株式会社ユーシン 2008年11月期の動向
ハイライト
業績 | (単位:百万円) |
2008年 11月期 |
2007年 11月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 78,842 | 74,773 | 5.4 | -全部門で増収。 |
営業利益 | 4,766 | 2,388 | 99.5 | -原材料価格高騰の価格転嫁が済んだ後、特に亜鉛の原材料費が低下したことが寄与。 |
経常利益 | 3,909 | 2,336 | 67.3 | - |
当期純利益 | 1,331 | (137) | - | - |
自動車部門 | ||||
売上高 | 55,863 | 53,083 | 5.2 | -年前半は多くの新規モデルに採用され、量産が立ち上がったため好調に推移。 |
営業利益 | 2,457 | 512 | 379.8 | - |
受注
以下が、08年度の主な受注・出荷関連
-キーセット:マツダ/フォードのグローバルカーで共通がが進み、日本・中国・欧州と拡大
-メカヒーコン:ホンダのライフ向けの立ち上げが完了。ホンダ向けメカヒーコンは大部分を受注。
-ヒーコンパネル、キーセット:スズキのインド向けリッターカー「Aスター」のヒーターコントロールパネル、キーセットを受注。09年初頭にマネサール工場で増産に入る。
-ドアラッチ:マツダ向けの新型ドアラッチが複数の新規車種に採用され、生産量が増加。スズキ向けも流用展開されているグローバルカーも好調で、受注量が増加。なお、ドアラッチについては、国内・中国・ハンガリーに続きタイも生産拠点とする方針で、第二工場の用地を取得。*(設備投資欄を参照)
-ラッチ:ドイツのMANから受注。
-ステアリングロックボデー:U-Shin Europe(ハンガリー)は、日本に続きマグネシウム合金部品の生産拠点として、部品製造を開始。マツダ/フォードの共同開発のフォードブランドのステアリングロックボデーの出荷を開始。
-電動ステアリングロック付きスマートキー:日系メーカー各社から相次いで受注。ホンダの北米向け高級セダン用、マツダが08年発売の新型アクセラ向けなど。
当面の課題
(1)中期経営計画の達成状況
-今後3年間の修正中期経営計画においては、ユーシンU.S.A. LTD.(Ortech)(米国)再建の合理化により、売上高の増加は一時的に鈍るが、順調な受注実績を背景に中期的な拡大基調は維持する見込み
-海外の各生産拠点ともフル稼働体制に入り、先行投資の負担増などを生産効率アップによる収益の収穫期に入る。
-売上高は拡大基調を維持し順調に推移するものと見込み、中期的には5%以上の営業利益率達成を目指す。
修正中期経営計画(連結) | (単位:億円) |
2006年 11月期 |
2007年 11月期 |
2008年 11月期 |
2009年 11月期 |
2010年 11月期 |
|
売上高 | 700 | 680 | 766 | 850 | 901 |
営業利益 | 14 | 18 | 37 | 42 | 45 |
営業利益率(%) | 2.0 | 2.6 | 4.8 | 4.9 | 5.0 |
(2)グローバルサプライヤーとしての生産供給体制強化と海外事業展開の実施状況
-3大主力商品のキーセット、ラッチ、メカヒーコンのグローバル展開によるシェア拡大を図ってきたが、グローバルカーの開発ラッシュが一段落したことにより、受注が鈍化してくることも予想される。次世代商品(電動ステアリングロック、スマートシステム、オートエアコン)の開発商品を柱とする商品構成に転換して一層の受注拡大及び収益構造の改善に取り組む。
海外事業展開方針
(1)インドでの新規顧客からの受注を受け、他市場(中国、タイ)への参入による規模を拡大。
(2)マグネシウム鋳造など欧州での現地生産を生かし欧州メーカーへの積極的な開拓。
(3)厳しい価格競争に対応してきた商品力を活かして他メーカーへの拡販を図る。
(4)電子部品の競争力アップを図り、得意とするメカ部分と電子部品との融合を図る。
(5)欧米メーカーからの直接受注を図る。
各生産拠点における現状と課題
拠点 | 現状と課題 |
ユーシンU.S.A.Ltd.(Ortech) (米国) |
-再建プロジェクトチームの活動により通期で黒字化を達成したものの、今後は不採算商品の整理など、生産を縮小し ユーシン・タイランドCO.,LTD. (タイ)、有信制造(中山)有限公司(中国)などコスト競争力のある地域からの生産供給で受注活動を進めて行く方針。 |
ユーシン・ヨーロッパLTD. (ハンガリー) |
-マツダ/フォード共同開発のグローバルカー、スズキ/GM/フィアットの世界戦略車向け部品共通化で受注を拡大するも、既存の得意先においてもほぼフル生産の状態になっており、今後の売上高拡大は鈍化する傾向。 -日本に続くマグネシウム部品の生産拠点としてマグネシウム鋳造機の導入を決定。また、マツダ/フォード共同開発のグローバルカー共通化の進展により、フォードブランドのステアリングロックボデーの受注が確定。 |
有信制造(中山)有限公司 (中国) |
-ドアラッチ、キーセットなど生産の大部分を日本向けなど輸出商品で占める。 -中国国内の自動車市場の拡大により、中国国内向けの受注も順調に推移。 -中国国内向けは、売上高の約18%。来年度は、約31%に増加する見込み。 -生産拡大は続いており、フル稼働体制に入り稼働率も向上。赤字は大幅に改善され黒字に転換する見込み。 |
ユーシン・タイランドCo., Ltd. (タイ) |
-ヒーターコントロールパネルの生産供給基地として受注拡大。 -日本向け逆輸入とアセアン市場向けを合わせ、来年度は21万台/月の生産を見込む。 -同社のアセアン地域の生産拠点として工場拡張も視野。 -収益面でも、収益率の高い直販商品の増加により、2008年度は黒字に転換する見込み。 -生産拡大は続いており、フル稼働体制に入り稼働率も向上。 |
開発動向
研究開発費 | (単位:百万円) |
2008年11月期 | 2007年11月期 | 2006年11月期 | |
研究開発費(百万円) | 1,591 | 1,481 | 1,880 |
売上高比 | 2.0% | 2.0% | 2.7% |
開発体制
-先行開発室及び開発本部を中核として研究開発に取り組み、自動車部品の開発で生まれた技術を基に、産業機器や住宅機器に応用した商品開発も同時に進めている。
-欧州での生産部門と設計・開発(R&D)部門を統合する。ドイツに置いていたR&D拠点「ユーシン・ドイッチェランドGmbH」(デュッセルドルフ市)を2007年11月期中に閉鎖、営業スタッフ及びエンジニア部隊をハンガリーに集約する。今後のアプリケーション・エンジニアリング(車両適合設計)はすべてハンガリーで対応する。設計と生産の連携を強化するとともに、運営コストの低減を図る。(2007年9月7日付日刊自動車新聞より)
新製品開発(自動車部門)
電動ステアリングロック
-2008年度市場投入した電動ステアリングロックは、既に3社に納入を開始。他に現在受注を決定し開発中の機種や新規提案中の機種あり。
ヒーターコントロール
-最近の小型車へのシフトに伴い、メカニカルヒーターコントロールの需要が高まり、受注を増大。また、更なる改良技術の提案を続けている。
ドアラッチ
-ドア閉まり音、重量、コストの改良を進め、ドアハンドルを含めた総合的なドア開閉システムとして顧客に提案。
技術供与(2008年11月現在)
相手先 | 国名 | 契約内容等 | 契約期間 |
儒億科技股份有限公司 (Elitech Technology Co., Ltd..) |
台湾 | 自動車用キーセットに関するノウハウ・工業所有権の実施権の許諾 | 2003年6月13日~ 製造・販売終了 |
Magna Donnelly Corporation | 米国 | 自動車用アウターハンドルに関する製造技術情報の供与 | 2002年2月1日~ 製造・販売終了 |
三龍産業股份有限公司 (San Long Industrial Co.,Ltd.) |
台湾 | 自動車用アウターハンドルに関する製造技術情報の供与 | 2003年10月31日~ 製造・販売終了 |
三龍産業股份有限公司 (San Long Industrial Co.,Ltd.) |
台湾 | 自動車用アウターハンドル・インナーハンドルに関する製造技術情報の供与 | 2005年2月1日~ 製造販売終了 |
信昌機械廠股份有限公司 (Xinchang Machinery Co., Ltd.) |
台湾 | 自動車用ラッチに関する製造技術情報の供与 | 2006年6月30日~ 製造販売終了 |
設備投資
設備投資額 | (単位:百万円) |
2008年11月期 | 2007年11月期 | 2006年11月期 | |
自動車部門 | 2,861 | 4,925 | 5,145 |
合計 | 3,065 | 5,402 | 5,381 |
-自動車部門の内訳は、主に生産用の金型、機械設備等。
海外投資
<タイ>
-2008年8月に、2010年までにタイの第二工場を建設すると発表。生産品目は、ヒーターコントロールパネル、ドアラッチなど。スズキがタイ工場で生産するスイフト向けの供給のほかに、マツダとフォードの合弁オートアライアンスタイランド、ホンダのタイ工場などへの供給拡大も視野に入れていた。08年12月に、工場建設の延期を発表。このため、本工場建設で予定していた設備投資費18億円も10年度以降に計上を先送りした。
設備の新設計画(自動車部門)
会社名 | 所在地 | 設備の内容 | 投資 予定額 (百万円) |
着工 年月 |
完了予定 年月 |
技術センター | 広島県 安芸郡 |
開発部門の各種試験機等 | 107 | 2008年 11月 |
2009年 6月 |
広島生産工場 | 広島県 安芸郡 |
次期車の金型、組立設備及び加工機等 | 1,065 | 2008年 11月 |
2010年 1月 |
浜松生産工場 | 静岡県 浜松市 |
次期車の金型、組立設備及び加工機等 | 127 | 2008年 11月 |
2010年 1月 |
大和精工 | 広島県 呉市 |
次期車の金型、組立設備及び加工機等 | 330 | 2008年 11月 |
2009年 11月 |
有信制造(中山)有限公司 [U-SHIN Manufacturing (Zhongshan) Co., Ltd.] |
中国 広東省 |
次期車の金型、組立設備及び加工機等 | 315 | 2008年 11月 |
2009年 11月 |
U-Shin Europe Ltd. | ハンガリー キスベル市 |
次期車の金型、組立設備及び加工機等 | 87 | 2008年 11月 |
2009年 11月 |
計 | - | - | 2,767 | - | - |