旭硝子 (株) 2010年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2010年12月期 2009年12月期 増減率 (%) 要因
全社
売上高 1,288,947 1,148,198 12.3
-
営業利益 229,205 86,682 164.4
-
経常利益 226,806 87,207 160.1
-
当期純利益 123,184 19,985 516.4
-
ガラス事業
売上高 570,921 525,008 8.7
1)
営業利益 21,163 (35,023) -
-

要因
1)ガラス事業
-自動車ガラスについては、2010年前期半ば以降に出荷が順調に回復。各国の需要喚起策の効果もあり、前年の2,115億円に対し17.2%増加し2,478億円となった。これは、ガラス事業全体の約43%に相当。

経営戦略

・グループ全体で中期経営計画"Grow Beyond-2012"を掲げている。
計画達成のための課題は、1. 既存事業の収益力強化と2. 成長基盤の構築としている。

1. 既存事業の収益力強化
-自動車ガラスでは、省エネ、快適性能を追求した製品の開発加速・提案、生産技術の更なる向上、地域に密着した最適性能の製品提供が課題。

2. 成長基盤の構築
-自動車ガラスの開発注力分野は、高性能ガラス(遮熱・軽量などエコカー向けガラス・UVカット率99%のフロントドア用強化ガラスなど)の開発。
-地域では、既進出新興地域での更なるプレゼンス強化(ロシア、中国、タイ、インドネシア、インド)と、未進出地域への事業展開の推進(ブラジル)を鍵としている。

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
グループ全体 39,399 44,958 37,700
-ガラス事業 8,174 9,611 9,160
比率(%) 20.7 21.4 24.3

-2011年度の研究開発費はグループ全体で約50,000百万円を計画。

研究開発体制

-自動車ガラスの研究開発拠点は、欧州(ベルギーのJumet及びFleurus)、日本(相模、愛知、横浜)、米国(ミシガン州デトロイト)の3極体制。

研究開発活動

ガラス部門
-板ガラスや自動車ガラスに関する新商品・新技術開発、板ガラスの生産性向上、各種自動車ガラス製品の設計・生産に関するコンピュータシミュレーション技術開発、生産技術開発などを実施。
-太陽光発電用ガラス生産技術、導電膜、低反射膜などの技術開発に注力。
-ガラス生産過程で発生する炭酸ガスの削減技術、革新的ガラス生産技術の開発。

製品開発

MEA開発
-2015年を目標に掲げる燃料電池自動車(FCV)の普及にむけ、燃料電池のキーデバイスであるMEA(電解質及び膜・電極接合体)の開発を加 速する。耐久性を強化する高温・低加湿時のMEA特性を向上、燃料電池システムの簡素化に役立てる。各国の自動車メーカーは、15年をFCVの一般ユー ザーへの普及スタート年に掲げており、材料面から市販化に欠かせないコストダウンにつなげる。(2010年1月28日付日刊自動車新聞より)

樹脂ウインドー
-2014年にも自動車用樹脂ウインドーの量産化に乗り出す。軽量化をはじめ、より専用性が求められる電気自動車 (EV)用部品に対応するのが目的。同社では15年のグローバル新車需要見込み8千万台のうち20%以上をEVで占めると予測している。このため、EV用 に特化した樹脂製ウインドーの開発を加速、少なくとも14年までに量産体制を整える。自動車メーカーへはすでに提案活動を展開しており、将来的にはプラグ インハイブリッド車(PHV)やハイブリッド車(HV)など、次世代自動車への採用を図る(2010年2月24日付日刊自動車新聞より)

ガラス・セラミックス基板
-自動車のヘッドライトなど高出力LED照明用のガラスセラミックス基板を開発、7月から販売を開始すると発表した。ガラスセラミックスの採用に より既存のアルミナ基板に対し輝度が約20-30%向上、放熱性や耐久性にも優れているほか、成形も容易という。台湾に生産工場を新設し生産を開始してお り、7月から量産体制に入る。月産2千万個からスタート、生産量を段階的に引き上げていく。2020年に見込む高出力 LED基板の市場規模1千億円に対し、シェア20%以上、売上高で200億円以上を目指す。(2010年6月17日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
グループ全体 117,400 124,900 252,147
-ガラス事業 34,600 45,900 102,957
ガラス事業構成比 29.4% 36.7% 40.9%


-2011年度の設備投資費はグループ全体で約200,000百万円を計画。

-AGC Glass Europeは、本社をベルギーBrusselsからBrussels郊外のLouvain-la-Neuveに移転することを明らかにした。約29百万ユーロを投じて新社屋を建設し、現在国内の複数拠点に分散している管理部門を集約する。2013年前半から順次入居を開始する予定。(2010年5月27 日付プレスリリースより)