愛知製鋼 (株) 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
2012年
3月期
2011年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 227,478 215,453 5.6 -
営業利益 8,458 14,072 (39.9) -
経常利益 7,925 12,873 (38.4) -
当期純利益 4,246 15,205 (72.1) -
部門別売上高
鋼材 127,362 119,346 6.7 -販売数量の増加と販売価格の改善効果により、増収。
鍛造品 87,423 85,856 1.8 -販売数量の増加と販売価格の改善効果により、増収。
電磁品 9,085 6,793 33.7 -MIセンサおよび電子部品の販売数量増加により、増収。

事業方針

-高性能磁石向け磁粉「マグファイン磁粉」事業で、自動車用モーターへの用途拡大を促進する。高性能磁石を用いることでモーターの小型、軽量化が可能で、これまでパワーシート用モーターやABSモーターに利用されているが、さらにコンプレッサー用やファンモーターへの採用を目指す。また、高回転型モーターとすることで、出力やトルクを維持したまま、磁石使用量を大幅に減らすことが可能で、モーター全体として小型、軽量のほかコスト面での優位性もアピールする。(2011年7月25日付日刊自動車新聞より)

2013年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2013年3月期
(予想)
2012年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 234,000 227,478 2.9
営業利益 8,500 8,458 0.5
経常利益 8,000 7,925 0.9
当期純利益 5,000 4,426 13.0

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
鋼材 2,378 - -
鍛造品 205 - -
電磁品 753 - -
合計 3,337  2,776 2,531

研究開発体制

-2012年3月31日現在、研究開発人員は約190名。

研究開発活動

鋼材
-自動車の燃費向上に貢献する高強度コンロッド用鋼の研究開発。
-CO2低減に貢献する真空浸炭用鋼の研究開発。
-省Mo肌焼鋼の新商品開発。
-エネルギー・環境・インフラ分野を狙ったステンレス鉄筋バー、二相系ステンレス形鋼等の研究開発。

鍛造品
-金型表面改質技術、金型潤滑技術、鍛造品自動検査技術などの要素技術の開発。
-部品毎の工程・設備革新への具体的取組を推進。

電磁品
-超小型電子コンパスの開発。
-ネオジム系異方性ボンド磁石マグファインの耐酸化性・耐熱性の向上技術開発。

製品開発

レアアースの大幅節減に効果を持つ新型磁石
-レアアースの大幅節減に効果を持つ新型磁石の量産を開始したと発表した。ネオジム系磁石は保磁力を高めるためにレアアースのディスプロシウム(Dy)を添加するケースが一般的だが、これを使用せずに14-20KOe(=エルステッド)の高保磁力を確保する新技術を確立。さらに磁石形状の薄肉化を図ることにも成功し、ネオジムの使用量を3割低減することに成功した。電動工具向けにリング磁石を商品化し、9月から生産、供給を開始した。年内には自動車の車体回りに使用するモーター用磁石も供給開始する。(2011年10月3日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
鋼材 6,361 - -
鍛造品 3,480 - -
電磁品 793 - -
その他 15 - -
合計 10,649  20,528 8,163

鋼材
-製造設備の合理化および維持更新・環境対応等に投資。

鍛造品
-製造設備の合理化および維持更新等に投資。

電磁品
-生産能力増強等に投資。

国内投資

-国内鋼材事業の主力拠点である知多工場(愛知県東海市)に圧延設備や検査ラインを新設する。同工場で先月稼働したブルーム連続鋳造機に直結させ、製造から検査までの一貫工程を2015年をめどに完成させる。製造後に迅速に製品品質を検査することで稼働効率を高め、リードタイムの短縮やコスト低減を狙う。(2011年7月8日付日刊自動車新聞より)

-生産能力増強等知多工場(愛知県東海市)のブルーム連続鋳造機を更新し稼働を開始したと発表した。ブルーム連続鋳造機は溶鋼を連続的に凝固させ特殊鋼の半製品(鋳片)をつくる。知多工場には1号機と2号機があるが、1号機が稼働から約30年が経過し老朽化したことから、現有設備の隣接地に新設した。鋳造能力は年間100万トン。設備投資額は250億円。3号機となる新ブルーム連続鋳造機は、溶鋼を固める装置が3段階ある「3ストランド鋳造」を採用。溶鋼を鋳型に送り込むタンディッシュを大型化したほか、油圧式鋳型振動やミスト冷却を取り入れ表面品質の改善につなげた。(2011年6月10日付日刊自動車新聞より)

海外投資

<タイ>
-タイ新工場の起工式を実施したと発表した。既存のタイ工場では鍛造品を加工していたが、今後の需要増を見込み、鍛造工程から一貫して生産できるようにする。第一期工事の投資額は約20億円。2012年6月に稼働する。さらなる増強は需要動向を見極め決定する。新工場はチョンブリ県ピントンに設立する。敷地面積は従来の約6倍となる約10万平方メートルに拡大する。同県アマタナコンにある既存工場は閉鎖し、機能は新工場へ移管する。生産能力は当面現状を維持する。既存工場では、トヨタ自動車が生産するIMV(革新的国際多目的車)に搭載される、エンジン、プロペラシャフトなどの鍛造部品の機械加工、出荷検査などを行っている。能力は月間100万個。鍛造工程はフィリピンおよび中国の子会社が行っている。(2011年5月12日付日刊自動車新聞より)

設備の新設

(2012年3月31日)
事業所名
(所在地)
事業の
種類
設備内容 投資予定
総額
(百万円)
着工 完了 完成後の
増加能力
知多工場
(愛知県東海市)
鋼材他 製鋼設備、圧延設備他 26,738 2009年
7月
2013年
8月
*
刈谷工場
(愛知県刈谷市)
鋼材 圧延設備他 1,484 2009年
11月
2013年
6月
*
鍛造工場
(愛知県東海市)
鍛造品 鍛造品生産設備 4,339 2010年
12月
2013年
12月
*
東浦工場
(愛知県知多郡)
電磁品他 磁石応用製品製造設備他 87 2006年
3月
2015年
3月
*
電子部品工場
(愛知県東海市)
電磁品 電子機能材料、部品製造設備 263 2011年
12月
2013年
3月
*
*設備完成後の生産能力は、2012年3月末とほぼ同程度となる見込み。