(株) 豊田自動織機 2015年3月期の動向

ハイライト

業績

 (単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 増減率 (%) 要因
全社
売上高 2,166,661 2,007,856 7.9 -
営業利益 117,574 107,691 9.2 -
経常利益 170,827 138,133 23.7 -
当期純利益 115,263 91,705 25.7 -
自動車
売上高 1,050,713 1,006,678 4.4 1)
営業利益 35,957 35,175 2.2 -


自動車部門
1) 国内市場は低迷したものの、海外市場では中国・北米の拡大に加え、欧州が回復するなど、世界市場は成長。

車両事業

-トヨタ 「RAV4」 は増加したものの、「Vitz」が減少し、売上高は前年比2%減。

エンジン事業
-KD型ディーゼルエンジンやAR型ガソリンエンジンが減少したことにより、売上高は前年比5%減。

カーエアコン用コンプレッサー事業
-国内では減少したものの、北米・中国などで増加したことにより、売上高は前年比18%増。

電子機器・鋳造品ほか
-ともに生産量が増加したことにより、売上高は前年比22%増。

トヨタグループ再編を受け、新型ディーゼルエンジン (DE) を開発

-トヨタ自動車は2014年11月、ディーゼルエンジン (DE)、マニュアルトランスミッション (MT) などの開発・生産事業を系列サプライヤーに集約・移管すると発表。DEの開発、生産は豊田自動織機、MTはアイシン・エーアイ (アイシンAI、愛知県西尾市) に集約する。2016年以降、順次、実施する。さらにデンソーアイシン精機が中部地区で実施しているブレーキ部品の生産をアイシングループのアドヴィックスに集約する。アイシングループは2016年1月をめどに愛知県半田市に新工場を建設し、移管分の受け皿を整える。トヨタはパワートレーン事業の再編によって生まれる経営資源を環境、安全分野の技術開発に振り向け、競争力を高める。 (2014年11月29日付日刊自動車新聞より)

-新型ディーゼルエンジン (DE) の生産を東知多工場 (愛知県半田市) で6月から開始したと発表。新たなDEとなる「1GD-FTV」は排気量2.8リットルの直噴ターボエンジンで、同社もトヨタ自動車の委託を受けて開発に参加した。従来型DEに比べて熱効率や環境性能の向上を実現しており、17日に同社が一部改良した 「Land Cruiser Prado」 などに搭載されている。 (2015年6月23日付日刊自動車新聞より)

燃料電池車 (FCV) 向け部品を増産

-燃料電池車 (FCV) 向けエアーコンプレッサーの増産準備に着手。世界初の6葉ヘリカルルーツ式ローターを高効率で量産するため、新たな生産技術を確立する。今後1、2年の間に大府工場 (愛知県大府市) に加工ラインを新設する。現在、ヘリカルルーツ式ローターは丸棒状のアルミ素材をホブ盤で総切削している。これに対し、切削前に素材に鍛造加工を施して生産効率を向上。月100~1千台規模の量産に適した体制を整える。豊田自動織機はFCV部品の供給を開始したばかりだが、早くも増産に向けた動きが活発になろうとしている。 (2015年1月9日付日刊自動車新聞より)

-トヨタ自動車の新型燃料電池車 (FCV) 「MIRAI (ミライ)」向けに新型のエアコンプレッサーと水素循環ポンプを開発したと発表。エアコンプレッサーはFCスタックに酸素を送り込むために使用するもので、世界初の6葉ヘリカルルーツ式を採用。小容量から大容量の空気流量に対応し、高効率の吸気システムを確立した。水素循環ポンプはFCスタックと一体化することで、小型化と軽量化を実現した。効率改善を図ることにより、FCシステムを加湿器レスとすることにも貢献している。 (2014年11月20日付日刊自動車新聞より)

ISO26262のソフトウェア開発プロセス認証取得

-自動車の機能安全分野の国際規格、ISO26262のソフトウエア開発プロセス認証を取得したと発表。独テュフズード社の審査を受け、認証を取得した。認証取得を通じて、車載電子制御システム向けソフトウエア開発のプロセスが同規格の最高安全水準に当たるASIL-Dまで対応できることを示した。豊田自動織機は自動車向けのエレクトロニクス部品を部品事業の拡販製品と位置づけ、製品開発に取り組んでいる。国際規格の取得は同分野で自動車メーカーにソフトウエア開発の技術水準を客観的に示す上で貢献することになる。 (2015年1月16日付日刊自動車新聞より)

 

2016年3月期の見通し

 (単位:百万円)
  2016年3月期
(見通し)
2015年3月期 増減率 (%)
売上高 2,200,000 2,166,661 1.5
-自動車 1,051,000 1,050,713 0.0
営業利益 125,000 117,574 6.3
経常利益 176,000 170,827 3.0
当期純利益 119,000 115,263 3.2

 

自動車部門の製品別売上高見通し

 (単位:百万円)
  2016年3月期
(見通し)
2015年3月期 増減率 (%)
車両 455,000 459,000 (0.9)
エンジン 178,000 192,000 (7.3)
コンプレッサー 348,000 324,600 7.2
鋳造品・電子機器他 70,000 74,900 (6.6)

(各セグメント売上高は外部顧客に対する金額)


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

中期的な取り組み

ソリューション: 産業車両
-フォークリフトの主要な市場でシェアを拡大。
-燃料電池フォークリフトの開発
 ・行政と共同で実証実験を実施 (関西国際空港 2015年~)

キーコンポーネンツ: コンプレッサー
-固定容量タイプ: 新興国向けモデルの開発
-可変容量タイプ: 省燃費性能を高めた次世代タイプの開発
-電動タイプ: 省燃費、小型・軽量、静粛性の向上
-日本のマザー工場を中心に、生産拠点をグローバルに展開。

モビリティ: エンジン
-トヨタグループのディーゼルエンジン事業 (開発・生産) を集約。 

研究開発費

 (単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 47,785 46,326 39,057
-自動車部門 25,955 27,385 23,817

研究開発拠点

-愛知県大府市の共和地区に、コーポレート・センターに属する「研究開発センター」があり、各事業部の将来製品のキーとなるような要素技術の先行開発はもとより、新事業製品の芽となるような先行研究や、材料などの共通基盤技術開発にも取り組んでいる。

開発テーマ (例)

  • 燃料電池用各種機能部品
  • クリーン物流用非接触給電技術
  • カーエアコン用コンプレッサー向け超摺動性コーティング
  • 3次元複合織物技術

製品開発

自動車部門

  • 新型ディーゼルエンジン
  • ターボチャージャー
  • 高効率な可変容量型コンプレッサー
  • 小型車・軽自動車向けの固定容量型コンプレッサー
  • ハイブリッド車向けの電動コンプレッサー
  • トヨタ自動車の燃料電池車 「MIRAI」 向けの重要部品
  • ハイブリッド車向けの電源機器

ハイブリッド車向け次世代DC-DCコンバーター
-ハイブリッド車 (HV) 用DC-DCコンバーターの次世代品を開発。トヨタ自動車が設計改革「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー (TNGA)」に基づいて製品化。複数車種をまたいで搭載可能とし、国内の自動組立、海外の手動組立に柔軟に対応できる仕様とした。現行の 「Prius」 に搭載している部品に対し、重量を6割、体積を5割低減した。部品点数も2割減らした。こうした成果が評価を受け、トヨタからTNGA推進・優秀賞を受賞した。2015年度下期以降、安城工場(愛知県安城市)で立ち上げ、供給を開始する。(2015年4月28日付日刊自動車新聞より)

小型車・軽自動車向けの固定容量型コンプレッサー
-固定容量型のスクロール式コンプレッサーの新製品を開発し、ダイハツ工業向けに供給を開始したと発表。従来型では約50点あった構成部品を3点削減。5%の軽量化により、燃費改善を図った。さらに設備などを内製化し、高精度の部品加工を実現した。これにより、音圧を6%低減し、静粛性を向上したとしている。東浦工場 (愛知県東浦町) に新ラインを設置し、生産を開始した。ダイハツが12月に発売した新型 「Move」 向けに供給している。今後は幅広い自動車メーカーに提案し、拡販につなげる。 (2015年2月10日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

 (単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 179,978 157,382 124,282
-自動車部門 88,815 72,566 63,005

中国市場向けコンプレッサーの生産拡大

<中国>
-2016年度をめどに中国のコンプレッサー生産を現状に比べ約2倍の年400万台規模に拡大すると発表。中国市場の需要拡大に対応して供給能力を高めることで、拡販に結びつける。2013年12月に山東省の合弁生産会社である烟台首鋼豊田工業空調圧縮機 (YST) を子会社化した。2016年度までにYSTの生産能力を現状の200万台から250万台に引き上げる。2014年秋には江蘇省に設置する生産子会社で年150万台の能力を新工場を稼働させる。これにより拡販を実現し、2016年度までに現地での販売シェアを現状の10%から15%に引き上げる。 (2014年1月17日付日刊自動車新聞より)

設備投資の主な内訳 (自動車部門)

 (単位:百万円)
会社名 2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
同社 30,318 20,925 19,101
東海精機 (株) 3,795 2,237 1,356
東久 (株) 1,452 N.A. 1,536
イヅミ工業 (株) 1,027 1,050 1,086
豊田工業 (昆山) 有限公司
[Toyota Industry (Kunshan) Co., Ltd.]
2,226 5,112 1,048
豊田工業電装空調圧縮機 (昆山) 有限公司
[TD Automotive Compressor Kunshan Co., Ltd.]
6,786 N.A. N.A.
烟台首鋼豊田工業空調圧縮機有限公司
[Yantai Shougang TD Automotive Compressor Co., Ltd.]
1,557 N.A. N.A.
Toyota Industries Compressor Parts America 10,230 16,248 10,292
Kirloskar Toyoda Textile Machinery Pvt. Ltd. 11,415 1,653 N.A.
TD Deutsche Klimakompressor GmbH 1,339 3,416 9,211
Michigan Automotive Compressor, Inc. 6,323 11,039 9,737
TD Automotive Compressor Indonesia 7,960 4,208 3,137
TD Automotive Compressor Georgia, LLC 2,980 4,095 4,614

設備の新設 (自動車部門)

 (2015年3月31日現在)
事業所名 / 会社名
(所在地)
設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了予定
連結財務諸表提出会社
碧南工場
(愛知県碧南市)
ガソリンおよびディーゼルエンジン製造設備 5,927 2015年4月 2016年3月
長草工場
(愛知県大府市)
乗用車製造設備 5,000 2015年4月 2016年3月
東知多工場
(愛知県半田市)
エンジン用鋳造品製造設備、ディーゼルエンジン製造設備 4,554 2014年6月 2016年3月
刈谷工場
(愛知県刈谷市)
カーエアコン用コンプレッサー製造設備、繊維機械製造設備 3,500 2015年4月 2016年3月
大府工場
(愛知県大府市)
カーエアコン用コンプレッサー部品製造設備 2,200 2015年4月 2016年3月
安城工場
(愛知県安城市)
車載用電子機器製造設備 1,200 2015年4月 2016年3月
共和工場
(愛知県大府市)
車載用電子機器製造設備、自動車用プレス型設備 900 2015年4月 2016年3月
東浦工場
(愛知県知多郡東浦町)
カーエアコン用コンプレッサー部品製造設備 300 2015年4月 2016年3月
国内子会社
東海精機 (株)
(静岡県磐田市)
自動車部品製造設備 2,500 2015年4月 2016年3月
在外子会社
Kirloskar Toyota Textile Machinery Pvt. Ltd.
(インド バンガロール)
自動車部品製造設備、繊維機械製造設備 4,000 2015年4月 2016年3月
Michigan Automotive Compressor, Inc.
(米国ミシガン州)
カーエアコン用コンプレッサー製造設備 3,800 2015年4月 2016年3月
豊田工業 (昆山) 有限公司
[Toyota Industry (Kunshan) Co., Ltd.]
エンジン用鋳造品等製造設備、産業車両製造設備 2,500 2015年4月 2016年3月
Toyota Industries Compressor Parts America, Co. (TICA)
(米国ジョージア州)
カーエアコン用コンプレッサー部品製造設備 2,500 2015年4月 2016年3月
TD Automotive Compressor Indonesia (インドネシア ブカシ県) カーエアコン用コンプレッサー製造設備 2,300 2015年4月 2016年3月
TD Deutsche Klimakompressor GmbH
(ドイツ ザクセン州)
カーエアコン用コンプレッサー製造設備 1,700 2015年4月 2016年3月
TD Automotive Compressor Georgia, LLC
(米国ジョージア州)
カーエアコン用コンプレッサー製造設備 1,600 2015年4月 2016年3月