(株) ジェイテクト 2015年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2015年 3月期 |
2014年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 1,355,992 | 1,260,192 | 7.6 | - |
営業利益 | 74,154 | 58,207 | 27.4 | - |
経常利益 | 79,379 | 61,856 | 28.3 | - |
当期純利益 | 42,520 | 23,384 | 81.8 | - |
機械器具部品 | ||||
売上高 | 1,197,707 | 1,119,584 | 7.0 | -ステアリングの販売が大幅に増加。 |
営業利益 | 63,122 | 52,325 | 20.6 | -増収および円安の効果。 |
受注
<トヨタ>
-燃料電池自動車「MIRAI」に搭載される高圧水素供給バルブおよび減圧弁を新たに開発し、生産を開始したと発表。(2014年12月16日付プレスリリースより)
事業動向
<中国>
-中国でピニオンアシストタイプの電動パワーステアリング (P-EPS) の生産を開始したと発表。福建省に設置している生産子会社、捷太格特轉向系統 (厦門) に生産ラインを新設。6月から欧州メーカーと中国メーカーの合弁会社向けに供給を開始した。中国でP-EPSを生産するのは初めて。日本、欧州に続き、中国に生産地域を拡大したことになる。ライン新設に伴う投資額、生産能力は公表していない。今後は中国で欧州メーカーから第2、第3の受注を目指す。(2014年7月23日付日刊自動車新聞より)
事業再編
-2017年度までに軸受けの国内生産体制を再編する。国分工場 (大阪府柏原市) の自動車用軸受けと軸受け製造用の鍛造工程を全面移管。自動車用軸受けは主に亀山工場 (三重県亀山市) に、鍛造は香川工場 (香川県東かがわ市) に移設する。国分工場は産業用軸受けの専用工場として再構築する。15年から16年にかけて亀山工場と香川工場を増築。移管作業とともに、国分工場の生産ラインの整流化を行う。亀山工場と香川工場の拡張、国分工場の最適化に伴う投資は17年度までに約90億円を見込む。改めて強固な国内基盤を築き、軸受け事業の競争力を高める。(2015年2月6日付日刊自動車新聞より)
中期経営計画
-2019年度を最終年とする中期経営計画を策定。自動車部品事業では、ステアリング部門においては、厳しいグローバル競争に打ち勝つため、画期的な原価低減活動の強化と市場トレンド変化への対応により、世界No.1サプライヤーの維持を目指す。駆動系部品部門では、4WDビジネスのトップシェア確立に向け、欧米市場への対応力強化と集中と選択による注力事業の見極めを行い、採算性の改善を推進する。軸受事業では、国内外工場の構造改革のスピードアップ、優位性のある「No.1 & Only One」商品の開発、販売体制の整備と勝てる営業プロセスの確立、生産(技術)力のさらなる強化により、市場の伸びに追随できる体質への転換に取り組む。
中期経営計画の数値目標
2015年3月期 (実績) |
2016年3月期 (計画) |
2020年3月期 (目標) |
|
営業利益率 | 5.5% | 5.7% | 8.0% |
設備投資額 | 684億円 | 750億円 | 750億円 |
減価償却費 | 570億円 | 600億円 | 650億円 |
研究開発比率 | 3.0% | 3.1% | 4.0% |
ROA | 3.9% | 4.4% | 5.0%以上 |
為替レート | 110円/USD 138円/EUR |
115円/USD 125円/EUR |
95円/USD 130/EUR |
2016年3月期の見通し |
(単位:億円) |
2016年3月期 (予想) |
2015年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
売上高 | 13,700 | 13,559 | 1.0 |
営業利益 | 780 | 741 | 5.2 |
経常利益 | 800 | 793 | 0.8 |
当期純利益 | 490 | 425 | 15.2 |
2016年3月期 事業別売上高の見通し |
(単位:億円) |
2016年3月期 (予想) |
2015年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
機械器具部品計 | 12,105 | 11,977 | 1.1 |
-ステアリング | 6,715 | 6,477 | 3.7 |
-ベアリング | 3,950 | 4,026 | (1.9) |
-ドライブライン | 1,440 | 1,472 | (2.2) |
工作機械等計 | 1,595 | 1,582 | 0.8 |
合計 | 13,700 | 13,559 | 1.0 |
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2015年3月期 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | |
全社 | 41,320 | 40,151 | 36,355 |
研究開発拠点
<日本>
事業部 | 名称 | 所在地 |
自動車部品事業本部 | 東部テクニカルセンター | -神奈川県 横浜市 |
中部テクニカルセンター | -愛知県 岡崎市 | |
西部テクニカルセンター | -奈良県 橿原市 | |
軸受事業本部 | 東部テクニカルセンター | -神奈川県 横浜市 |
中部テクニカルセンター | -愛知県 豊田市 | |
西部テクニカルセンター | -大阪府 柏原市 |
<海外>
-中国・江蘇省無錫市に設置しているテクニカルセンターで新社屋の竣工式を実施したと発表した。2013年6月に同テクニカルセンターを無錫市内で移転、拡張することを決め、準備を進めていた。従来、中国での開発業務は軸受分野のみにとどまっていた。今後は新社屋の設置を機に開発領域を拡大し、ステアリングや駆動製品などの自動車部品分野も手がける。現地に進出する日系自動車メーカーなどの開発の現地化に対応し、競争力を高める。(2014年5月17日付日刊自動車新聞より)
製品開発
ステアリング部門
-既に量産化しているデュアルピニオンタイプ電動パワーステアリング (DP-EPS) に加えて、ボールねじ機構を介して直接出力軸へ伝える、ラックパラレル式電動パワーステアリング (RP-EPS) を新たに市場に投入すべく取り組んでいる。
-自動車向け機能安全国際規格ISO26262において電動パワーステアリング (EPS) に要求される高い安全水準の要求に応えるために、運転者の操作を検知するトルクセンサおよびアシストトルクを発生させるモータコントロールユニット (MCU) に二重化設計 (冗長設計) を採用し、世界に先駆けて量産化を実施した。
-トルクセンサーの異常などでハンドルが切りにくくなる不具合を回避する世界初の電動パワーステアリング(EPS)を開発し、量産を開始した。モーター駆動部のソフトウエア制御、電子回路を2系統に分割し、万一の際に片方のシステムで性能を維持する。運転者が介在せずに自動でバックアップを作動させる仕組みとし、自動運転に対応する拡張性も持たせた。機能安全の国際規格ISO26262にも準拠し、ライフサイクル全体で安全性を高めている。性能向上が評価され、トヨタ自動車の新型「アルファード/ヴェルファイア」に初採用された。(2015年3月25日付日刊自動車新聞より)
駆動系部品
-独自シール構造により消費流量を低減した小型軽量リニアソレノイドバルブ、構成部品の強度バランスを最適化することで小型・軽量化した新型等速ジョイント (Constant Velocity Universal Joint)、電磁クラッチの表面形状の工夫などで温度によるトルク変化を大幅に低減した第3世代電子制御カップリングITCC (Intelligent Torque-Controlled Coupling)、小型・軽量化したプロペラシャフト用ダブルオフセットジョイント (Double Offset Joint)といった新商品を2014年に順次展開。
ベアリング部門
-円すいころ軸受の低トルク化技術LFT (Low Friction-Torque Bearing) シリーズ (LFT-I、II、III) をさらに進化させた次世代の超低トルク円すいころ軸受、LFT-IVの開発の目処付けを完了した。
-自動変速機(AT)の低燃費化などに貢献する新型軸受けを開発したと発表した。「超薄肉スラスト針状ころ軸受」と「高速回転プラネタリ用針状ころ軸受」を開発し、量産技術を確立した。超薄肉スラスト針状ころ軸受は滑り摺動部の転がり化を実現してユニットの効率を改善。さらに軸受け単体で現行の銅ワッシャーに対して80%以上のフリクション低減が期待できる。高速回転プラネタリ用ころ軸受はATの多段化に向けたプラネタリギアの高速化を図るもので、従来に比べて5~15%の高速性を実現する。さらに軸幅を約10%低減している。当面、月20万個の販売量を確保することを目指す。部品を受注した際の生産は、ジェイテクトのグループ会社宇都宮機器(栃木県宇都宮市)で行うとしている。(2014年11月13日付日刊自動車新聞より)
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2015年3月期 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | |
全社 | 68,409 | 76,457 | 109,602 |
-機械器具部品 | 57,884 | 67,807 | 95,771 |
機械器具部品
-2015年3月期は、各地域の生産拠点の設備増強等を実施した。
海外投資
<米国>
-サウスカロライナ州のRichland郡にあるKoyoブランドのベアリング工場を拡張したと発表した。130百万ドルを投じて25万平方フィートを拡張。これにより同社は、米国市場向けに必要な自動車用ホイールベアリングハブユニットの生産量を確保する。同工場では、今後3年間で175名の従業員を新たに雇用する計画。(2014年7月10日付け各種リリースより)
設備の新設計画 |
(2015年3月31日現在) |
事業所名 | 所在地 | 設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
花園工場 | 愛知県 岡崎市 |
機械器具部品 製造設備等 |
3,900 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
徳島工場 | 徳島県 藍住町 |
機械器具部品 製造設備等 |
2,800 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
香川工場 | 香川県 東かがわ市 |
機械器具部品 製造設備等 |
2,300 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
ダイベア (株) 本社・和泉工場ほか |
大阪府 和泉市 |
機械器具部品 製造設備等 |
1,300 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
Koyo Bearings North America LLC | 米国 ミシガン州ほか |
機械器具部品 製造設備等 |
5,100 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |