Arconic Inc. (旧 Alcoa, Inc.のValue-Add事業部門) 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 増減率 (%) 要因
売上高 12,394 12,413 (0.2) 1)
営業利益 (941) (322) - -
セグメント別売上高
グローバル圧延製品 4,864 5,253 (7.4) 2)
エンジニアリング製品およびソリューション 5,728 5,342 7.2 3)
輸送・建設向けソリューション 1,802 1,882 (4.3) 4)

要因
1) 売上高
-201612月期の同社の売上高は前年から 0.2% に減少し、12,394百万ドルを計上。2015年にエンジニアリング製品およびソリューション部門が買収した2社、そしてグローバル圧延製品部門は自動車生産台数の増加により好調であったが、米テネシー州のパッケージング工場の生産ボリュームの減少やメタル価格の減少があり、また全てのセグメントで価格と製品の調整がうまくいかず、マイナス影響となった。

2) グローバル圧延製品の売上
-グローバル圧延製品の売上高は、2016年12月期で前年比7.4%の減少となり、4,864百万ドルを計上。テネシー州包装事業の収縮は、自動車以外の市場でのアルミニウム価格の低下と需要増加にも寄与したが、売上減少の主な原因となった。これらの減少は、自動車市場における販売台数の増加によって部分的に補われた。


3) エンジニアリング製品およびソリューションの売上
-エンジニアリング製品およびソリューションは、2016年12月期で前年比 7.2%の増加となり、5,728百万ドルの売上を計上。増加要因としては、買収した事業の売上高の増加および産業ガスタービンの最終市場における需要の増加が含まれる。石油、ガス、商業輸送の最終市場における販売台数の減少は、部分的に利益を打ち消した。


4) 輸送・建設向けソリューションの売上
-2016年12月期における輸送・建設ソリューション部門の売上高は、前年比4.3%に減少となり、1,802百万ドルを計上。北米の商業輸送の最終市場における需要の減少は、建築および建設の最終市場からの需要の増加を打ち消した。

組織変更

-Alcoa Inc.は11月1日付で2つの独立企業 「Arconic Inc.」 と 「Alcoa Corporation」 に分割したと発表した。新生Arconicはマルチ材料、精密エンジニアリングおよび高度製造技術の業界リーダーとして、ニューヨーク証券取引所に上場。分割に伴い、ArconicはAlcoaの株式19.9%を保有する。Arconicに移管された事業の2015年売上規模は約125億ドルで、内訳は航空・自動車部門が約65%、産業・建設部門が残り35%を占める。Arconicは軽量化の需要が高まる北米自動車市場向けにアルミ接合技術を開発。同社では北米自動車向けアルミ板材の売上高が2013年の229百万ドルから2018年には1,300百万ドル、6倍に成長すると予想している。同社は北米における自動車事業売上高の96%を市場シェアトップないし第2位の製品で占めるという。また、全社売上高の約40%を占める航空事業では、機体構造ならびにエンジン向けのエンジニアリング製品・ソリューションを供給。同社は金属製およびCFRP製航空機の構造部品における業界リーダーとなっている。(2016年11月1日付プレスリリースより)

-2015年9月、会社を2つの独立した上場企業に分割する計画を発表した。そのうち1社は川上部門を担い (Upstream Company)、グローバル一次製品 (Global Primary Products) 部門を構成するボーキサイト、アルミナ、アルミニウム、鋳造、エネルギーの5分野から成る予定。世界で64拠点を保有し、従業員数は約17,000名を見込んでいる。同事業の2015年6月末までの1年間の売上総額は132億ドルだった。一方、高付加価値製品を手がけるもう1社 (Value-Add Company) は、グローバル圧延製品、エンジニアリング製品およびソリューション、輸送・建設向けソリューションなどの分野を含む。世界で157拠点を保有し、従業員数は約43,000名となる見込み。2015年6月末までの1年間の売上総額145億ドル。2016年下期に分割の手続きを完了する計画。 (2015年9月28日付プレスリリースより)


受注

-同社は、過去1年間に北米、南米、欧州、アジア地域の顧客と締結した鍛造アルミホイールに関する長期契約額が、450百万ドル以上に達したと発表した。最大規模の契約はPACCARとの契約で、ArconicPACCARのトラック向けにAlcoa鍛造アルミホイールを供給する。(20161213日付プレスリリースより)

見通し

-同社は2017年12月期に118億ドルから124億ドルの間の収益を目標としており、2019年までに7%から8%の年平均成長率(CAGR)を目指す。(2016年12月14日付プレスリリースより)



研究開発費

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
合計 132 169 123


-2016年12月期の研究開発費の減少は、主に2015年に完成したテキサス州サンアントニオにあるマイクロミル施設の支出の減少によるもの。

研究開発拠点

-同社は2016年にペンシルバニア州ニューケンジントンのArconic技術センターで新しい粉体生産施設を完成させた。その施設は、アルミニウム、ニッケルおよびチタン合金の開発に注力。



製品開発

-2016年12月期の同社の研究開発活動は、付加製造へのさらなる投資と高度な3D印刷設計および製造技術の開発に注力。


設備投資額

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
合計 1,125 1,180 1,219


-同社は2017年12月期に、設備投資として650百万ドル以下の投資を計画。