ニッパツ(日本発条)(株) 2010年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2010年
3月期
2009年
3月期
増減率(%) 要因
全社
売上高 404,143 440,908 (8.3) -自動車生産の減少による受注減の影響。
営業利益 18,785 10,459 79.6 -適切な生産対応と総原価低減活動による収益改善努力により増益。
経常利益 17,631 12,925 36.4
当期純利益 10,290 5,262 95.6
懸架ばね事業
売上高 81,623 101,194 (19.3) -動車生産の減少により受注は減少するも、コスト低減努力により減収増益。
-国内の商用トラックの減少、タイの乗用トラックの減少による影響あり。
営業利益 468 344 36.0
シート事業
売上高 163,331 169,870 (3.8) -自動車生産の減少により受注は減少するも、コスト低減努力により減収増益。
-注車種の生産が好調であったために売上減少が軽微となった。
営業利益 6,848 3,537 93.6
精密部品事業
売上高 126,922 132,404 (4.1) -自動車関連の受注は減少するも、情報機器関連の受注増とコスト削減努力により減収増益。
営業利益 9,345 4,333 115.7

事業再編

-米国における自動車用サスペンション部品生産拠点の再編を実施する。孫会社であるニューメーサーメタルズ社(米オハイオ州)の1工場を来年3月をめどに操業停止する。自動車メーカーからの需要が大幅に減少したため、現状のままでは収益体質の転換が望めないと判断し、操業停止に踏み切ることにした。今回操業停止するのは、ニューメーサーメタルズ社のトレド工場(オハイオ州トレド市)。操業停止後は、同社のフランクリン工場(ケンタッキー州フランクリン市)に生産集約する。(2009年8月18日付日刊自動車新聞より)

-米国事業の人員削減を加速する。これまで米ビッグスリーの大幅な減産や日系メーカー向けの数量減を受けて生産要員の削減を続けてきたが、今年度下期以降は間接部門のスタッフについても適正化を進める。北米事業の連結売上構成比は10%前後に過ぎないが、日本やアジアに比べ需要回復の見通しが不透明で、かつ労務コストも高い。固定費を一段と圧縮し、生産・業務効率を改善することで黒字化を急ぐ。(2009年9月11日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

 

2011年3月期業績見通し

分野別業績予想

(単位:億円)
事業分野 項目 2011年3月期(予想) 2010年3月期(実績) 増減率 (%)
懸架ばね事業 売上高 900 816 10.3
営業利益 42 5 740.0
営業利益率 (%) 4.7 0.6 -
シート事業 売上高 1,720 1,633 5.3
営業利益 90 69 30.4
営業利益率 (%) 5.2 4.2 -
精密部品事業 売上高 1,350 1,269 6.4
営業利益 120 93 29.0
営業利益率 (%) 8.9 7.4 -
産業機器ほか事業 売上高 330 323 2.2
営業利益 28 21 33.3
営業利益率 (%) 8.5 6.6 -
合計 売上高 4,300 4,041 6.4
営業利益 280 188 48.9
営業利益率 (%) 6.5 4.6 -

 

地域別業績予想

(単位:億円)
地域 項目 2011年3月期(予想) 2010年3月期(実績) 増減率 (%)
日本 売上高 3,130 3,044 2.8
営業利益 170 97 75.3
営業利益率 (%) 5.4 3.2 -
北米 売上高 390 375 4.0
営業利益 10 6 66.7
営業利益率 (%) 2.6 1.7 -
アジア 売上高 930 794 17.1
営業利益 100 85 17.6
営業利益率 (%) 10.8 10.6 -
消去 売上高 (150) (172) -
合計 売上高 4,300 4,041 6.4
営業利益 280 188 48.9
営業利益率 (%) 6.5 4.6 -

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2010年3月期 2009年3月期 2008年3月期
全社 9,612 11,452 9,989
対売上高比率 (%) 2.4 2.6 2.1

研究開発体制

-2010年3月期、研究開発スタッフは全体で753名。

研究開発活動

懸架ばね事業
-研究開発費: 1,639百万円。
-主要課題:コイルばねはテーパ化・低廉化、スタビライザは高耐久化・3次元曲げ対応、板ばねは高強度化等。
-主な成果:耐久性の向上、品質確保、及び低価格化の向上。

-サスペンションコイル用中空ばねを開発した。従来と同等のばね性能を持ちながら、2割程度軽い。ばね用線材を生産する特殊鋼メーカーなどと共同で、専用のばね材料と表面処理技術を開発し適用した。現状、自動車のサスペンション用ばねにはねじり棒ばねであるスタビライザーを除き、中空ばねは採用されていない。同社は量販車種からの適用を想定しており、車両の価格を問わずあらゆる車種への採用を自動車メーカーに提案する。2、3年後に発売される車種での搭載を目指す。(2009年11月12日付日刊自動車新聞より)

シート事業
-研究開発費: 3,151百万円
-主要課題:軽量化については新構造フレーム、ハイテン材応用、及び機構品の小型化、改良等。低コスト化については、標準化、溶接工法を含めた生産性の向上。
-主な成果:標準シートフレーム及び乗用車向け完成シートの新規受注。
-疲労低減、乗心地改良等シートの基本性能向上についても研究開発を実施。

研究開発部門連携
-アジア事業のさらなる強化に向けて、日本とタイの研究開発部門の連携を一段と強化する。アジア市場では、完成車メーカーが低価格車の市場投入を強化する動きを受けて部品の低価格化に対するニーズが強まっている。こうした要請に対して、設計、開発を始め調達や生産技術など幅広い領域で日本との情報共有をより緊密に行い、製造原価の削減を実現させる。さらに、タイの研究開発拠点に関しては能力拡充も検討。低価格ニーズへの対応は自動車部品メーカーのこれからの海外戦略において重要度が高まっている。こうした中で現地の情勢にいち早く対応可能な体制づくりを進めることで同地域における収益の拡大につなげる。(2010年1月22日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2010年3月期 2009年3月期 2008年3月期
全社 15,695 34,800 34,779

懸架ばね事業
-新製品の受注及び既存製品の生産性向上を主な目的に、グループで2,356百万円の設備投資を実施。
-主な設備の内容は、同社滋賀工場及びNHKスプリング(タイランド)社の懸架ばね生産設備。

シート事業
-新製品の受注、既存製品の生産性向上及び品質向上を主な目的に、グループで3,363百万円の設備投資を実施。
-主な設備の内容は、同社豊田工場、NHKスプリング(タイランド)社及び(株)アイテスのシート生産設備。

設備の新設

-2010年3月末現在の重要な設備の新設、改修等に係る投資予定金額は、グループで19,515百万円。
-懸架ばね事業とシート事業の重要な設備の新設は無い。