住友電気工業_2008年3月期の動向
ハイライト
(単位: 百万円) |
2008年 3月期 |
2007年 3月期 |
増減率 | 要因 |
全社 | ||||
売上高 | 2,540,858 | 2,384,395 | 6.6% | 徹底したコスト低減や品質の向上、新技術・新製品の開発に取り組むとともに、事業再編を図り、収益基盤の強化に取り組む。 |
営業利益 | 148,996 | 128,745 | 15.7% | |
経常利益 | 169,644 | 145,368 | 16.7% | |
当期純利益 | 87,804 | 76,029 | 15.5% | |
自動車関連事業 | ||||
売上高 | 1,199,352 | 1,095,852 | 9.4% | 自動車用ブレーキ事業をアイシン精機(株)へ譲渡したことによる売上の減少はあったが、ワイヤーハーネスは受注対象車種のグローバルな販売増加や、欧米での新規搭載車種の増加により売上が増加。また、防振ゴムも北米・中国で受注・生産が拡大し、国内外ともに売上増加。 |
営業利益 | 74,532 | 58,048 | 28.4% |
子会社化
-住友電装(株)を完全子会社化
2007年8月1日付で、子会社の住友電装(株)を完全子会社化する。統一したガバナンスの下で経営資源の一体運営を実現するとともに、素材や情報通信など同社グループが持つ技術を活用した新製品・新技術の開発を推進していく考え。同社グループは自動車用ワイヤーハーネス事業をコア事業の1つと位置づけ、同社が事業企画・営業を、住友電装が設計・製造を担当するという事業体制を執っている。
事業譲渡
-自動車用ブレーキ事業をアイシン精機(株)に譲渡
2007年10月1日付で、同社の自動車用ブレーキ事業をアイシン精機(株)に譲渡する。両社は(株)デンソー、トヨタ自動車(株)とともに、自動車用ブレーキシステムの製造・販売を行う(株)アドヴィックスを2001年に設立。このアドヴィックスを中核とする自動車用ブレーキ事業を成長させるためには、両社の製造部門を統合することで、生産の合理化および効率化を進める必要があると判断。アドヴィックスの連結親会社であるアイシンへの事業譲渡することが決定したもの。これに伴い、両社は新会社「ASブレーキシステムズ(株)」を設立。アイシンへの生産移管が完了するまでの暫定法人として、自動車用ブレーキの製造を担当する。また、同社のタイ生産法人「SEI Brake Systems (Thailand), Ltd.」については、株式譲渡の形でアイシンが株式を取得する。(2007年9月3日付プレスリリースより)
アイシン精機への自動車用ブレーキ事業譲渡に伴い、ブレーキ関連製品の製造・販売を行う完全子会社「住友電工ブレーキシステムズ(株)」(SEIB)を解散・清算する。SEIBの機能は同社とアイシン精機(株)による合弁会社「ASブレーキシステムズ(株)」に移管される予定。SEIBの解散および清算時期は未定。(2008年3月26日付プレスリリースより)
会社設立
-ベトナムに生産拠点を設立
2008年2月、住友電装(株)は子会社「Sumi Vietnam Wiring Systems Co., Ltd.」を設立。自動車用ワイヤーハーネスの製造・加工および販売を行う。(2008年2月4日付プレスリリースより)
>>> 詳細は 設備投資 参照
買収
-ドイツの焼結部品メーカー買収
2007年9月、ドイツの焼結部品メーカー「Cloyes Europe GmbH」を買収。持分のうち40%を同社が、60%を同社の完全子会社である「住友電工焼結合金(株)」が取得する。
海外動向
-ワイヤーハーネス事業
欧州においては、FiatやIveco等の非日系の受注が増加。また、PSAやRenaultの新規車種を受注し、2009年以降のシェア向上が見込まれる。また、人件費が高騰しているポーランドやスロバキアから、モロッコやチュニジア、ウクライナ等への生産拠点移転を推進または検討中。
中国、インド等の新興市場では、日系カーメーカーの需要を安定的に確保しており、シェアは40%を超えている。一方、非日系は10%強に留まっており、今後のシェア拡大が課題。
開発動向
(単位:百万円) | 2008年3月期 | 2007年3月期 | 2006年3月期 |
全社 | 72,271 | 68,373 | 64,427 |
自動車分野 | 41,382 | 40,891 | 38,019 |
研究開発体制および活動
大阪製作所に研究開発棟を新築し、高温超伝導など新規の研究開発分野の強化を図る。周辺の緑地帯などを含めた一連の投資額は約80億円の予定。110周年事業の一環として位置付け、2007年夏に着工し完成は2009年4月の予定。新築する研究開発棟は「WinD
Lab(ウインド・ラボ)」で、建屋の規模は鉄筋7階建て延べ床面積1万550平方メートル。同製作所内に分散する研究部門を集結し従来の電線・エレクトロニクス・自動車などの研究分野から、環境と資源分野における超伝導や新素材、自動車と情報通信分野におけるユキビタス分野など、新規事業領域の拡大を推進する。完成後は、現在の約530人の研究スタッフのうち、6割の約330人が新開発棟で研究に従事する見通し。(2007年3月20日付日刊自動車新聞より)
ワイヤーハーネス/車載エレクトロニクス機器事業
同社と住友電装(株)、および両社の共同出資によるオートネットワーク技術研究所を中心に、安全・快適・環境のニーズに対応した新製品の開発を行っている。
2007年8月、住友電装(株)を完全子会社化。統一したガバナンスの下で素材や情報通信など同社グループが持つ技術を活用した新製品・新技術の開発を推進中。
車載エレクトロニクス機器はIT化、高機能化、ネットワーク化に対応すべく、PD(Power Distributor)等のエレクトロニクス機器や、CDU(Center
Display Unit)システム、次世代の車載LAN、およびそれらのソフトウェア開発を推進しており、これに適したハーネスシステムの開発も併せて行っている。
環境対応の観点から、以下の開発に取り組む。
- ワイヤーハーネスの軽量化
- HEV(Hybrid Electric Vehicle)用高圧ハーネスの開発
- ワイヤーハーネスに含まれる環境負荷低減物質の低減技術(ハロゲンフリー電線、鉛フリー半田、半田レス接続端子など)の開発
-新製品の品質確保と開発期間短縮に対応すべく、要素技術開発に不可欠な試験・分析・評価・解析技術の開発を推進。ワイヤーハーネスの寿命推定や電子モジュール製品の熱・振動解析等、CAE(Computer-Aided
Engineering)技術を用いたシミュレーション機能を充実させるなど、試作レス開発を指向した技術開発にも取り組む。
防振ゴム事業
東海ゴム工業(株)において、低コスト化、乗り心地性向上、さらにはグローバル対応を目指して先進的な技術開発に取り組み、あわせて地球環境保護の面からガソリン等の低透過対応やバイオマス材料技術および有害物質の削減等、環境対応技術の研究を進めている。
省資源・温暖化対策に向けた取り組みとして、CO2排出量削減を目的とした高容量電池用積薄膜電極材の製造技術開発(地球環境産業技術研究機構の技術開発促進事業テーマ)、車両の軽量化による燃費向上を目的としたマグネシウム合金展伸材の高強度・高靭性化技術開発(新エネルギー・産業技術総合開発機構の実用化研究)を推進。
設備投資
(単位:百万円) | 2008年3月期 | 2007年3月期 | 2006年3月期 |
全社 | 121,912 | 119,887 | 121,830 |
自動車分野 | 72,846 | 69,075 | 75,263 |
-自動車関連事業では、ワイヤーハーネス・防振ゴムの増産、効率化のための投資を行った。
海外投資
-ベトナム
2008年2月、ハーナム省に子会社「Sumi Vietnam Wiring Systems Co., Ltd.」を設立。自動車用ワイヤーハーネスの製造・加工および販売を行う。資本金は17百万米ドルで、住友電装(株)の全額出資による。操業開始は2009年1月の予定。2011年12月期には売上高90百万米ドル、従業員約2,500名を計画している。(2008年2月4日付プレスリリースより)
設備投資計画 (2009年3月期)
-全社で135,000百万円の投資を計画。
-自動車関連事業では、ワイヤーハーネスと防振ゴムの製造設備等に79,000百万円の投資を予定。
-ワイヤーハーネスは、中国をはじめとするアジアで生産能力増強、新規受注車種への対応投資、欧州での生産拠点移転投資を行う計画。
-防振ゴムに関しては、北米・アジア等で東海ゴム工業(株)の生産能力を増強する。