(株) ユーシン 2010年11月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2010年
11月期
2009年
11月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 62,447 50,964 22.5 -
営業利益 5,807 1,166 398.0 -
経常利益 5,637 564 899.5 -
当期純利益 2,921 (927) - -
自動車部門
売上高 44,552 37,163 19.9 1)
営業利益 3,898 458 751.1 -

要因
1)
自動車部門
<日本>
-2010年秋の補助金終了により自動車の販売は下落したが、輸出が好調なため自動車メーカーにおける生産計画への影響は少なく、同社の売上への大きな影響もなかった。

<中国>
-前期からの好調により、現地生産・現地納入が増加。

受注

-三菱自動車からスマートキー関連部品の新規受注にめどがついた。ステアリングロックをモーターで作動させる電動ステアリングロックセットで、三菱自が2010年春発売を予定する新型車「RVR」に採用される見通し。電動ロックセットを三菱に納入するのは初となる。今回の受注実績を生かしながら、同分野における三菱自との取引拡大を目指す。(2009年12月7日付日刊自動車新聞より)

-日産自動車から初めて受注を獲得した。日産が中国合弁拠点で生産している乗用車向けのキーセットで、納入開始は2011年夏を予定する。同社は中国事業が順調に伸 びていることに合わせて、広東省中山市の製造拠点を移転、リニューアルし、2011年中に生産能力を2倍規模に拡大する計画。このほど移転先を最終決定、建設用地の取得を完了した。同社はこれまでも日産向けに空調機用部品などを生産していたが、間接的に部品を供給する二次サプライヤーという立場でのビジネスだった。(2010年7月14日付日刊自動車新聞より)

-独フォルクスワーゲン(VW)からメキシコ拠点向けのキーセットを新規受注した。NAFTA(北米自由貿易圏)でVWの受注を獲得するのは、米国向けに続くものとなる。メキシコへの納入開始は2012年中頃を予定しており、米国向けと同様にタイのキーセット工場から供給する。今後は北米に続き中国でVWの 受注開拓を目指す。主要な地域で世界トップグループの自動車メーカーとのビジネスを実現することによって経営基盤を強化、収益力の向上に結びつける。 (2010年7月28日付日刊自動車新聞より)

事業再編

-部品供給のグローバル補完を本格化する。日米欧とアジアをカバーしているグローバル生産網をフル活用して各拠点の生産分担を最適化、コスト優位性の確立に結びつける。このため、為替変動などに応じて生産品目を他の工場へ柔軟に移管できる体制を整え、新興国などで生産した部品、ユニットをタイムリーに欧米や 日本に供給可能にしていく。グローバル補完の第一弾として、2011年からVolkswagenの米国新工場に供給するキーセットをタイ工場で全量生産する計画。(2010年4月9日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<北米>
-北米で受注開拓を強化する。金融危機以降に落ち込んだ現地の新車市場が反転、中期的な回復が見込める状況になったほか、その需要吸収を目指し自動車メーカー各社が一時凍結していた新車開発を活発化しつつある。その機会を捉えながら技術提案を展開、拡販に結びつける。ゼネラルモーターズ(GM)やフィアッ ト傘下に入ったクライスラー、日産自動車の現地拠点などを開拓の重点とする。(2010年6月4日付日刊自動車新聞より)

展望

-ハンガリーでは、BMW、Volkswagen及びAudiとのビジネス獲得を足掛かりに、欧州の自動車メーカーからの受注拡大に努力していく。

-中国では、中国国内の生産能力の増強を目指し、中山第二工場の計画を推進していく。

-タイは、日本向け逆輸入及びASEAN市場向けのキーセットとヒーターコントロールパネルの生産供給基地として重要な役割を担っている。スズキのタイ工場の稼動時期に合わせ、次期稼動を予定した第二工場建設も着工し、稼動後の生産能力の増強が期待される。第二工場は、規模の拡大だけではなくプレス品の生産も可能な工場として、ドアラッチの生産も計画。今後は、日本国内で生産している製品を タイ工場に移管し、より低コストで生産する体制の確立も加速させていく。

-米国は、前々期までの黒字計上にもかかわらず、2010年11月期は前期同様、赤字を計上。2011年初めの米国Volkswagen向けキーセットの量産開始までは、厳しい状況が続く見込み。しかし、北米マーケットは依然として大きなマーケットであるので、現地に生産拠点を持つ日米欧の自動車メーカーへの拡販をさらに強化していく。

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2010年11月期 2009年11月期 2008年11月期
全社 1,624 1,414 1,591
売上高比(%) 2.6 2.8% 2.0%
研究開発人員(名) 203 208 165

研究開発拠体制

-中国の地場自動車メーカーの受注開拓をねらい、現地生産拠点内に研究開発部門を新設した。研究開発部門は広東省の有信制造(中山)有限公司内に設立、2010年に入ってから一部業務を開始した。スタッフは14人で、順次、増強する計画。同社が海外に開発機能を置くのは初めて。地場メーカーの車両価格に見合っ た部品コストの実現には、開発作業の現地化が必要と判断した。購買機能を併せ持つ組織体制とし、素材、部品すべての現地調達を前提にスペックを最適化する。(2010年3月30日付日刊自動車新聞より)

-2010年4月、研究開発部門では中国・ドイツ・米国にR&Dセンターを開設し、日本の技術センターと一体となった開発体制により生産・販売を支援。

製品開発

電動ステアリングロック
-小型軽量のニーズに基づき、世界最小のものを開発。これは、ステアリングロックにエレクトロニクス技術を導入したもので、安全性とセキュリティ性、静粛性を実現している。

ヒーターコントロール
-グローバル市場での小型車へのシフトに伴った、メカニカルヒーターコントロールの需要の高まりに伴い、更なる改良技術の提案を継続。

ドアラッチ
-さらなる小型化、軽量化、低コスト化の改良を進めると同時に、ドアハンドルを含めた総合的なドア開閉システムとして顧客に提案している。

技術供与契約

(2010年11月30日現在)

相手先 国名 契約内容等 契約期間
儒億科技股份有限公司
[Elitech Technology Co., Ltd.]
台湾 自動車用キーセットに関するノウハウ・工業所有権の実施権の許諾 2003年6月13日 - 製造・販売終了
Magna Donnelly Corporation 米国 自動車用アウターハンドルに関する製造技術情報の供与 2002年2月1日 - 製造・販売終了
三龍産業股份有限公司
[San Long Industrial Co.,Ltd.]
台湾 自動車用アウターハンドルに関する製造技術情報の供与 2003年10月31日 - 製造・販売終了
三龍産業股份有限公司
[San Long Industrial Co.,Ltd.]
台湾 自動車用アウターハンドル・インナーハンドルに関する製造技術情報の供与 2005年2月1日 - 製造・販売終了
信昌機械廠股份有限公司
[Xinchang Machinery Co., Ltd.]
台湾 自動車用ラッチに関する製造技術情報の供与 2006年6月30日 - 製造・販売終了

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2010年11月期 2009年11月期 2008年11月期
全社 1,759 1,572 3,065
自動車部門 1,590 1,333 2,861

-自動車部門の内訳は、主に生産用の金型、機械設備等。

設備の新設計画 (自動車部門)

(2010年11月30日現在)

会社名 所在地 設備の内容 投資
予定額
(百万円)
着工
年月
完了予定
年月
技術センター 広島県
安芸郡
開発部門の各種試験機等 276 2010.11 2011.11
広島生産工場 広島県
安芸郡
次期車の金型、組立設備加工機及び工場新設等 6,186 2010.11 2011.11
浜松生産工場 静岡県
浜松市
次期車の金型、組立設備及び加工機等 455 2010.11 2011.11
大和精工(株) 広島県
東広島市
次期車の金型、組立設備及び加工機等 316 2010.11 2011.11
有信制造(中山)有限公司
[U-Shin Manufacturing (Zhongshan) Co., Ltd.]
中国
広東省
次期車の金型、組立設備及び加工機及び工場の新設等 1,956 2010.11 2011.11
U-Shin (Thailand) Co., Ltd. タイ
ラヨーン県
次期車の金型、組立設備及び加工機及び工場の新設等 1,507 2010.11 2011.11
U-Shin Europe Ltd. ハンガリー
キスベル市
次期車の金型、組立設備及び加工機等 171 2010.11 2011.11