日本発条 (株) 2017年3月期の動向
業績
(単位:百万円)
2017年 3月期 |
2016年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 626,950 | 640,516 | (2.1) | 海外事業での円高による円換算額の減少等により減収。 |
営業利益 | 40,613 | 35,041 | 15.9 | 合理化努力や受注車種構成の変化等により増益。 |
経常利益 | 41,640 | 36,111 | 15.3 | - |
当期純利益 | 25,098 | 21,592 | 16.2 | - |
懸架ばね事業 | ||||
売上高 | 119,542 | 124,511 | (0.4) | -円高の影響で減収。 |
営業利益 | 11,533 | 12,062 | (4.4) | - |
シート事業 | ||||
売上高 | 285,924 | 296,054 | (3.4) | -円高の影響で減収。 |
営業利益 | 13,984 | 9,824 | 42.4 | -合理化努力や受注車種構成の変化等で増益。 |
精密部品事業 | ||||
売上高 | 139,086 | 142,943 | (2.7) | -HDD用部品の数量減と円高の影響で減収。 |
営業利益 | 9,605 | 10,074 | (4.6) | - |
研究開発活動
-自動車の環境分野・安全分野への対応として、懸架ばねの軽量化や高周波の振動防止が可能なとつばねの開発、シートの安全機構の研究開発に取り組んでいる。また、ハイブリッド車、電気自動車、クリーンディゼル車の部品について研究開発を進めている。
懸架ばね事業
-燃費向上、CO2排出量低減に向けた小型軽量かつ高耐久化に注力した開発を進めている。
- FSD化 (Fully Stressed Design: 部位によらず、応力分布を均等にする設計法)
- FRP化 (Fiber Reinforced Plastics: 繊維強化プラスチック)
-今後の課題: 低廉な材料を用い、高強度かつ軽量化を実現する加工法および、自動化等による低コストな生産方法の開発。
シート事業
-軽量化、生体信号利用のシート応用製品、快適な動性能を持つシートの開発を進めている。
- 射出成形CFRP (Carbon Fiber Reinforced Plastics、炭素繊維強化プラスチック) フロントシートフレーム: 現行比約20%の軽量化を達成。板金部品をFRP (Fiber Reinforced Plastics、繊維強化プラスチック) に材料置換するフレーム最適構造・構成の開発に取り組んでいる。
- 生体信号を利用したリフレッシュシート: 改善試作と客先プレゼン、展示を実施。
- 快適な動性能を持つシート: コーナリング時の低周波乗員挙動を予測する人体基本モデルが完成し、人体揺動低減に必要なシート特性予測に目処がついた。また、着座時のシート上圧力分布データから快適性を自動評価するシステムの構築に着手し、基本的分類アルゴリズムに目処がついた。更に精度の高いCAEシートモデルを効率的に開発するプロセスを構築した。
精密部品事業
-精密ばねについては、自動車のエンジン、トランスミッション関連部品の製品開発を実施。
- 次世代自動車分野では、高精度プレス加工技術を基盤とした、モーター部品、燃料電池用部品、および燃費向上に寄与する軽量化技術を開発。
- 高強度材の開発により、製品の高性能化、高信頼性化を進める一方、廉価材の開発による製品コストの低減化も進めている。
研究開発費
(単位:百万円)
2017年3月期 | 2016年3月期 | 2015年3月期 | |
全社 | 16,130 | 16,328 | 15,702 |
対売上高比率 (%) | 2.6 | 2.5 | 2.6 |
事業別研究開発費 | |||
-懸架ばね事業 | 3,886 | 3,199 | 2,707 |
-シート事業 | 5,916 | 6,263 | 6,667 |
-精密部品事業 | 3,452 | 3,741 | 3,392 |
研究開発体制
-本社研究開発本部および技術本部、各生産本部および事業本部の開発部門、技術部門、設計部門等、また各子会社の開発部門等により推進されている。
-2017年3月31日現在、研究開発スタッフは全体で1,026名であり、全従業員数の6.0%に相当。
技術受入契約
(2017年3月31日現在)
契約会社名 | 提携先 | 内容 | 期間 |
日発精密工業 (株) | Acument Global Technologies, Inc. (オランダ) | トルクスパンチの特許および製造技術の実施権の許諾 | 2014年4月23日 - 2017年4月22日 |
(株) スミハツ | Pandrol UK Limited (英国) | パンドロールeクリップのOEM契約 | 2008年5月1日 - 2018年3月22日 |
設備投資額
(単位:百万円)
2017年3月期 | 2016年3月期 | 2015年3月期 | |
全社 | 25,637 | 27,392 | 20,671 |
事業別設備投資額 | |||
-懸架ばね事業 | 5,489 | 9,987 | 6,656 |
-シート事業 | 5,074 | 5,130 | 4,380 |
-精密部品事業 | 10,310 | 8,813 | 6,566 |
-2017年3月期の設備投資内容:
- 懸架ばね事業:新製品の受注および既存製品の生産性向上が主目的。主な設備の内容は同社横浜工場、広州日正弾簧有限公司、ニューメーサーメタルス社の懸架ばね生産設備。
- シ―ト事業:新製品の受注、既存四品の生産性向上および品質向上が主目的。主な設備の内容は
同社豊田工場、同社群馬工場およびシーティングオブアメリカ社のシート生産設備。 - 精密部品事業:新製品の開発および受注、既存製品の生産性および品質向上、生産能力の増強など主目的。主な設備の内容は同社駒ヶ根工場、同社伊那工場、NHKスプリング(タイランド)社、日発電子科技(東芝)有限公司およびNHKスプリングレシジョンオブアメリカ社の精密部品生産設備。
-2018年3月期の設備投資額は、33,400百万円を予定。
設備の新設計画
(2017年3月31日現在)
設備内容 | 投資予定総額 (百万円) |
着手 | 完了予定 |
シート生産設備 | 1,132 | 2016年7月 | 2018年3月 |
ばね生産設備(横浜工場) | 717 | 2017年9月 | 2018年7月 |
精密部品生産設備(伊那工場) | 1.028 | 2017年4月 | 2018年8月 |
精密部品生産設備(駒ヶ根工場) | 2,328 | 2017年4月 | 2018年11月 |
工場棟建屋拡張 (アメリカ ニューメーサーメタル社) |
714 | 2017年5月 | 2018年1月 |
ばね生産設備(ニッパツメキシコ株式会社) | 2,388 | 2017年4月 | 2019年4月 |
2018年3月期の見通し
(単位:百万円)
2018年3月期 (予測) |
2017年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
売上高 | 638,000 | 626,950 | 1.8 |
-懸架ばね事業 | 1,210 | 1,195 | 1.2 |
-シート事業 | 2,890 | 2,859 | 1.1 |
-精密部品事業 | 1,410 | 1,390 | 1.4 |
営業利益 | 36,000 | 40,613 | (11.4) |
経常利益 | 37,000 | 41,640 | (11.1) |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 25,000 | 25,098 | (0.4) |
>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
-2018年3月期の売上高は、前年比110億円の増収と予想。
-自動車関連は、グローバルで堅調な需要を見込む。
-事業部門別の見通し:
事業 | 見通し |
懸架ばね | -海外子会社は概ね堅調に推移する見込みだが、国内は受注減、固定費増から増収減益 |
シート | -車種構成、価格協力の影響から増収減益 |
精密部品 | -堅調に推移 |
中期経営計画 (2018年3月期 - 2020年3月期)
-同社グループは2020年3月期を最終年度とする中期経営計画「2020中計」をスタートした。
-中期経営計画の財務指標 (2020年3月期目標値)
売上高: 7,100億円
営業利益: 540億円 (利益率7.6%)
経常利益: 570億円 (利益率8.0%)
当期純利益:380億円 (利益率5.4%)
事業戦略
拡販を目指した競争力の強化
- 設計開発力の強化とスピードアップ
- グローバル営業力の強化
- 一層の原価低減の推進
新製品・新事業
- より競争力ある製品の開発と事業化の推進
- 次世代を担う新製品の開発
- 生産技術のさらなる深耕
CSR
- コンプライアンスを重視した透明性の高い経営の実施
- 働き方改革の推進
- 計画的な人材の育成・確保と、ダイバーシティの推進