SKF 2007年度の動向

ハイライト

業績

(単位:百万SEK) 2007
年度
2006
年度
増減率 要因
全社
売上高 58,559 53,101 10.3% -
営業利益 7,539 6,707 12.4% -
自動車部門
売上高 19,617 17,869 9.8% 売上高は増加。この増加の内訳は、営業内による要因が8.3%、営業外による要因が3.8%、為替差損による要因が-2.3%。
・構造による増加は、2006年度のEconomos Austria GmbHとMacrotech Polyseal社の買収並びに、主に北米・ラテンアメリカの通貨変動の影響が要因。
・欧州および北米における乗用車並びに小型トラックメーカーへの販売は増加。
・大型トラックメーカーへの販売は欧州では大幅増となったが、北米では大幅減。
・自動車サービス部品市場への販売は、欧州で大幅増となったが、北米では微増となった。アジアでは大幅増。
営業利益 1,154 946 22.0%

2007年度の新規受注
■自動車部門

・ホイールベアリング製品では、 中国の主要車両メーカー、上海汽車工業 (Shanghai Automotive Industry) と奇瑞汽車 (Chery)の2社から受注。前者からは 新規プラットフォーム向け製品の受注を獲得し、後者からは新モデル2車種向け製品の追加受注を獲得 。
・欧州および北米におけるホイールベアリング製品では、Renaul向けに新型Renault Master用プラットフォームを、Fiat向けに新型Alfa Romeo用プラットフォームをそれぞれ供給し、北米ではFordの新世代Focus向けに製品を供給する。
・Piaggioのインド製四輪小型車向けホイールハブユニットを供給する。


■トラック部門
・デュアルディスクブレーキと固定キャリパーを装備した、トラック用の統合トラックハブユニットをHaldexと共同開発した。 この製品はメンテナンスフリーで100万kmまでの走行に耐えられるように設計され ている。この製品では、ブレーキ温度の低下、従来より低いブレーキ力での制動の確保、メンテナンス間隔の延長、取り付けスペースの小型化など、多数のメリットが得られる。 この製品は、ドイツのトレーラー用アクスルメーカー、GIGANT社で初めて採用された。
-最近米国のトレーラーアクスルメーカー、Hendrickson社向けにSKFホイールエンドモニターの生産を開始した。これにより、不意にトレーラーが動かなくなるトラブルや予防保守およびトレーラーベアリングの不要な交換を削減できる。
・Tata MotorsやMahindraなどの主要トラックメーカーから新規受注を獲得 。


企業買収

・2007年6月、同社は中国生産子会社SKF (上海) Bearing Company Ltd.の未取得分株式40%を取得、完全子会社化した。SKF (上海) Bearing Company Ltd.は、主として中国国内市場向けに高性能深溝ボールベアリング生産を行うべく、2002年に、同社とShanghai Electric Group Corporationとの合弁会社として設立された。同社工場は現在フル稼働中で、従業員は200名余。

リストラクチュアリング
■自動車部門
2007年12月、北米市場における競争力を維持するために、米国Glasgowの生産拠点を閉鎖し、生産機能をメキシコ Pueblaの工場に移転すると発表した。

■トラック部門

小型テーパーローラーベアリングの生産をドイツからブラジルおよびインドの既存の工場に移管する計画は2007年度も継続して実施されており、アジアや東欧地域からの調達部品率を高める計画も進行中。

売却
・2007年3月、同社は独Hay Speed Umformtechnik GmbHとの間で、同社の独Luchow工場の鍛造事業売却に関する合意書を締結した。売却額は33百万ドルユーロで、SKFが手にする売却益は4百万ユーロ強となる見込み。Luchow鍛造工場の現従業員数は222名で、2006年の売上高は74百万ユーロ。このたびの鍛造事業売却は、非コア部品事業売却を進めるSKFグループの生産戦略に沿ったもの。鍛造事業は自動車部門の一つ。

開発動向

研究開発費

2007
年度
2006
年度
2005
年度
2004
年度
2003
年度
研究開発費 (百万SEK) 900 875 837 710 871
特許数 (ファーストファイル件数) 186 176 129 144 171

製品開発
■自動車部門
高エネルギー効率ベアリング (Energy-Efficient Bearings)
エネルギー-効率の高い新製品のベアリングを発表した。 このベアリングでは、従来の耐用年数を維持しながら、ベアリングの摩擦を30%以上低減する。 また、省エネルギーと環境に対するメリットにより、維持費も低減。 2008年度に納 入先のメーカーが発表する、エネルギー-効率に優れた電気自動車では、このベアリングによって摩擦損失が50%低減されている。

ハイブリッドピニオンユニット
ハイブリッドピニオンユニットはテーパーローラーベアリングと角接触ボールベアリングで構成され、これによりシステム の剛性が改善され、動力損失が低減される。また、軌道面を最適化し、潤滑性能の信頼性を向上させたことで、ベアリングの長寿命化を実現。 この新ソリューションでは既存のソリューションと比較して摩擦を30%低減できる。 このハイブリッドピニオンユニットは、大手トランスミッションメーカーで初めて採用される。


■トラック部門
ユニバーサルジョイント:
走行距離100万キロメートルまでメンテナンスフリーを実現した大型トラック向けのユニバーサルジョイントを開発。回転・しゅう動部の気密性を高める工夫などを施して潤滑性能の劣化を徹底的に抑え、既存の軸受けと比べ整備のインターバルを約10倍に長期化した。

技術提携
・ブレーキ制御 系の状態監視システムをKnorr-Bremseと共同開発するプロジェクトを開始。

設備投資

海外投資
インド
・2007年4月、同社のインド子会社SKF India Ltdが、印ウッタランチャル州・Haridwarに、ボールベアリングの新工場を建設すると発表。投資総額は約2億5千万クローネ。敷地面積は、11,000平米におよぶ新工場の新設により、インドでの同社のボールベアリングの生産能力が従来より4割近くアップする。同工場は、2008年3月の稼動を目指す。300余名の従業員を雇用予定。

オーストリア
・Judenburg (オーストリア) のシール生産拠点を拡張。