(2016年10月6日付プレスリリースより)