ボッシュ株式会社 2006年度の動向
ハイライト
単位:百万円 | 2006年 12月期 |
2005年 12月期 |
増減率 (%) |
要因 |
売上高 | 338,875 | 309,979 | 9.3 | -自動車製品の拡販及びアセアン地域や軽自動車市場での受注増加。 |
経常利益 | 33,187 | 29,296 | 13.3 | |
-ディーゼルエンジン用燃料噴射システム関連事業 | ||||
売上高 | 139,777 | 149,305 | (6.4) | -従来型製品の販売低下、及び新型コモンレールシステムの販売が伸び悩んだため。 |
-乗用車用ブレーキシステム関連事業 | ||||
売上高 | 85,067 | 71,537 | 18.9 | -ABSやESCなどのモジューション製品の販売が増加。バキュームブースターなどアクチュエーション製品は前年並み。 |
-自動車用エレクトロニクスおよびパワートレイン関連事業 | ||||
売上高 | 61,608 | 53,530 | 15.1 | -CVT用金属ベルトや電子制御式ガソリン噴射システムのインジェクタの販売が増加。 -一方で、トランスミッションコントロールシステムの販売は減少。 |
-その他の事業 | ||||
売上高 | 52,422 | 35,606 | 47.2 | -旧ボッシュ(株)との合併により、オートモーティブアフターマーケット事業や電動工具事業などが新たに加わった。 |
子会社設立
-2006年11月1日付けで100%子会社ボッシュエンジニアリングサービス株式会社(Bosch Engineering Services Japan KK 本社:神奈川県横浜市)を設立する。日本市場においては近年、日本の自動車メーカーの躍進に伴い、研究開発プロジェクトや派生車など量産開発プロジェクトに対するエンジニアリング業務への需要が増加、こうしたカーメーカーからのニーズに応えるべく日本に新会社を設立するに至った。資本金は1億円、従業員数は16名。2007年度売上は6億円の見込み。(2006年10月付け同社プレスリリースより)
販売促進活動
-2006年9月、スズキ向けの四輪車用部品の提案活動を強化すると発表。スズキは昨年から導入を開始したグローバルプラットホームを活用したモデルの車種・生産台数を順次拡大していくのに合わせて、「グローバル購買」により調達する部品を拡充する計画だ。ボッシュはこの機会を生かして、スズキに対する提案を活発化する。スズキが生産拠点を置く欧州やインド、中国などにグループの部品工場を持つ強みを生かし、これまで納入実績のなかった主要ユニットの受注獲得を目指す。(2006年9月12日付日刊自動車新聞より)
-2006年10月、日系自動車メーカーをターゲットに、操舵系と制動系を融合した次世代走行制御システムの受注活動を本格化すると発表。ボッシュ・グループと独ZFグループのステアリングシステム合弁会社「ZFLS」の日本の販売業務を引き受けたのを機に展開する。従来の主力事業であるブレーキ系を利用した制御機構、ESC(横滑り防止装置)の上級タイプの安全システムとして提案、早期の納入開始を目指す。(2006年10月3日付日刊自動車新聞より)
ステアリング事業本格化
-ボッシュグループのステアリング部品の合弁パートナーである独ZFの日本法人が担当していた日本における販売業務を、ボッシュが引き受ける。これに合わせて、ボッシュは1日付で営業部門を設立、販売活動を開始する。当面は、日系メーカーの海外拠点向けを中心に乗用車向けの受注開拓に取り組む方針。同時にESC(横滑り防止装置)とステアリング系の統合制御といった次世代システムの提案を順次、活発化し、新規ニーズの吸収に結びつける。(2006年8月1日付日刊自動車新聞より)
好調なブレーキシステム事業
-今年に入ってからトヨタ自動車に初めてESC(横滑り防止装置)を納入するなど新規開拓を実現、06年上期には乗用車用ブレーキ事業の売上高を前期比16・9%伸ばした。今年から来年にかけてはマスターシリンダーなどの機構部品である“アクチュエーション”のほとんどを次世代タイプに切り替えるとともに、軽自動車専用のABSユニットを新投入するなどして、2けた成長の継続を目指す。(2006年9月6日付日刊自動車新聞より)
2007年の課題
① 長期ターゲットに向けての成長を目指して、プロジェクト獲得率の向上や「グローバル・プラットフォーム」への挑戦のための営業力を強化
② タイの子会社を中心とした営業体制の構築やタイでの現地生産の強化などアセアン市場における基盤強化
③ 次世代コモンレールシステム、排ガス後処理装置、車両運動統合制御(VDM)や先進統合安全システム(CAPS)などの革新的な製品の販売を促進
開発動向
単位: 百万円 | 2006年度 | 2005年度 | 2004年度 |
ディーゼルエンジン用燃料噴射システム関連事業 | 1,552 | 1,637 | 1,804 |
乗用車用ブレーキシステム関連事業 | 998 | 1,516 | 1,535 |
自動車用エレクトロニクスおよびパワートレイン関連事業 | 438 | 286 | 396 |
合計 | 2,989 | 3,440 | 3,736 |
<部門別動向>
ディーゼルエンジン用燃料噴射システム関連事業:
・欧州で発売された高性能のピエゾ式インジェクターの日本への導入に着手、また、次期排気ガス規制に対応するため、乗用車及び商用車向けに高圧コモンレール・システムを開発中。
・ディーゼルエンジンに欠かせない排気ガスの後処理技術であるディーゼル微粒子除去装置(DPF)や選択還元型NOx触媒(SCR)などの開発に注力、選択還元型触媒用尿素水噴射装置(SCR用DXTRONIC-1)を市場に展開。また、ジメチルエーテル(DME)などの代替燃料に対応する燃料噴射装置の研究も実施中。
乗用車用ブレーキシステム関連事業:
①モジュレーション部門
・ABS、TCS(Traction Control System)および横滑り防止装置 (ESC)の更なる小型、軽量、低コストを目指した新世代システムの開発。
・車両適用の工数削減を図るため、ABS、TCSと横滑り防止装置 (ESC)とのモジュラー化及びスケーラブル化の開発。
・モジュレーション技術を応用した高性能クルーズコントロール(ACC)対応の中高速用並びに低速用自動車両減速度制御機能(ECD)や坂道発進補助機能(HHC)、各種ブレーキブーストサポート機能の開発。
・他のシステムとの連動協調によるVDM(Vehicle Dynamic Management)システムの開発。
・ドライバーアシスタンス・システムおよび先進統合安全システム (CAPS: Combined Active and Passive safety System)への日本のカーメーカーのニーズに対応するため、06年にDA&CAPS部門を設立。
・ハイブリットカー等の回生協調ブレーキ機能の開発
・モーター・サイクル用ABSの開発。
②アクチュエーション部門
・小型、軽量、低コストを目指した次世代ブースター&マスターシリンダーの開発を完了、車両適用を拡大中。
・スルーボルトバキュームブースターの開発を完了、量産開始。
・ブレーキフィール改善の研究結果をふまえた次世代製品を開発中。
技術導入契約 (2006年12月現在)
会社名 | 品目 | 契約内容 | 契約期間 |
ロバートボッシュ ゲーエムベーハー (ドイツ) |
列型および分配型ディーゼル燃料噴射ポンプならびに燃料噴射電子制御装置 | 特許実施権の供与 技術情報の提供 |
1993.11.24-2007.12.31 |
高圧分配型燃料噴射ポンプ | 1996.04.01-2007.12.31 | ||
コモンレールディーゼル燃料噴射ポンプシステム | 1999.07.20-2008.12.31 | ||
第二世代型コモンレール方式ディーゼル燃料噴射ポンプシステム | 2001.09.01-2008.12.31 | ||
自動車用ABS、横滑り防止装置、制動倍力装置およびディスクブレーキ | 2003.01.01-2007.12.31 | ||
次世代型自動車用ABSおよび横滑り防止装置 | 2004.01.13-2012.12.31 | ||
自動車用エアバッグおよびシートベルトテンショナー電子制御装置 | 1987.11.12-2007.06.30 | ||
自動車用トランスミッション油圧制御部品および電子制御装置 | 2000.09.07-2009.06.30 | ||
ロバートボッシュ コーポレーション (米国) |
自動車用真空倍力装置およびカートリッジマスターシリンダー | 特許実施権の供与 技術情報の提供 (クロスライセンス) |
2003.01.01-2007.12.31 |
ロバートボッシュ ゲーエムベーハーおよびロバートボッシュコーポレーション(ドイツ、米国) |
自動車用真空倍力装置およびマスターシリンダー | 2005.05.16-2009.12.31 |
設備投資
単位: 百万円 | 2006年12月期 | 2005年12月期 | 2004年12月期 |
設備投資費 | 10,049 | 9,675 | 11,478 |
ディーゼルエンジン用燃料噴射システム関連事業:
同装置の生産設備等のため、東松山第一工場を中心に4,733百万円の設備投資を実施。
乗用車用ブレーキシステム関連事業:
生産設備の拡充及び生産の合理化等のため、むさし工場を中心に2,689百万円の設備投資を実施。
自動車用エレクトロニクスおよびパワートレイン関連事業:
新規製品立上げ、生産効率化及び品質向上のため、富岡工場を中心に1,864百万円の設備投資を実施。
設備の新設計画
事業所名 | 所在地 | 事業部門の名称 | 設備の内容 | 投資予定 金額 (百万円) |
着手 年月 |
完了 予定 年月 |
東松山 第一工場 |
埼玉県 東松山市 |
ディーゼルエンジン用燃料噴射システム関連事業 | 新型燃料噴射装置生産設備 | 7,100 | 2006年 1月 |
2009年 12月 |
栃木工場 | 栃木県 那須塩原市 |
乗用車用ブレーキシステム関連事業 | ABS/ESC生産設備 | 2120 | 2006年 1月 |
2009年 12月 |
-富岡工場で生産する変速機用部品およびECU(エンジン・コントロール・ユニット)の生産体制を強化する。年内に自動変速機(AT)の制御部品であるリニアソレノイドバルブの年産能力を2倍、600万個に引き上げる。同時に、年産能力50万個のECU生産ラインを新設する計画。いずれも従来、独ボッシュグループの拠点から調達していた部品を日本製に転換するのがねらい。これにより3年後に2倍を目標とした同工場の利益率の向上に結びつける。(2006年1月24日付日刊自動車新聞より)