日本ピストンリング (株) 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 増減率
(%)
要因
全社
売上高 50,430 47,018 7.3 -
営業利益 1,759 2,225 (20.9) -
経常利益 1,733 2,184 (20.7) -
当期純利益 1,352 2,013 (32.8) -
自動車関連製品事業
売上高 44,378 41,284 7.5 -国内外の自動車生産が増加基調にあり、主力製品であるピストンリングやバルブシート等の受注が増加
営業利益 1,582 1,995 (20.7) -海外拠点において税金還付請求訴訟関連の費用を計上したことが影響

事業再編

-2014年度末までに売上高で30億円規模に相当する不採算品目の生産を終了する方針。経営面におけるマイナス要因を取り除くことで、営業利益の拡大を図る。生産アイテムの縮小により生じた設備や人員の余力を他品目の増産に充当する。14年度の総売り上げは、12~14年度の中期ビジョンで打ち出している520億円を計画通り維持する構えだ。 (2013年8月20日付日刊自動車新聞より)

合弁会社

<中国>
-2013年、中国・江蘇省のバルブシート製造子会社として2012年12月に設立した日環粉末冶金製造 (儀征) を13年10月付けで現地のピストンリングメーカーである儀征双環活塞環との合弁会社にすると発表。現地企業の販路を活用し、今後、増産体制を敷くバルブシートの流通ルートを広げるのが狙い。合弁に伴い、日環粉末冶金製造の50%資本にあたる440万USドルの出資持分を儀征双環活塞環に譲渡する。社名を儀征日環亜新科粉末冶金製造に変更する。現在、中国におけるバルブシート生産はNPRの完全子会社である日環汽車零部件製造が行っているが、合弁前の8~9月にかけて同事業を日環粉末冶金製造に移管。合弁後、儀征日環亜新科粉末冶金製造の新体制下でバルブシートの製造・販売を行っていく。日環汽車零部件製造のバルブシート生産量は月100万本。事業移管後は16年度を期限に月300万本まで生産ペースを引き上げる計画。 (2013年8月19日付日刊自動車新聞より)

<インドネシア>
-2013年、インドネシア合弁会社PT NT Piston Ring Indonesia (NTRI) に関して、TPRとの合弁を解消することで合意したと発表。これにより、TPRは同社が保有するNTRI株式50%を全てNPRに売却する。売却金額は15.7百万ドル (約15.4億円) で、譲渡日は2013年7月31日を予定している。(2013年7月26日付プレスリリースより)

中期経営計画

-2015年3月期を最終年度とした第五次中期経営計画において「事業構造改革の推進」を基本方針として以下の重点施策に取り組んでいる。
  • BS/Cash Flow経営の実践
  • すべてのコスト構造改革の推進
  • 固有技術の活用による新製品 (非自動車エンジン部品) の事業化
  • 人材育成強化による「世界最高品質の追求」
  • CSR活動の強化
-業績目標 (2015年3月期):総資産経常利益率6%以上、売上高520億円以上

2015年3月期の見通し

(単位:百万円)
2015年3月期
(予測)
2014年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 51,000 50,430 1.1
営業利益 2,400 1,759 36.4
経常利益 2,200 1,733 26.9
当期純利益 2,000 1,352 47.9

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 1,591 1,526 1,361
-自動車関連製品事業 1,204 1,152 1,306

研究開発活動

次世代低燃費エンジン用ピストンリング
-ガソリンエンジンのダウンサイジング化への対応の1つとしてライナレス溶射ボアによる軽量化などの開発が進む中、ピストンリングの張力低減によらない燃費低減技術、例えば、摺動面粗さ小の加工技術、高熱伝導材、混合から境界潤滑域にかけてフリクション低減効果のあるDLC (ダイヤモンドライクカーボン) 皮膜などを開発、量産対応を開始。

耐久性にすぐれたディーゼルエンジン用ピストンリング
-Euro-VI、US10等の新たな排ガス規制および重量車燃費規制対応技術として、ナノレベルの皮膜特性制御技術を適用した、耐摩耗性、耐剥離性に優れたPVD皮膜の開発を完了、量産中。さらなるレベルアップを図ったPVD皮膜を開発中。
-低張力でも高い潤滑油調整機能を持つ新形状のOILリングの開発を完了し、クリーンな排ガスと低燃費が両立できる製品として量産化。

バルブシート
-内燃機関のダウンサイジング、過給直噴や特殊燃料 (ガス、エタノール) に対応可能な高機能材の開発に取り組んでいる。また、高機能な仕様だけでなく新興国向け最適仕様も開発中であり、あらゆる地域の顧客ニーズに対応することを目指し、グローバルな技術サービスを展開。

組立式焼結カムシャフト
-直噴エンジンには、高い耐ピッチング性、耐摩耗性が求められ、耐久性に優れる焼結カムロブの採用が拡大している。また、燃費向上のため質量低減要求も高まっており、新たな工法を用いてさらなる軽量化の追求に取り組んでいる。

MIM (金属粉末射出成形) 製品
-近年、熱負荷の高くなっているエンジン周辺部品への適用を考慮し、耐熱性の高い特殊材料のMIM化に取り組んでいる。

新規焼結製品

-断熱・放熱性に優れた高機能多孔質金属に関する研究、マーケティング活動を進めており、既に非自動車エンジン分野を含めた複数の市場ニーズの具現化に対する取り組みに着手。

シリンダーライナー
-重量車燃費規制に対応するため、独自のトライボロジー技術に基づく燃費低減技術を適用したディンプルライナーの開発を完了し、世界初の製品として量産準備中。また、この技術をシリンダーボアの標準とすべくシリンダーブロックへの適応化にも取り組んでいる。

-2013年、シリンダーライナーの内側に細かい窪み (ディンプル) を施工することで燃費の向上につなげる技術を確立。日野自動車と共同開発したもので、シリンダーライナーとピストンリングの間に発生する摩擦抵抗を減らし、ピストンの圧縮効率を高めることで燃費を数パーセント改善する。まずディーゼル車向けに開発・実用化したが、同技術はガソリン車にも応用できるため、将来的にエコカーなどでの採用も見込んでいる。現在は生産子会社の日ピス福島製造所で量産化に向けた設備を構築しており、準備が整い次第、生産を開始する。(2013年12月2日付日刊自動車新聞より)

EV向けモーター関連部品
-電気自動車 (EV) 向けモーター関連部品の本格的な開発に着手。将来的な自動車の電動化を意識したもので、ピストンリングやバルブシートなど内燃機関以外の動力部品に携わるのは初めて。2018年までの量産化を目指し、共同研究中の大学や顧客メーカーとの実証検査を進める。開発中の製品はモーター用の焼結コアと、パワー半導体の集積回路(IC)チップ接続に用いるアルミボンディングワイヤー (リボン) の二つ。双方とも同社の主軸である金属部品の生産技術を生かしたもので、既に特許を出願している。後発で参入する強みとして既存製品の弱点を克服し、完成後の早期事業化に結び付ける考えだ。(2013年12月24日付日刊自動車新聞より)

技術供与契約

(2014年3月31日現在)
相手会社名 国名 契約年月 内容 契約期間
株式会社瑞進カム
[Seojin Cam Co., Ltd.]
韓国 2000年7月1日 焼結カムシャフトの製造法 2016年6月末日まで
Henan Zhongyuan Engine Fitting Co., Ltd. 中国 2005年9月2日 シリンダーライナーの製造法 製品供給終了まで
IP Rings Ltd. インド 2008年12月22日 スチールリングの製造法 6年
2010年3月1日 窒化リングの製造法 5年
2010年4月1日 オイルリングの製造法 5年
2012年4月1日 組合せオイルリングの製造法 5年
儀征亜新科双環活塞環有限公司
[ASIMCO Shuanghuan Piston Ring (Yizheng) Co., Ltd.]
中国 2013年11月15日 ピストンリングの製造法 7年

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 4,849 4,068 2,169
-自動車関連製品事業 4,650 3,850 1,963

-自動車関連製品事業は、維持更新を主たる目的として設備投資を実施。

設備の新設計画

(2014年3月31日現在)
会社名 所在地 設備内容 投資予定
総額
(百万円)
着工
年月
完了
年月
完成後の
能力
NPR Auto Parts Manufacturing India Pvt. Ltd. インド
カルナタカ州
工場新設 1,800 2012年
7月
2015年
6月
300万個/月
儀征日環亜新科粉末冶金製造有限公司
[Yizheng NPR ASIMCO Powder Metallurgy Manufacturing Co., Ltd.]
中国
江蘇省
工場新設 2,000 2012年
12月
2016年
6月
900万個/月