日本発条 (株) 2019年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2019年 3月期 |
2018年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 681,006 | 659,730 | 3.2 | - |
営業利益 | 26,650 | 35,541 | (25.0) | - |
経常利益 | 31,457 | 36,421 | (13.6) | - |
当期純利益 | 7,104 | 20,495 | (65.3) | - |
懸架ばね事業 | ||||
売上高 | 128,880 | 124,267 | 3.7 | - |
営業利益 | 6,193 | 9,627 | (35.7) | ー懸架ばね:グローバルでの売上は拡大したものの、数量増による固定費の増加、及び製品構成の変化の影響で減益。 |
シート事業 | ||||
売上高 | 303,242 | 295,710 | 2.5 | - |
営業利益 | 4,435 | 9,457 | (53.1) | ーシート:懸架ばねセグメントと同じくグローバルでの売上拡大に対して、日本及び中国における数量減、製品構成の変化、また固定費等により減益。 |
精密部品事業 | ||||
売上高 | 152,958 | 147,874 | 3.4 | - |
営業利益 | 9,791 | 10,855 | (9.8) | - |
事業動向
ー電動車向け製品の開発を強化する。社長直轄の組織として今年度新設した「電動化事業推進室」が中心となって、自動車用ばねメーカーとしての同社のコア技術である金属の熱処理技術と塑性加工技術を生かした電動車向け新製品の開発を目指す。モーターコア事業に関しては、現在EV向け製品を日本とメキシコで生産しているが、同事業の売り上げ規模拡大に向け、HVやプラグインハイブリッド車、燃料電池車を含めた電動車全般での販路拡大を目指す。モーターの高効率化に求められるモーターコア製品の開発と供給コスト低減に取り組むほか、メキシコ工場でプレス機を1台増やすなど、生産能力の増強も予定する。電子部品基板事業においては、ばねなどの自動車部品メーカーとしてのノウハウを生かし、車載に適した製品特性を重視した電子基板の開発に重点を置く。(2018年9月21日付日刊自動車新聞より)
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2019年3月期 | 2018年3月期 | 2017年3月期 | |
全社 | 16,822 | 16,119 | 16,130 |
対売上高比率 (%) | 2.5 | 2.4 | 2.6 |
事業別研究開発費 | |||
-懸架ばね事業 | 4,488 | 4,346 | 3,886 |
-シート事業 | 5,830 | 5,706 | 5,916 |
-精密部品事業 | 3,051 | 3,220 | 3,452 |
研究開発体制
-本社研究開発本部、技術本部及び電動化事業推進室、各生産本部の開発部門、技術部門、設計部門等、また各子会社の開発部門等により推進されている。
-2019年3月31日現在、研究開発スタッフは全体で1,074名であり、全従業員数の5.9%に相当。
研究開発活動
懸架ばね事業
-電動化・自動運転化対応のための軽量化、高品質化および高付加価値製品の技術開発に注力。高強度の新鋼種および繊維強化プラスチック材料の開発、成形・熱処理及びショットビーニング等の加工技術開発、原価低減のための無人化および省エネルギー化に向けた生産方式の開発を行う。
シート事業
-軽量化、自動運転対応シート、生体信号利用のシート応用製品、快適な動性能・静性能を持つシートに注力し、以下の開発を進めている。
- 軽量化に向け超ハイテン材使用部位を拡大、及び高強度材・高延性材等を採用したフロントシートフレーム
- 上記の軽量化技術に加え、部分的な非鉄金属の採用、またリアシートへの技術適用
- 自動運転レベル3、4における乗員の姿勢及び必要機能に適したシート
- 人間の特性・感覚に合った動・静性能を持つシート
精密部品事業
-精密ばねについては、自動車のエンジン、トランスミッション関連部品において以下の製品開発を実施。
- HEV・EV分野における高精度プレス加工技術を基盤とした、モーター部品、パワーモジュール部品および燃費向上に寄与する軽量化技術
- 高強度材の開発による製品の高性能化、高信頼性化および廉価材の開発による製品コスト低減化
技術受入契約 |
(2019年3月31日現在) |
契約会社名 | 提携先 | 内容 | 期間 |
日発精密工業 (株) | Acument Global Technologies, Inc. (オランダ) | トルクスパンチの特許および製造技術の実施権の許諾 | 2017年4月23日 - 2020年4月22日 |
(株) スミハツ | Pandrol UK Limited (英国) | パンドロールeクリップのOEM契約 | 2018年3月23日 - 2028年3月22日 |
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2019年3月期 | 2018年3月期 | 2017年3月期 | |
全社 | 44,975 | 34,010 | 25,637 |
事業別設備投資額 | |||
-懸架ばね事業 | 12,547 | 7,490 | 5,489 |
-シート事業 | 6,544 | 7,081 | 5,074 |
-精密部品事業 | 14,841 | 12,801 | 10,310 |
-2020年3月期の設備投資額は、56,800百万円を予定。
国内投資
ー長野県伊那市に自動車向けトランスミッション用スプリングを生産する新工場を建設すると発表した。現在、同社の伊那工場で生産しているが、近隣の子会社ニッパツフレックス敷地内に新工場を建設し、生産能力を増強する。投資額は66億円、工場の延床面積は6,988平方メートル。2019年4月に稼働を開始し、年産能力はトランスミッション用スプリング58百万本。(2018年6月21日付プレスリリースより)
設備の新設計画 |
(2019年3月31日現在) |
会社/事業所 | 設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手 | 完了 |
横浜工場 (横浜市金沢区) |
ばね生産設備 | 1,076 | 2019年5月 | 2021年8月 |
横浜工場 (横浜市金沢区) |
ばね生産設備 | 632 | 2019年5月 | 2021年2月 |
(株)ホリキリ 本社・八千代工場 (千葉県八千代市) |
ばね生産設備 | 705 | 2019年4月 | 2021年2月 |
New Mather Metals, Inc. (米国ケンタッキー州) |
ばね生産設備 | 729 | 2019年4月 | 2020年10月 |
NHK Spring (Thailand) Co., Ltd. (タイ チャチェンサオ県) |
精密部品生産設備 | 1,225 | 2019年1月 | 2019年10月 |
2020年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2020年3月期 (予測) |
2019年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
売上高 | 690,000 | 659,730 | 1.3 |
-懸架ばね事業 | 130,900 | 128,880 | 1.6 |
-シート事業 | 307,100 | 303,242 | 1.3 |
-精密部品事業 | 154,000 | 152,958 | 0.7 |
営業利益 | 20,000 | 26,650 | (25.0) |
経常利益 | 22,000 | 31,457 | (30.1) |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 14,000 | 7,104 | 97.1 |
中期経営計画 (2018年3月期 - 2020年3月期)
-同社グループは2020年3月期を最終年度とする中期経営計画「2020中計」をスタートした。
-中期経営計画の財務指標 (2020年3月期目標値)
売上高: 7,100億円
営業利益: 540億円 (利益率7.6%)
経常利益: 570億円 (利益率8.0%)
当期純利益:380億円 (利益率5.4%)
-懸架ばね部門:売上高1,390億円、営業利益率8.6%
ーシート部門:売上高3,050億円、営業利益率6.2%
ー精密部品部門:売上高1,650億円、営業利益率8.5%
事業戦略
拡販を目指した競争力の強化
- 設計開発力の強化とスピードアップ
- グローバル営業力の強化
- 一層の原価低減の推進
新製品・新事業
- より競争力ある製品の開発と事業化の推進
- 次世代を担う新製品の開発
- 生産技術のさらなる深耕