人とくるまのテクノロジー展2016 ユタカ技研 インタビュー


写真1:高性能コンパクトヒートコレクター

写真2:次世代製品小型ヒートコレクター

写真3:ヒートコレクターのしくみ

ユタカ技研、排熱回収器を発表

 ユタカ技研は5月25~27日に開催された「人とくるまのテクノロジー展2016横浜」において、ヒートコレクター(排熱回収器)を発表した。26日発表されたホンダの新型「アコード (Accord)」に搭載され、ユタカ技研にとって排熱回収器の量産第1号(写真1)となった。さらに小型化を進めた次世代製品も参考出品した。(写真2)

 排熱回収器は、排気熱を冷却水に伝熱回収させ、エンジンの早期暖機を行い、燃費やヒーター性能を向上させる。現状は燃焼エネルギー100%のうち、走行に使われるエネルギーは約25%程度で、約75%は有効活用されずに排出されているという。未活用エネルギーの中では、熱による損失がその大半を占め、排気ガスによる損失は40%程度という。この排気熱を回収し燃費に貢献するのがヒートコレクターの役割だ。(写真3)寒冷地などで、低温時に早くエンジン温度を上げることができれば、いわゆるコールドスタート時の暖機運転の時間も短くなり、フリクションも低下、特に近距離の走行時には実燃費への影響も大きい。

 ユタカ技研の排熱回収器は、「小型化を進めた自社製の熱交換コアから組立まで自社設計することでヒートコレクターとして最適な設計ができた」としている。熱交換器のコアを独自で開発、設計、生産。小型ながら高密度な構造を実現したという。また、排気メーカーとしてのノウハウを生かした技術が適用されている。その一つが、サーモアクチュエーターで、オリジナルのアイデアが詰まったものとなっており、性能としてはバルブの開度に現れているという。サーモアクチュエーターに新しいアイデアを取り入れ、排気抵抗が低い流路設計とバルブ機構を完成させた。

 これらにより、暖機中の熱回収効率は他社の最新製品比5%向上、暖機後の遮熱44%向上、排気抵抗で72%の低減。さらに、床下の排気システムに組み込む上では小型化も重要な要素。ユタカ技研では他社比31%の小型化と5%の軽量化を実現したとしている。


ホンダの新型アコードに搭載

 ホンダが5月26日に発表した新型アコードには、排熱回収システムをホンダとして初採用した。ホンダは、SPORT HYBRID i-MMDの進化の要一つとして、排熱回収システムを挙げ、低温時の燃費向上に寄与する技術とアピールしている。この排熱回収システムはユタカ技研の製品が搭載されている。アコードの2モーター式ハイブリッドシステム「スポーツハイブリッドi-MMD」は、モーターやバッテリーを新設計小型化とともに排熱回収システムなどを新規採用し、燃費を従来比1.6km/l改善となる31.6km/l (JC08モード) を達成したと発表している。

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