日本精機 (株) 2019年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
  2019年
3月期
2018年
3月期
増減率
(%)
備考
全社
売上高 263,239 263,163 0.0

営業利益 14,215 14,109 0.7 -
税引き前利益 16,291 15,854 2.8 -
親会社株主に帰属する当期純利益 11,569 11,105 4.2 -

要因

-自動車及び汎用計器事業は、アジアで四輪車用計器や二輪車用計器が増加したものの、日本や欧州で四輪車用計器が減少したため、売上高前年比0.1%減の206,237百万円。

  

事業動向

ーヘッドアップディスプレー (HUD) の小型化に注力し、軽自動車も視野に入れたローエンドモデルへ搭載可能な普及版製品の開発を本格化する。欧州プレミアムブランドのハイエンドモデル向けHUDで実績を確立した同社は今後、軽自動車への搭載も想定した普及版HUDの開発、提案活動を本格化させて、2021年~22年頃の量産を目指した製品化を急ぐ。普及版の製品化によりHUD事業をさらに拡大し、同事業の売上高で現状から2倍以上となる500億円の早期達成を目指す。 (2018年9月5日付日刊自動車新聞より)

ー二輪・四輪車向け各種計器の1次サプライヤーとして培ってきたものづくりの技術力を生かし、EMS (電子機器の受託生産サービス) によるサプライヤー支援を本格化する。自動車の電動化が加速する中、車載向けPCB (プリントサーキットボード) のアッセンブリーを必要とするサプライヤーが増加傾向にある状況を踏まえ、電子制御領域にまで踏み込んだ設計、開発、製造工程までの要素技術を生かしたEMSのノウハウを2次サプライヤーなどに提供。2018年度からの3カ年新中期経営方針の重点施策の一つに位置付け、パートナーEMS事業としてのビジネス拡大を目指す。(2018年8月24日付日刊自動車新聞より)

 

受注

-欧州販売子会社のニッポンセイキヨーロッパが独ダイムラーにヘッドアップディスプレー (HUD) の納入を始めたと発表した。ダイムラー向けは今回が初で、メルセデス・ベンツの新型SUV「GLE」に供給する。これにより、同社は独自動車大手3社すべてに製品を納入することになった。フロントガラスに投影するシールドタイプのHUDを納入する。フルカラーTFT液晶ディスプレーを搭載し、運転者の視点から約3メートルの距離に表示する。光源には高輝度LEDを採用し、太陽の下でも鮮明な画像表示を実現した。光学技術で表示画像の歪みの解消と高精細表示が可能としている。(2019年5月14日付日刊自動車新聞より)

 

中期経営計画

ビジネスの新展開とグローバル化に向け、同社は2018年ー2020年の中期経営方針を発表。
2020年年3月期に連結売上高2,800億円をめざす。

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
  2019年3月期 2018年3月期 2017年3月期
全社 3,712 4,147 4,404
-自動車および汎用計器事業 3,276 3,804 4,004

 

研究開発体制

-研究開発活動は、R&Dセンター (新潟県長岡市)、NSテクニカルセンター (新潟県長岡市) を中核として、各事業分野を担当する量産製品の開発、設計組織および生産技術部門と連携して実施。

-ソフトウエア設計開発力強化のためのIT人材確保を目的として、岩手県滝沢市に車載用計器などの設計開発を手がけるソフトウエア設計分室を設立したと発表した。岩手設計分室では、主にソフトウエアのプラットフォーム開発に取り組む予定。開設時は同社および協力会社の人員を含めて7名体制でスタートし、2021年までに約20人体制へと拡大を目指している。新たに設けた岩手設計分室は、計器設計統括部とソフトウエア設計部の一部として組織構成され、設立場所は岩手県滝沢市の「滝沢市IPU (岩手県立大学) イノベーションセンター」内とした。産学連携サポート施設である岩手県立大学地域連携研究センターに隣接している。(2019年2月26日付日刊自動車新聞より)
 

研究開発活動

自動車および汎用計器事業における同社研究開発活動は以下の通り。

ーHUD(ヘッドアップディスプレイ)等の運転支援型情報表示システム開発
ー次世代HMI(ヒューマン マシン インターフェイス)機器開発
ー車載用ディスプレイユニット開発
ースマートフォン連携技術開発
ー車載用光学技術開発
ー車載用センサ開発

 

設備投資額

(単位:百万円)
  2019年3月期 2018年3月期 2017年3月期
全社 14,220 12,295 12,722
-自動車および汎用計器事業 10,569 9,752 9,774


自動車および汎用計器事業
-新機種対応および生産能力拡大、設備更新を目的とし、基板実装設備、計器組立設備の投資を実施。

設備の新設計画 (自動車および汎用計器事業関連)

(2019年3月31日現在)
会社名 事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定総額
(百万円)
着手 完了
予定
日本精機(株) 本社工場
(新潟県長岡市)
基幹業務システム 3,742 2014年12月 2020年8月
管理会計システム 406 2017年1月 2020年8月
高見事業所及びNSテクニカルセンター
(新潟県長岡市)
HUD生産用設備 1,052 2019年1月 2020年4月
エヌエスエレクトロニクス (株) 本社工場
(新潟県長岡市)
基板実装設備 289 2018年8月 2019年10月
NSウエスト (株) 三次工場
(広島県三次市)
基板実装設備 234 2019年1月 2019年8月
New Sabina Industries, Inc. 米国
オハイオ州
自動車用計器類製造設備 139 2019年1月 2020年10月
Nippon Seiki De Mexico S.A. De C.V. メキシコ
ヌエボレオン州
自動車用計器類製造設備 474 2019年1月 2020年10月
Thai Nippon Seiki Co., Ltd. タイ王国
チョンブリ県
工場 671 2018年9月 2020年7月
空調改修 127 2018年12月 2019年10月
日精儀器武漢有限公司 中華人民共和国
湖北省
自動車用計器類製造設備 270 2018年11月 2019年8月

国内投資

ー同社連結子会社で、国内において四輪車・二輪車用計器の製造、樹脂成型、樹脂材料・着色販売などを手がけるエヌエスアドバンテック (新潟県小千谷市) は18日、樹脂材料市場の成長を背景に樹脂材料の生産拠点として「長岡第2工場」を新設すると発表した。今後は、ますます需要増加が見込まれる低異物樹脂の対応ならびに次世代自動車用高機能樹脂の新たな領域へと参入することにより、2030年には既存生産能力の2倍の受注を見込み、同工場を新設することで生産体制の強化を図るとしている。(2018年12月20日付日刊自動車新聞より)

 

海外投資

ポーランド新製造拠点
-2019年1月、ヘッドアップディスプレー (HUD) の生産能力を増強すると発表した。ポーランド・ウッチ県で車載用計器・表示器の製造を手がける新会社を今年2月に設立するとともに、同社の長岡工場で約10億円を投じてHUDの基幹部品である凹面鏡を増産する新たな生産設備を導入する。今回新設する新会社「エヌエスポーランド」 (仮称) は資本金7百万ズロチ (約2億1千万円) で、同社が全額出資して設立する予定。HUD100万台の生産能力を持つ工場として、20年10月から生産を開始する計画。 (2019年1月29日付日刊自動車新聞より)

設計事務所拡充
-欧州で四輪・二輪車用計器などの販売・設計開発を手がける連結子会社のニッポンセイキヨーロッパ社が、ポーランド・グダニスク市の設計開発事務所を同市内の別事務所に移転したと発表した。同事務所の業務スペースを広げて人員を増強し、欧州におけるビジネス拡大を図る。同社では、欧州における設計開発を主にドイツ、英国、ポーランドの3カ国で行っている。このうち、ポーランドのグダニスク事務所を業務スペース拡充の目的で移転し、同国における設計開発者を増員する準備を整えた。グダニスク事務所を中心とした設計能力(中でもソフトウエア開発)を拡充し、コスト競争力と開発体制の強化を図る。(2018年11月9日付日刊自動車新聞より)