大同メタル工業 (株) 2018年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2018年
3月期
2017年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 106,648 85,073 25.4 以下に記載
営業利益 6,511 5,103 27.6 素材価格の上昇、買収2社関連での一時的な費用増などが生じたが、メキシコ工場安定稼働化による原価低減効果などにより増益。
経常利益 6,708 5,427 23.6 -
親会社株主に帰属する当期純利益 3,281 2,635 24.5 -子会社での固定資産減損損失1.4億円を計上

要因

ー国内:自動車関連は増収。自動車用エンジン軸受やターボチャージャー用軸受などの好調が寄与。また、買収した2社の今期新規計上分売上は21.6億円。

ー海外:北米での売上に関して、自動車関連・建設機械向けの軸受販売が好調。欧州・アジアも伸長し、前年比47.0%増。

事業動向

-来年をめどに中国でテクニカルセンターを開設する。取引先の要望へスピーディーに対応する体制を整え、中国に進出している日米欧の自動車メーカーに加え、中国ローカルメーカーからの受注拡大を目指す。2019年には中国政府が新エネルギー車 (NEV) 規制を開始する。主力のエンジン用軸受けだけではなく、同社やグループ企業が手がける電気自動車 (EV) 向け部品の受注増にもつなげる。(2018年7月30日付日刊自動車新聞より)

-タイのサムットプラカーン県にEV向けアルミダイカスト製品の製造会社「DM Casting TechnologyThailand)」を設立すると発表した。EV向けアルミダイカスト製品の受注拡大を推進し、同製品の先駆者としての地位確立を目指す。資本金は2億タイバーツで、20181月に設立し、20202月に操業を開始する予定。(2018110日付プレスリリースより)

-欧州の完全子会社NPR・オブ・ヨーロッパ(NOE)の株式の一部を大同メタル工業に売却することで合意したと発表した。両社が欧州事業の連携を強化して競争力の高い製品を自動車メーカーに納入する体制を構築するのが狙い。大同メタルはNOEを通じてエンジン軸受などの製品を欧州の自動車メーカーやエンジンサプライヤーに供給していた。(2017年12月26日付日刊自動車新聞より)

受注

ー日産自動車から、2018年量産開始予定の可変圧縮比技術を搭載したVC-Tエンジン用軸受を受注したと発表した。主軸受、大小端軸受に加え、可変機構の各種リンク部分の軸受も含めたエンジン用軸受一式を供給する。VC-Tエンジンは、VCR技術を持たない既存の同クラスエンジン(2L、直列4気筒)の2倍以上の軸受を使用するため、月産は約100万個となる見通し。(2017125日付プレスリリースより)

中期経営計画 (2018-2023)

ー前中期経営計画の目標は
売上高1,110億円、営業利益167億円、営業利益率15.0%であったが、
2018年3月期(計画終了時点)売上高は
1,066億円、営業利益65億円、営業利益率6.1%となった。

ー事業環境がEV化の進展とともに変化し同社事業へ影響を与えるものとみており、エンジン自動車の生産台数は世界全体において増加するとの見通しの一方、小排気量化による気筒数の減少によりエンジンあたりの軸受が減少するとの見立てを示した。

ー同社は、以下「4つの柱」を掲げる。

  • 既存事業の磨き上げ:自動車用軸受に関して、中国・インドでの新規開拓活動・マーケットシェアの拡大、効率化など生産性向上。すべり軸受の全分野において世界市場トップシェアを目指す。
  • 新規事業の創出:研究開発費の拡大、積極的なM&A、また飯野HD、ATAキャスティングテクノロジージャパンとの協業など
  • 経営基盤の整備:中国テクニカルセンターの開設、ドイツにおけるR&Dセンターの設置等
  • 組織の活性化

ー財務戦略として、年100億程度の投資を維持し、自動車用エンジン軸受に関しては市場の縮小へ備え計画期後半は慎重な対応を行う。また、研究開発・新規事業・M&A等に関しては積極投資を進め、かつ自己資本比率35%程度の健全性維持を確保。

項目 2017年度
(実績)
2018年度
(計画)
2020年度
(計画)
2023年度
(目標)
売上高(億円) 1,066 1,070 1,200 1,400
営業利益(億円) 65 67 100 140
営業利益率(%) 6.1 6.3 8.3 10.0
ROE(%) 6.9 8.9 9.5 10.0
設備投資(億円) 86 70 101 100


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
合計 1,923 1,821 1,667

研究開発体制

-2015年10月、米国に北米テクニカルセンターを開設。

研究開発活動

アイドリングストップおよびハイブリッド機構など低燃費対応エンジン用軸受の開発
-従来製品に比べ耐摩耗性・耐焼付性・フリクション特性を飛躍的に向上させ、多様な要求へ対応可能な各種樹脂オーバーレイ(表面処理)を継続的に開発。

新鉛フリーオーバレイ付軸受の開発
-欧州鉛規制に対応する、世界最高水準の軸受性能 (耐疲労性、耐焼付性、耐摩耗性) を有し、さらに劣悪環境下での使用に耐え得る新鉛フリーオーバレイやアルミ合金軸受および銅合金軸受材を開発し、提供中。

レース用軸受の開発
-F1レース、NASCARに使用される、超高速回転に対応する信頼性に優れた軸受を開発し、継続的に納入。

新樹脂材系軸受材料の開発
-自動車用部品や一般産業用部品および発電機用部品などにおいて、さらなる性能向上を図るべく、新樹脂系軸受材料を開発。

ショックアブソーバー用軸受乗り心地向上材料の開発
-自動車のショックアブソーバー用軸受における乗り心地 (操舵安定性、振動吸収など) 向上に寄与する鉛フリー樹脂系軸受材料を開発。さらに性能を向上させるため、継続して材料開発を推進中。

ーその他各種軸受用途におけるすべり軸受の理論解析、分析評価、単体試験評価及びシミュレーション試験評価の研究開発を行う。

設備投資額

(単位:百万円)
2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
全社 8,694 12,329 14,802
-自動車用エンジン軸受・自動車用エンジン以外軸受 4,420 6,970 7,598



設備の新設計画 (自動車用軸受メタル部門)

(2017年3月31日現在)
事業所名
(所在地)
設備の内容 投資
予定
総額
(百万円)
着手 完了
予定
犬山工場
(愛知県 犬山市)
半割軸受製造設備 382 2016年5月 2018年9月
バイメタル製造所
(愛知県 犬山市)
バイメタル (軸受材料) 製造設備、工場用建物 1,634 2015年10月 2018年9月
生産技術センター、研究開発センター
(愛知県 犬山市ほか)
その他設備 475 2015年5月 2018年12月
犬山管理事務所
(愛知県 犬山市)
その他設備 108 2017年9月 2018年9月
本社
(名古屋市中区他)
システム投資 490 2018年1月 2020年4月
大同プレーンベアリング(株)
(岐阜県 関市)
半割軸受製造設備 2,128 2015年12月 2019年8月
大同精密金属(蘇州)有限公司
(中国 江蘇省蘇州市)
半割軸受製造設備 640 2016年9月 2018年12月
大同精密金属 (蘇州) 有限公司
[Daido Precision Metal (Suzhou) Co., Ltd.]
半割軸受製造設備 640 2016年9月 2017年12月
Daido Metal Czech s.r.o.
(チェコ共和国 ブルノ市)
半割軸受製造設備 432 2017年1月 2018年4月
Daido Metal Mexico S.A. de C.V.
(メキシコ ハリスコ州)
半割軸受製造設備 458 2017年5月 2018年5月
DMキャスティングテクノロジー(タイ)Co., Ltd.(タイ サムットプラカーン) 土地 535 2018年1月 2018年5月