(株) 小糸製作所 2015年3月期の動向

ハイライト

業績

 (単位:百万円)
  2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 706,470 597,502 18.2 -
営業利益 64,155 49,506 29.6 -
経常利益 66,880 51,895 28.9 -
当期純利益 36,060 21,378 68.7 -
セグメント別売上高
日本 280,119 277,617 0.9 -自動車生産台数減少のなか、自動車ランプのLED化等により増収。
北米 136,902 93,580 46.3 -自動車需要の回復に伴う生産増加や新規受注の拡大、LED化等に加え、メキシコ工場の稼働もあり、増収。
中国 185,248 149,846 23.6 -自動車需要が増加するなか、日系・欧米系自動車メーカーの受注拡大等により、増収。
アジア 71,865 57,285 25.5 -タイにおける受注拡大、およびインドネシアでの四輪・二輪車の受注拡大等により、増収。
欧州 32,335 19,171 68.7 -欧州経済の持ち直しに伴い、域内自動車販売が堅調に推移するなか、新規受注の拡大、LED化等により、増収。

国内生産再編

静岡工場の生産能力半減以下へ
-2015年度中に国内のヘッドランプの生産能力を現在の年間900万台分から同580万台程度に縮小する。自動車メーカーの海外シフトに伴い、国内の自動車生産台数が減少していくことに伴う措置で、主力の静岡工場 (静岡市清水区) の生産能力を半減以下に縮小させるとともに、九州子会社の能力も2割削減する。円安は進行しているものの、メーカー各社はすでに海外で拠点整備を進めている。国内市場も縮小傾向にあることを踏まえ、大幅にスリム化する。同社は国内のヘッドランプ市場で6割のシェアがあり、1300万台レベルの自動車生産にも対応可能な生産体制を維持してきた。しかし、自動車メーカーによる海外生産シフトと国内市場の縮小に伴い、生産体制のスリム化が必要になっている。 (2014年12月25日付日刊自動車新聞より)

榛原工場にてLEDヘッドランプの生産開始
-リアランプの専用工場である榛原工場(静岡県牧之原市)で2014、2015年をめどに、LEDヘッドランプの生産を始める。新型車のヘッドランプでLED化が急速に進むことに対応するもので、相良工場(同)での増産分と合わせた生産能力を、2015年度に2013年度の2.2倍に当たる年間150万台に引き上げる。榛原工場はリアランプの生産量の減少に応じて生産スペースを半減させたが、一部を再び生産に活用し国内需要の増加に対応する。 (2014年1月6日付日刊自動車新聞より)

欧州再編

ベルギーの営業・開発機能をチェコへ集約
-ベルギーの営業・開発子会社の機能を2015年4月にチェコの生産子会社に集約すると発表。ベルギーの子会社は同年9月に清算する。開発・販売機能を生産と一体的に運営し、受注活動を強化する。コイト・ヨーロッパ (ベルギー・ルーヴェン市) の全事業を、コイト・チェコ (ジャーテッツ市) に譲渡する。欧州生産車向けの営業・開発は、これまでコイト・ヨーロッパで行ってきたが、英国、チェコそれぞれの生産拠点で行うようにする。営業・開発・生産の一貫体制の構築は他の地域でも進めており、欧州でも同様の体制に移行する。 (2014年12月1日付日刊自動車新聞より)

受注

-ロービームとハイビームを一体化した1灯式のLEDヘッドランプを世界で初めて量産化し、トヨタ自動車の 「Priusα」 に採用されたと発表。同モデルを含め、すでに29車種への採用が決まっており、今後、世界各地に展開する。新型LEDヘッドランプ「LED1灯式バイ・ファンクションプロジェクタ」は、LEDの明るさを同社従来品に比べ1.6倍に高めたことにより、ロービーム用とハイビーム用の一体化を可能にした。同社では2017年に国内でのヘッドランプ生産の5割以上がLEDになる見通し。 (2014年11月20日付日刊自動車新聞より)

中期業績見通し

-2015年5月、2015~2018年度の中期業績見通しを発表した。自動車生産台数が2018年度に世界で9200万台に拡大するとの見通しを前提に、同年度の売上高を2014年度比27%増の9千億円、営業利益を同22%増の780億円に設定した。2018年度の世界自動車生産台数は、2014年度の8598万台から7%増えると見ている。この中で受注活動の強化による市場シェア向上、LEDヘッドランプの拡販に取り組むとともに、生産能力を増強して売り上げを拡大する。 (2015年5月12日付日刊自動車新聞より)

-技術開発としては、ヘッドランプのデザイン性・安全技術のさらなる進化と、次世代光源の開発による新製品の投入を図る。

 (前提為替レート:米ドル/110円)
2014年3月期
(実績)
2015年3月期
(実績)
2016年3月期
(計画)
2019年3月期
(見通し)
2015年3月期と2019年3月期の比較
増減 指数
世界生産台数 (万台) 8,442 8,598 8,750 9,200 602 107%
売上高 (億円) 5,975 7,064 7,800 9,000 1,936 127%
営業利益 (億円) 495 641 670 780 139 122%
利益率 8.3% 9.1%
8.6%
8.7% - -

地域 重点方策
日本 -LEDヘッドランプの拡販
-国内工場再開発による高効率生産体制の構築
北米 -日系・米国メーカー向けビジネスの拡大
-LEDヘッドランプの拡販
欧州 -欧州メーカー向けビジネスの拡大
-受注・開発体制のさらなる強化
中国 -成長市場での確実なビジネス強化
-現地生産体制の拡充 (湖北小糸: 2016年6月稼働予定)
アジア -成長市場での確実なビジネス拡大
-受注・開発体制のさらなる強化

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

 (単位:百万円)
2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 27,900 24,700 20,000
-日本 13,200 12,800 11,900
-北米 5,800 4,500 3,300
-中国 5,500 4,400 2,600
-アジア 2,800 2,500 1,800
-欧州 300 300 300

研究開発体制

-同社技術センター (日本) を中心に、米国ではNorth American Lighting, Inc. 「技術センター」、欧州ではベルギーにおけるKoito Europe NV 「技術セクション」、中国では上海小糸車灯有限公司「技術センター」、Thai Koito Company Limited技術センターの世界5極で実施。

-2015年3月末時点のグループ全体の研究開発人員は2,609名。

研究開発活動

<日本>
-自動車照明器のコア技術 (光学、電子、機構、構造等) の開発

  • レーザーを用いたヘッドランプの開発 (高輝度、遠方視認性に優れた配光、超小型で革新的なデザインが可能)
  • 有機EL (OLED) を用いた標識灯の開発 (面発光・超薄型・軽量の特徴を有し、形状の曲面化や消灯時の透明化等にも対応。ロゴマークや模様の発光等、標識灯のデザインの可能性が拡大)

-生産技術の開発
-シミュレーション技術の開発
-ITS関連機材としてのシステム開発
-インターネットを応用したシステム開発
-照明器以外の自動車部品の開発
-新規事業分野の新商品開発  等

<北米、中国、アジアおよび欧州>
-自動車照明器のコア技術 (光学、電子等) の開発
-生産技術の開発

技術供与契約 (自動車部品関連)

 (2015年3月31日現在)
相手方の名称 契約内容 契約期間
Hella Automotive Mexico S.A. de C.V.
(メキシコ)
技術情報の提携
製造、販売権の許諾
1992年4月22日から23年間
Industrias Arteb S.A
(ブラジル)
技術情報の提供
製造、販売権の許諾
2012年10月4日から5年間
Farba Otomotiv Aydinlatma ve Plastik Fabrikalari A.S.
(トルコ)
技術情報の提供
製造、販売権の許諾
1997年10月24日から18年間
Hella Australia Pty Ltd.
(豪州)
技術情報の提供
製造、販売権の許諾
1994年5月1日から25年間
Lumotech (Pty.) Ltd.
(南アフリカ)
技術情報の提供
製造、販売権の許諾
2006年5月4日から10年間
EP Polymers (M) Sdn. Bhd.
(マレーシア)
技術情報の提供
製造、販売権の許諾
1995年4月29日から20年間
AuVitronics Ltd.
(パキスタン)
技術情報の提供
製造、販売権の許諾
2005年3月7日から15年間
AMS Co., Ltd.
(韓国)
技術情報の提携
製造、販売権の許諾
2013年1月16日から7年間
AVTOSVET Limited Liability Company
(ロシア)
技術情報の提携
製造、販売権の許諾
2013年3月21日から5年間

設備投資額

 (単位:百万円)
2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
日本 15,000 10,100 8,300
北米 16,800 8,400 3,600
中国 9,700 9,700 2,200
アジア 5,100 4,900 7,200
欧州 1,600 1,300 800
合計 48,400 34,500 22,200

-2015年3月期は、生産の合理化ならびに更新、製品の高品質化、原価低減などを目的として、日本を中心に投資を実施。

海外投資

<中国>
-中国湖北省にヘッドランプとリアランプを生産する子会社を設立すると発表。80億円を投資し、2016年7月から稼働する。内陸部で生産能力を増強している自動車メーカーに対応して供給体制を整え、中国事業の収益向上を図る。資本金10億円を同社が全額出資して新会社を設立する。資本金は設備導入などの進捗により増資する。2016年末までにヘッドランプとリアランプを各50万台生産する。 (2014年7月31日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画

 (2015年3月31日現在)
会社/事業所 設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了
静岡工場
(静岡県静岡市)
自動車照明器製造設備 4,864 2015年
4月
2016年
3月
榛原工場
(静岡県牧之原市)
自動車照明器製造設備 7,788 2015年
4月
2016年
3月
相良工場
(静岡県牧之原市)
自動車照明器製造設備 1,014 2015年
4月
2016年
3月
小糸九州 (株)
(佐賀県佐賀市)
自動車照明器製造設備 2,485 2015年
3月
2016年
3月
アオイテック (株)
(静岡県浜松市)
自動車照明器製造設備 1,156 2015年
3月
2016年
3月
North American Lighting, Inc.
(米国イリノイ州)
自動車照明器製造設備 7,765 2015年
3月
2016年
3月
North American Lighting Mexico, S.A. de C.V.
(メキシコ サンルイスポトシ州)
自動車照明器製造設備 2,660 2015年
3月
2016年
3月
上海小糸車灯有限公司
[Shanghai Koito Automotive Lamp Co., Ltd.]
(中国上海市)
自動車照明器製造設備 2,599 2015年
3月
2016年
3月
広州小糸車灯有限公司
[Guangzhou Koito Automotive Lamp Co., Ltd.] (中国広州市)
自動車照明器製造設備 2,917 2015年
3月
2016年
3月
湖北小糸車灯有限公司
[Hubei Koito Automotive Lamp Co., Ltd.]
(中国孝感市)
自動車照明器製造設備 2,870 2015年
3月
2016年
3月
Thai Koito Co., Ltd.
(タイ サムットプラカン県)
自動車照明器製造設備 3,143 2015年
3月
2016年
3月
India Japan Lighting Pvt. Ltd.
(インド タミルナドゥ市)
自動車照明器製造設備 2,339 2015年
3月
2016年
3月