大同メタル工業 (株) 2019年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2019年 3月期 |
2018年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 107,718 | 106,648 | 1.0 | - |
営業利益 | 6,944 | 6,511 | 6.7 | -自動車用エンジン軸受及び自動車用エンジン以外軸受のセグメントにおける中国・韓国景気減速影響及び製品構成の変化、また国内の労働環境によるマイナス要因に対し、非自動車用軸受、自動車用軸受以外部品のセグメントにおける販売拡大及び合理化等が寄与し増益 |
経常利益 | 6,976 | 6,708 | 3.5 | - |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 4,565 | 3,281 | 39.1 | - |
要因
自動車用エンジン軸受事業
-同セグメントにおける売上高は前年比0.9%減の64,835百万円(セグメント間の内部売上高を含む)、営業利益は前年比10.7%減の8,292百万円。
-2018年度において新車販売台数が堅調に推移したことにより、主に乗用車用軸受の売上が増加。トラック用軸受は前年度比微増。一方、ターボチャージャー軸受はグローバルで需要減の影響から減少となったが、売上高は増加となった。海外では、北米は高水準を維持したものの、中国や韓国、欧州での自動車の販売不振の影響を受け、売上高は減少となった。
事業動向
-来年をめどに中国でテクニカルセンターを開設する。取引先の要望へスピーディーに対応する体制を整え、中国に進出している日米欧の自動車メーカーに加え、中国ローカルメーカーからの受注拡大を目指す。2019年には中国政府が新エネルギー車 (NEV) 規制を開始する。主力のエンジン用軸受けだけではなく、同社やグループ企業が手がける電気自動車 (EV) 向け部品の受注増にもつなげる。(2018年7月30日付日刊自動車新聞より)
-タイのサムットプラカーン県にEV向けアルミダイカスト製品の製造会社「DM Casting Technology(Thailand)」を設立すると発表した。EV向けアルミダイカスト製品の受注拡大を推進し、同製品の先駆者としての地位確立を目指す。資本金は2億タイバーツで、2018年1月に設立し、2020年2月に操業を開始する予定。(2018年1月10日付プレスリリースより)
買収
-日本ピストンリングは、連結子会社であるNPR・オブ・ヨーロッパ (NOE) の保有株式の30%を同社に売却すると発表した。両社は昨年12月、欧州市場でのプレゼンスを一段と高めるため、資本提携による関係強化が必要と判断し、株式の一部譲渡に向けた協議を進める基本合意書を締結したことを発表していた。資本提携により、欧州市場におけるエンジン用軸受など大同メタル工業製品の販売強化につなげる。(2018年8月1日付日刊自動車新聞より)
中期経営計画実行状況
同社は中期経営計画において以下を掲げている。
- 既存事業の磨き上げ
- 同社はすべり軸受において全分野でのトップシェアを目指す。2018年暦年のグローバルマーケットシェアは以下の通り
2018年グローバルマーケットシェア(%) | 順位 | |
自動車エンジン用半割 | 33.1 | 1位 |
ターボチャージャー用(スモールターボ) | 24.0 | 1位 |
舶用低速ディーゼルエンジン用 | 54.0 | 1位 |
舶用・産業用中高速ディーゼルエンジン用 | 15.0 | 3位 |
ポリマー軸受 | 12.9 | 2位 |
回転機械用軸受(発電用タービン等) | 3.7 | ー |
- 新規事業の創出・育成
- 積極的M&Aによる新事業領域進出、及びタイ新工場におけるEV向けアルミダイキャスト製品生産開始
- 強固な経営基盤の確立
- ドイツへの欧州技術ユニット及びR&Dセンターの設置等
- 組織・コミュニケーションの活性化
項目 | 2018年度 (実績) |
2020年度 (計画) |
2023年度 (目標) |
売上高(億円) | 1,077 | 1,200 | 1,400 |
営業利益(億円) | 69 | 100 | 140 |
営業利益率(%) | 6.4 | 8.3 | 10.0 |
ROE(%) | 8.5 | 9.5 | 10.0 |
設備投資(億円) | 73 | 100 | 100 |
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2019年3月期 | 2018年3月期 | 2017年3月期 | |
合計 | 2,047 | 1,923 | 1,821 |
研究開発体制
-研究開発部門を強化する。今後6年間の売上高に占める研究開発費の比率を直近の2倍近い4%に引き上げるほか、海外初のR&Dセンターをドイツに開設するなど開発拠点を拡充する。主力のエンジン用すべり軸受は、中長期的に需要が縮小傾向に転じる可能性が高い。自動車生産台数の増加を背景に足元で増加している主力製品の売り上げを研究開発へ積極的に配分し、持続的な成長につなげる。(2018年8月2日付日刊自動車新聞より)
研究開発活動
アイドリングストップおよびハイブリッド機構など低燃費対応エンジン用軸受の開発
-従来製品に比べ耐摩耗性・耐焼付性・フリクション特性を飛躍的に向上させ、多様な要求へ対応可能な各種樹脂オーバーレイ(表面処理)を継続的に開発。
鉛フリー銅合金系ブッシュ材料の開発
ー燃費規制、及び排出ガス規制対応のための高面圧化及び高温環境下における使用に耐えるブッシュ材料の開発。
新樹脂材系軸受材料の開発
-自動車用部品や一般産業用部品において、従来比で樹脂層の厚い新樹脂系軸受材料を開発。
ショックアブソーバー用軸受乗り心地向上材料の開発
-自動車のショックアブソーバー用軸受における乗り心地 (操舵安定性、振動吸収など) 向上に寄与する鉛フリー樹脂系軸受材料を開発。さらに性能を向上させるため、継続して材料開発を推進中。
ーその他各種軸受用途におけるすべり軸受の理論解析、分析評価、単体試験評価及びシミュレーション試験評価の研究開発を行う。
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2019年3月期 | 2018年3月期 | 2017年3月期 | |
全社 | 7,273 | 8,694 | 12,329 |
-自動車用エンジン軸受・自動車用エンジン以外軸受 | 3,445 | 4,420 | 6,970 |
設備の新設計画 (自動車用軸受メタル部門) |
(2019年3月31日現在) |
事業所名 (所在地) |
設備の内容 | 投資予定総額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
犬山工場 (愛知県 犬山市) |
半割軸受製造設備 | 615 | 2016年5月 | 2020年3月 |
岐阜工場 (岐阜県 郡上市) |
巻ブシュ製造設備 | 312 | 2018年10月 | 2019年11月 |
バイメタル製造所 (愛知県 犬山市) |
バイメタル (軸受材料) 製造設備 | 2,432 | 2015年10月 | 2020年1月 |
本社 (名古屋市中区他) |
システム投資 | 2,962 | 2018年1月 | 2021年4月 |
大同プレーンベアリング(株) (岐阜県 関市) |
半割軸受製造設備 | 962 | 2015年12月 | 2030年6月 |
(株)飯野製作所 矢板工場 (栃木県矢板市) |
建物 | 713 | 2019年3月 | 2020年4月 |
同晟金属(株) (韓国 永同郡) |
半割軸受製造設備 | 270 | 2018年1月 | 2019年2月 |
大同精密金属(蘇州)有限公司 [Daido Precision Metal (Suzhou) Co., Ltd.] (中国 江蘇省蘇州市) |
建物 | 635 | 2016年9月 | 2019年12月 |
飯野(佛山)科技有限公司 [IINO (Foshan) Technology Co., Ltd.] (中国 広東省) |
建物 | 159 | 2018年9月 | 2019年3月 |
Dyna Metal Co., Ltd. (タイ チャチョーンサオ) |
半割軸受製造設備 | 207 | 2018年3月 | 2019年1月 |
DM Casting Technology Co., Ltd. (タイ サムットプラカーン) |
アルミダイカスト製造設備等 | 2,812 | 2018年10月 | 2021年2月 |
ATA Casting Technology Co., Ltd. (タイ サムットプラカーン) |
アルミダイカスト製造設備 | 104 | 2018年12月 | 2019年5月 |
Daido Metal Mexico S.A. de C.V. (メキシコ ハリスコ州) |
半割軸受製造設備 | 458 | 2017年5月 | 2019年5月 |