日本発条 (株) 2018年3月期の動向

業績

(単位:百万円)

2018年
3月期
2017年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 659,730 626,950 5.2 -
営業利益 35,541 40,613 (12.5) -受注車種構成の変化等により減益。
経常利益 36,421 41,640 (12.5) -
当期純利益 20,495 25,098 (18.3) -
懸架ばね事業
売上高 124,267 119,542 4.0 -
営業利益 9,627 11,533 (16.5) -
シート事業
売上高 295,710 285,924 3.4 -自動車生産台数の増加等により増収。
営業利益 9,457 13,984 (32.4) -受注車種構成の変化等で減益。
精密部品事業
売上高 147,874 139,086 6.3 -
営業利益 10,855 9,605 13.0 -



研究開発費

(単位:百万円)

2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
全社 16,119 16,130 16,328
対売上高比率 (%) 2.4 2.6 2.5
事業別研究開発費
-懸架ばね事業 4,346 3,886 3,199
-シート事業 5,706 5,916 6,263
-精密部品事業 3,220 3,452 3,741

研究開発体制

-本社研究開発本部および技術本部、各生産本部および事業本部の開発部門、技術部門、設計部門等、また各子会社の開発部門等により推進されている。

-2018年3月31日現在、研究開発スタッフは全体で1,057名であり、全従業員数の6.1%に相当。

研究開発活動

懸架ばね事業

-燃費向上、CO2排出量低減に向けた小型軽量かつ高耐久化に注力した開発を進めている。

-今後の課題: 最適な材料の調達、軽量化を実現する加工法および無人化と省エネルギー化が可能な生産方法の開発。

シート事業
-軽量化、生体信号利用のシート応用製品、快適な動性能を持つシートの開発を進めている。

  • 射出成形CFRP (Carbon Fiber Reinforced Plastics、炭素繊維強化プラスチック) フロントシートフレーム: 現行比約20%の軽量化を達成。板金部品をFRP (Fiber Reinforced Plastics、繊維強化プラスチック) に材料置換するフレーム最適構造・構成の開発に取り組んでいる。
  • 自動運転時に必要なシート機能を検討し、独自アイテムの開発を進めている。
  • 快適な動性能・静性能を持つシート: 従来、定量評価が難しかった高い周波数のシート振動に対する快適性評価のため、人間着座時のシートフレーム振動を予測するための数値解析用人体モデル (シミュレーションモデル)を開発し、高周波の振動快適性の定量予測を可能とした。また、着座時のシート上の圧力分布データから快適性を推定するシステムを開発中。
  • 量産に近い開発については、小型トラック向けの自動車用薄型サスペンションシートの開発を行っている。

精密部品事業
-精密ばねについては、自動車のエンジン、トランスミッション関連部品の製品開発を実施。

  • HEV・EV分野では、高精度プレス加工技術を基盤とした、モーター部品、リチウムイオン・燃料電池用部品、インバーター用部品および燃費向上に寄与する軽量化技術を開発。
  • 高強度材の開発により、製品の高性能化、高信頼性化を進める一方、廉価材の開発による製品コストの低減化も進めている。

技術受入契約

(2018年3月31日現在)

契約会社名 提携先 内容 期間
日発精密工業 (株) Acument Global Technologies, Inc. (オランダ) トルクスパンチの特許および製造技術の実施権の許諾 2017年4月23日 -
2020年4月22日
(株) スミハツ Pandrol UK Limited (英国) パンドロールeクリップのOEM契約 2018年3月23日 -
2028年3月22日



設備投資額

(単位:百万円)

2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
全社 34,010 25,637 27,392
事業別設備投資額
-懸架ばね事業 7,490 5,489 9,987
-シート事業 7,081 5,074 5,130
-精密部品事業 12,801 10,310 8,813

国内投資

-連結子会社の東北日発(岩手県北上市)が自動車用シートフレーム部品を生産する奥州工場(同県奥州市)を新設したと発表。これまで外注していた部品を内製化して柔軟な生産体制を構築する。東北日発製品の東北地区での地産地消の割合を高め、地域の雇用拡大を目指す。新工場では他の自動車部品メーカーにも供給し、サプライチェーンの一端を担う予定。(2017年12月25日付日刊自動車新聞より)

-岡山県倉敷市に自動車用シートの生産会社「ニッパツ水島」を設立。三菱自動車工業水島製作所で今後生産予定の自動車用シートの生産を受注したことを受け、今回の受注ならびに今後のさらなる受注の増加に対応するための措置。生産開始予定は2018年1月、2020年の予想売上高は約150億円。 (2017年8月8日付プレスリリースより)

海外投資

<ハンガリー>
-ハンガリーで自動車用懸架ばねを生産する子会社NHK Spring Hungaryの新工場を建設すると発表。NHK Spring Hungaryは、ハンガリーTataでコイルばねとスタビライザーを生産しているが、受注増に対応するため、136億ハンガリーフォリント(約49億円)を投資して、現工場に隣接する新工場を建設する。新工場の建屋面積は約23,000平方メートルで、2019年11月に稼働を開始する予定。2025年には現工場との合算で、コイルばね650万本とスタビライザー250万本を生産する計画。(2017年11月24日付プレスリリースより)

<メキシコ>
-680万ドルを投資しメキシコのIrapuatoで新工場の建設に着手した。フル稼働時には、従業員を250人から500人にまで増員する計画。ニッパツのIrapuato工場は、日産やマツダ、FordなどへのOEM供給に加え、Rassiniなどの自動車部品メーカーへも供給している。新工場は、Aguascalientesにオープン予定の「Infiniti」の組立工場へも部品を供給する予定。(2017年10月7日付 Mexico-Nowより)


-2018年3月期の設備投資内容:

  • 懸架ばね事業:新製品の受注および既存製品の生産性向上が主目的。主な設備の内容は同社横浜工場、New Mather Metals、NHK of America Suspension Components、NHK Spring Mexicoの懸架ばね生産設備。
  • シ―ト事業:新製品の受注、既存四品の生産性向上および品質向上が主目的。主な設備の内容は同社群馬工場、東北日発およびNHK Seating of Americaのシート生産設備。
  • 精密部品事業:新製品の開発および受注、既存製品の生産性および品質向上、生産能力の増強など主目的。主な設備の内容は同社伊那工場、同社駒ヶ根工場、トープラ、NHK Spring (Thailand)、NHK Spring Mexicoの精密部品生産設備。

-2019年3月期の設備投資額は、66,000百万円を予定。

設備の新設計画

 (2018年3月31日現在)
会社/事業所 設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了
伊那工場
(長野県伊那市)
建物および精密部品生産設備 6,654 2017年
12月
2018年
12月
横浜工場
(横浜市金沢区)
ばね生産設備 686 2018年
5月
2019年
9月
(株)ホリキリ 本社・八千代工場
(千葉県八千代市)
ばね生産設備 960 2018年
4月
2019年
10月
特殊発條興業(株)
(兵庫県伊丹市)
精密部品生産設備 537 2018年
5月
2019年
10月
New Mather Metals, Inc.
(米国ケンタッキー州)
ばね生産設備 822 2018年
4月
2019年
3月
New Mather Metals, Inc.
(米国ケンタッキー州)
ばね生産設備 545 2018年
4月
2019年
2月
NHK of America Suspension Components Inc.
(米国ケンタッキー州)
ばね生産設備 534 2018年
6月
2019年
8月
NHK Spring (Thailand) Co., Ltd.
(タイ サムトプラカーン県)
シート生産設備 1,024 2018年
3月
2019年
8月
NHK Spring (Thailand) Co., Ltd.
(タイ チャチェンサオ県)
精密部品生産設備 859 2018年
1月
2019年
1月



2019年3月期の見通し

(単位:百万円)

2019年3月期
(予測)
2018年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 690,000 659,730 4.6
-懸架ばね事業 130,500 124,267 5.0
-シート事業 308,200 295,710 4.2
-精密部品事業 155,400 147,874 5.1
営業利益 30,000 35,541 (15.6)
経常利益 32,000 36,421 (12.1)
親会社株主に帰属する当期純利益 22,000 20,495 7.3

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

中期経営計画 (2018年3月期 - 2020年3月期)

-同社グループは2020年3月期を最終年度とする中期経営計画「2020中計」をスタートした。

-中期経営計画の財務指標 (2020年3月期目標値)

売上高: 7,100億円
営業利益: 540億円 (利益率7.6%)
経常利益: 570億円 (利益率8.0%)
当期純利益:380億円 (利益率5.4%)

事業戦略

拡販を目指した競争力の強化

  • 設計開発力の強化とスピードアップ
  • グローバル営業力の強化
  • 一層の原価低減の推進

新製品・新事業   

  • より競争力ある製品の開発と事業化の推進 
  • 次世代を担う新製品の開発
  • 生産技術のさらなる深耕

CSR

  • コンプライアンスを重視した透明性の高い経営の実施
  • 働き方改革の推進
  • 計画的な人材の育成・確保と、ダイバーシティの推進