(株) リケン 2018年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2018年 3月期 |
2017年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 87,583 | 75,904 | 15.4 |
-国内販売増加や新規連結効果に加え、海外市場での販売が伸長。 |
営業利益 | 7,441 | 5,902 | 26.1 | -売上増に伴い利益増 |
経常利益 | 8,379 | 5,982 | 40.1 | -持分法投資利益の増加による。 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 4,386 | 3,928 | 11.6 | -減損計上があったものの前期比増。 |
事業提携
ー2018年度、同社は田中精密工業(株)との業務提携に向けた検討を開始。2社の提携によりさらなる事業展開、事業拡大、新製品・新事業の創出を目指す。田中精密工業は、塑形材加工技術、高精度加工技術、アッセンブル技術等に強みを持っており、材料技術、表面処理技術などに強みを持つ同社との協業によりさらなる業務の拡大を進める。
-2017年4月、同社はブラザー精密工業株式会社とカムシャフト事業に関し業務提携し、愛知県知立市に生産合弁会社である株式会社リケンブラザー精密工業を設立。
経営計画
事業環境と見通し
同社は自動車産業の今後の見通しについて、
- 新興国中心にグローバル市場が拡大していく
- 自動車技術革新(CASE)の進展が加速
- ICE需要がいずれ頭打ちに
との予測を示し、以前発表の「PLAN2020」の事業環境想定について時間軸を前倒しとした。
それらを踏まえ、2018年度においては、グローバル事業の拡大を推進、新製品・新事業の創出に注力するとした。
「PLAN2020」は2020年3月期までの目標を
- 売上高:1,400億円以上
- 連結営業利益率:10%超
と定めている。2018年3月期までの目標は、
- 売上高:1,300億円以上
- 連結営業利益率:9%超
であり、今期時点では未達成となった。
-同社は現在ピストンリングの国内シェア約50%、グローバルでのシェアは約20%。今後は海外におけるシェアを10%拡大し、グローバルでのシェアを30%へ拡大するとの目標を掲げる。
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2018年3月期 | 2017年3月期 | 2016年3月期 | |
全社 | 1,567 | 1,597 | 1,603 |
-自動車・産業機械部品事業 | 1,502 | 1,539 | 1,555 |
研究開発体制
-ハイブリッド自動車、電気自動車等の新たな発展分野向けの新製品創出を目的に新製品開発部が開発を行う。
-自動車・産業機械部品事業に関しては、研究開発部、リング製品技術部、リング生産技術部および各製造部門の製品開発・生産技術部門が実施。
研究開発活動
自動車・産業機械部品事業
1. 低燃費を実現する低フリクション・長寿命ガソリンエンジン用ピストンリングの開発
2. 低燃費、排気ガス規制に対応するディーゼルエンジン用ピストンリングの開発
3. 燃費低減に寄与する低フリクション自動車・産業機械用シール部品の開発
4. 軽量、低フリクション、高耐久自動車・産業機械用動弁部品の開発
5. 摺動特性、耐久性に優れる各種表面処理技術の開発
6. 軽量化、高強度化を実現する足回り部品の開発
7. 耐久性に優れた高強度アルミ製品の開発
製品開発
事業拡大・新製品の拡販等を掲げ製品開発に取り組む。
現在開発中の新製品
ー樹脂機能部材(ギヤ・ワッシャー・ベルトプーリー・チップシール)
ー焼結品(減速機用ギヤ)
ーノイズ抑制シート
電磁波の干渉を抑えるノイズ抑制シートを開発したと発表。新製品は、グループ会社が手がける電波暗室や電波吸収体といったEMC製品のノウハウを生かして、飽和磁束密度が高く、軟磁気特性が優れた合金粉末を東北大学と共同開発した。これを用いることで、他社の従来製品と比べてノイズ抑制効果を20%以上向上した。適用周波数帯も最大で15ギガヘルツとした。厚さを25マイクロメートルと薄肉化したほか、サイズを自由に加工できるため、様々な電子機器に対応する。すでにサンプル出荷を始めており、2018年度から販売する計画。自動車に搭載する電子機器のほか、情報通信機器向けのノイズ対策製品として販売する。(2017年10月24日付日刊自動車新聞より)
ー放熱シート
発熱を伴う機器の増加に対応し、放熱性能を持つシートを開発。
技術供与契約 |
(2018年3月31日現在) |
会社名 | 国 | 内容 | 契約年月日 | 契約期間 |
台湾理研工業股份公司 [Taiwan Riken Ind. Co, Ltd.] |
台湾 | ピストンリング、シリンダライナー、ブロック、カムシャフト、ナックルおよび各種鋳物製品の製造法 | 2018.01.01 | 2年 |
Siam Riken Ind. Co., Ltd. | タイ | ピストンリングの製造法 | 2015.01.18 | 5年 |
P.T. Pakarti Riken Indonesia | インドネシア | 管継手および自動車用鋳造部品の製造法 | 2016.01.01 | 5年 |
Shriram Pistons & Rings Ltd. | インド | ピストンリングの製造法 | 2014.03.01 | 7年 |
Allied Ring Corporation | 米国 | ピストンリングの製造法 | 2014.01.01 | 合弁契約終了まで |
Grede Holdings LLC | 米国 | 鋳物製品の製造法 | 2016.04.01 | 5年 |
Korea Piston Ring Inc. | 韓国 | ピストンリングの製造法 | 2015.03.01 | 5年 |
廈門理研工業有限公司 [Xiamen Riken Ind. Co., Ltd.] |
中国 | ピストンリングの製造法 | 2013.07.01 | 10年 |
カムシャフトの製造法 | 2013.07.01 | 10年 | ||
理研汽車配件 (武漢) 有限公司 [Riken Automobile Parts (Wuhan) Co., Ltd.] |
中国 | ピストンリング、シールリング、動弁製品およびその他鋳物製品の製造法 | 2015.03.01 | 5年 |
理研密封件(武漢)有限公司 (RIKEN SEALING PARTS (WUHAN) CO.,LTD.) |
中国 | シールリングの製造法 | 2015.07.01 | 5年 |
Riken Mexico, S.A. De C.V. | メキシコ | バルブリフターの製造法 | 2013.09.01 | 5年 |
シールリングの製造法 | 2014.07.01 | 2018.08.31まで | ||
ピストンリングの製造法 | 2015.09.01 | 3年 |
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2018年3月期 | 2017年3月期 | 2016年3月期 | |
自動車・産業機械部品事業 | 7,158 | 5,756 | 7,254 |
自動車・産業機械部品事業
-同社における機械加工・表面処理設備やメキシコ子会社における機械加工設備等に投資。
2019年3月期設備投資案件
ーピストンリング(中国・メキシコ・日本)
生産増強・設備の合理化
ー樹脂製品(中国・メキシコ・日本)
生産増強・設備の合理化
ーその他(日本・インドネシア)
熱エン事業の設備増強(日本)
カムシャフト・鋳物の増強(インドネシア)
設備の新設計画 |
(2018年3月31日現在) |
会社名 事業所名 |
所在地 | 設備の 内容 |
投資予定 金額総額 (百万円) |
柏崎事業所 | 新潟県柏崎市 | ピストンリング、自動車部品等生産設備 | 2,500 |
熊谷事業所 | 埼玉県熊谷市 | 自動車部品等生産設備 | 1,683 |
Riken Mexico, S.A. De C.V. | メキシコ アグアスカリエンテス州 |
自動車部品等生産設備 | 1,508 |
理研汽車配件 (武漢) 有限公司 [Riken Automobile Parts (Wuhan) Co., Ltd.] |
中国武漢市 | 自動車部品等生産設備 | 836 |
P.T. Pakarti Riken Indonesia | インドネシア シドアルジョ県 |
自動車部品等生産設備 | 1,159 |