(株) ユタカ技研 2016年3月期の動向
業績 |
(IFRS、単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上収益 | 165,315 | 144,992 | 14.0 | -国内市場における受注の減少による影響があったものの、海外市場における受注の増加に加え、期中平均でみると為替相場が円安で推移したことにより、増収、増益。 |
営業利益 | 14,637 | 11,494 | 27.4 | |
税引前利益 | 13,451 | 11,968 | 12.4 | |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 7,194 | 7,502 | (4.1) | - |
日本 | ||||
売上収益 | 21,996 | 23,098 | (4.8) |
-海外子会社の増産に伴う設備売上の増加があったものの、国内市場における顧客からの受注減少により、売上収益はほぼ横ばい。固定費削減等の合理化効果により、増益。 |
営業利益 | 774 | 736 | 5.2 | |
北米 | ||||
売上収益 | 62,083 | 53,147 | 16.8 | -顧客からの受注増加や円安効果に加え、Yutaka Technologies de Mexico S.A. de C.V.への生産移管効果もあり、増収、増益。 |
営業利益 | 3,571 | 2,879 | 24.0 | |
アジア | ||||
売上収益 | 26,186 | 25,051 | 4.5 | -インドネシア四輪事業やタイ新工場の立ち上げ費用の発生があったものの、顧客からの受注増加に加え、円安や合理化効果により、増収、増益。 |
営業利益 | 2,923 | 2,627 | 11.3 | |
中国 | ||||
売上収益 | 47,816 | 37,032 | 29.1 | -顧客からの受注増加に加え、円安や合理化効果もあり、増収、増益。 |
営業利益 | 7,689 | 5,640 | 36.3 | |
その他 (英国、ブラジルの現地法人含む) | ||||
売上収益 | 7,233 | 6,664 | 8.5 | -英国は前期比増収増益となったものの、ブラジルで為替相場の下落に伴い有形固定資産の減損損失を計上したことにより、増収、営業損失。 |
営業利益 | (559) | 61 | - |
事業計画
-2014年4月から第12次中期事業計画を推進中。スローガンは「躍進」 (Breakthrough to the next stage)
-2020年ビジョン: 常に新しい製品と技術を創造し、「さすがYutaka」の価値を提供する企業となる
- 主幹製品の競争力を「世界一」に高める
- 新しいモビリティ時代を切り開く「次世代製品事業」を確立する
- 全員がグローバルに「創造へのリーダーシップ」を発揮する
-国内の生産拠点で、人員効率の大幅向上を目指す体質改革を2015~2017年にかけて実施する。排気系部品、トルクコンバーターのそれぞれのラインで、材料投入から組み立てまでの一貫ラインを構築し、自動化率を高めるとともに、中間在庫をゼロにする。検査もカメラを使って機械化し、ライン全体を省人化する。同社は、主要取引先のホンダから次期軽乗用車シリーズのマフラーとトルコンの全量を受注した。現行シリーズでは、これらの部品を競合他社が納めている。生産体質改革に加え、部品点数削減などのコストダウンを図ったことで受注につながった。 (2015年2月18日付日刊自動車新聞より)
- 2015年3月期、豊製作所 (静岡県浜松市) にトルクコンバーターの最強製造ラインを設置。一貫同期生産ラインを確立し、要員効率は3.8倍となった。これを改善の第一段として、全生産拠点へ広げて行く計画。
新事業
<駆動用モーターコア>
-駆動用モーターコアの製造・販売事業に参入する。ハイブリッド車 (HV) 用として2016年半ばから生産を始めるもので、高速プレスと精密金型の技術を生かして初受注した。二酸化炭素 (CO2) の削減や排ガスのクリーン化のため、駆動力の電動化は今後、一段と進むと見られる。需要の拡大が見込まれるモーターの部品に参入することにより国内事業をテコ入れし、中長期の成長につなげる。受注したのは、モーターコアを構成するローターとステーターのうちのステーター。約6億円を投資し、浜松市東区の本社・豊製作所にプレス機などの生産設備を導入した。初年度は一日あたり250台分を生産する。同社は主要取引先のホンダがHVの品ぞろえを拡充していることを踏まえて受注活動に取り組んだ結果、1モーター式ハイブリッドシステム用を受注した。モーターコアと排熱回収器を合わせた新規事業分野で、中期的に年間40億円の売り上げを見込んでいる。(2015年11月27日付日刊自動車新聞より)
<ヒートコレクター (排熱回収器)>
-ヒートコレクター (排熱回収器) の開発に成功し、2016年4月より量産を開始した。ヒートコレクターは寒冷時エンジンの暖機時間を短くすることで暖機時の燃費を向上させ、また、暖房効率も向上させる。特にハイブリッド車では、モーターのみで走るEVモードをより早く開始させることができ、さらなる燃費の向上が期待できる。関連特許が7件出願されている。
(2016年9月8日付プレスリリースより)
受注
-2016年3月期の主な受注案件
自動車メーカー モデル |
地域 | 納入部品 | 生産工場 |
ホンダ 「Civic」 |
中国 | 排気触媒コンバーター、サイレンサー | 武漢金豊汽配有限公司 [Wuhan Jin Feng Autoparts Co., Ltd.] |
タイ | YS Tech (Thailand) Co., Ltd. | ||
ホンダ 「Step WGN」、 「Civic」 |
日本 | タービンツインダンパートルクコンバーター | 同社豊製作所 |
メキシコ | Yutaka Technologies de Mexico S.A. de C.V. | ||
ホンダ 「Odyssey Hybrid」 |
日本 | アルミ製マグネットプレート | - |
2017年3月期の見通し |
(IFRS、単位:百万円) |
2017年3月期 (予測) |
2016年3月期 (実績) |
増減率 (%) |
|
売上収益 | 151,000 | 165,315 | (8.7) |
営業利益 | 11,200 | 14,637 | (23.5) |
税引前利益 | 10,200 | 13,451 | (24.2) |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 5,100 | 7,194 | (29.1) |
-2017年3月期は、為替の影響により、前期比減収、減益の見通し。
>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
日本 | 2,547 | 2,746 | 2,815 |
北米 | 134 | 120 | 125 |
合計 | 2,681 | 2,865 | 2,940 |
研究開発体制
<日本>
-栃木開発センターの開発本部および生産本部技術開発室が主体となり、研究開発活動を推進。
<北米>
-Cardington Yutaka Technologies Inc. (米国オハイオ州) が主体となり、主に北米市場向け製品の研究開発を実施。
研究開発拠点
-栃木開発センター (栃木県さくら市) を拡張する。隣接する建物付きの土地を購入し、2016年4月に稼働する。欧米メガサプライヤーとの受注競争が激しくなり、設計、試作、テストといった開発業務の能力を増強する必要性が高まっている。同センターの拡張により、主要取引先のホンダからの受注を確実に取り込むほか、ホンダ以外のメーカーへの拡販につなげる。設備投資や人員増強も順次行っていく。(2016年3月16日付日刊自動車新聞より)
研究開発活動
<日本>
排気系部品
-排気ガス浄化性能、燃費、静粛性向上の環境対応技術をより進化させ、生産性向上と併せ製品競争力を高める排気システムの研究開発、生産技術開発を実施。
駆動系部品
-更なる小型軽量化、燃費向上等および生産性向上など製品競争力を高める研究開発、生産技術開発を実施。
<北米>
-北米市場向け製品のうち、主に四輪車用排気系製品に関する製品開発を行っている。
製品開発
排熱をより効率良く活用する熱マネジメント製品
-ヒートコレクター (排熱回収器) の開発に成功し、2016年4月より量産を開始した。ヒートコレクターは寒冷時エンジンの暖機時間を短くすることで暖機時の燃費を向上させ、また、暖房効率も向上させる。特にハイブリッド車では、モーターのみで走るEVモードをより早く開始させることができ、さらなる燃費の向上が期待できる。関連特許が7件出願されている。
主な特徴
- 精密プレスと精密接合技術による高密度フィンをコアとしたコンパクトで高効率な熱交換器
- ロングストロークのサーモアクチュエーターを使用し排気抵抗低減を実現した、高開度流路切り替えバルブ
- 車両搭載性能に優れたコンパクト設計
性能の向上
- 暖機中の熱回収:他社製品比5%向上
- 暖機後の遮熱:他社製品比44%向上
- 排気圧損:他社製品比72%向上
- 寸法:他社製品比31%コンパクト
- 重量:他社製品比5%軽量
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
全社 | 14,072 | 14,789 | 14,211 |
地域別設備投資額 | |||
-日本 | 2,157 | 3,960 | 2,418 |
-北米 | 5,187 | 3,510 | 5,111 |
-アジア | 2,060 | 3,577 | 4,079 |
-中国 | 2,972 | 2,950 | 2,410 |
<日本>
-同社を中心に新機種投資のための生産設備投資、原価低減のための合理化投資。
<北米>
-Cardington Yutaka Technologies Inc.とYutaka Technologies de Mexico S.A. de C.V.を中心に、自動車(四輪) 用製品の新機種投資ならびに合理化投資。
<アジア>
-アジア地域の市場拡大に対応するため、YS Tech (Thailand) Co., Ltd. と P.T. Yutaka Manufacturing Indonesiaを中心に、生産能力拡大および新機種投資。
<中国>
-佛山優達佳汽配有限公司 [Foshan Yutaka Auto Parts Co., Ltd.] を中心に、自動車 (四輪) 用製品の新機種投資ならびに生産能力拡大のために投資。
海外投資
<メキシコ>
-メキシコでトルクコンバーター (トルコン) を増産する。これまで2ラインで生産していたが、2016年度中に米国から1ラインを移設し、合計3ラインで生産する体制に移行する。メキシコは米国に比べ労務費が安いため、組み立て作業が多い製品では生産コストの面で有利になる。メキシコ国内での自動車生産の拡大や、米国での需要の増加を見込んで生産の配置を一部変更し、北米でのコスト競争力を高める。同社はホンダのメキシコ新工場の稼働に合わせ14年に同国グアナファト州に進出し、排気系部品とトルコンを生産している。トルコンは2ラインが稼働中で、現地のホンダ工場向けに納入している。新たに米オハイオ工場から1ラインを移設し、生産能力を増強する。(2016年4月1日付日刊自動車新聞より)
設備の新設計画 |
(2016年3月31日現在) |
会社名/事業所名 (所在地) |
設備の内容 | 投資予定総額 (百万円) |
着手 | 完了予定 |
本社・豊製作所 (静岡県浜松市) |
自動車部品等 生産設備 その他の設備 |
1,835 | 2015年11月 | 2017年03月 |
三重製作所 (三重県津市) |
自動車部品等 生産設備 |
921 | 2016年01月 | 2017年03月 |
嵐山製作所 (埼玉県比企郡) |
自動車部品等 生産設備 |
79 | 2015年12月 | 2017年03月 |
栃木開発センター (栃木県さくら市) |
研究開発設備 | 621 | 2016年04月 | 2017年03月 |
Cardington Yutaka Technologies Inc. (米国オハイオ州) |
自動車部品等 生産設備 |
1,297 | 2016年04月 | 2017年03月 |