フタバ産業 (株) 2016年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2016年 3月期 |
2015年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 437,640 | 422,874 | 3.5 | -生産体制の見直し、生産効率の向上、原価改善の推進、サプライチェーンの見直し及び物流費の低減などの収益改善活動等に積極的に取り組んだ結果増収。 |
営業利益 | 3,121 | 4,367 | (28.5) | - |
経常利益 | 636 | 2,116 | (69.9) | - |
親会社株主に帰属する当期純利益 | (1,195) | 1,039 | - | - |
セグメント別売上 | ||||
-日本 | 223,714 | 225,573 | (0.8) | - |
-北米 | 110,997 | 94,213 | 17.8 | -販売好調 |
-欧州 | 28,293 | 28,957 | (2.3) | - |
-アジア | 74,635 | 74,130 | 0.7 | - |
事業動向
<日本・北米>
-2016年5月、トヨタ自動車を引き受け先とする第三者割当増資を実施し99億円を調達すると発表。幸田工場 (愛知県幸田町) とカナダ・オンタリオ州の関連会社に105億円を投じて導入するホットスタンプ加工ラインの設置費用に充てる。増資の払込期間は6月8日から2017年5月22日までで、完了するとトヨタの同社への出資比率は3月末現在の12.26%から31.39%に上がる。ホットスタンプは、冷間プレスでの成形が難しい高強度材をプレスする加工手法。同社はトヨタからホットスタンプ加工ライン設置を要請されていた。これに対応する設備の資金を借り入れで調達した場合、財務が悪化するため、資本性資金で調達することにした。(2016年5月25日付日刊自動車新聞より)
<タイ>
-2016年3月、同社が30%を出資するタイの持分法適用関連会社YMP Press & Dies (Thailand) が、2016年2月末に現地の裁判所に法的整理手続き開始の申し立てを行ったと発表。YMPは、プレス金型の設計・製作および自動車用プレス・溶接部品の製造販売を行っているが、現地での景気低迷により財務状況が悪化し多額の債務を抱える状況になっていた。2015年3月末時点での負債総額は約29,554百万円。同社は、TMPに対する貸付金668百万円および売掛負債447百万円に回収不能のおそれが生じるとしているが、保有する株式を含めて全額を損失処理済みのため2016年3月期の連結業績に与える影響はないという。(2016年3月18日付プレスリリースより)
組織再編
-部品別組織体系の導入に向け、2016年度からトライアルに入る。同社の主力事業である排気管とボディ部品で、開発や生産準備、原価企画、調達などの機能を一体化する。部品ごとにユーザーニーズや市場動向が異なることから、それぞれに沿った戦略に基づく機動的な商品の開発や供給が行えるようにしていく。小回りがきく組織へと進化させることで、業績拡大への弾みとしていく狙いだ。(2016年2月22日付日刊自動車新聞より)
-開発、生産技術、製造の構造改革として推進する「フタバNGA」を第2フェーズに移行する。4月に疑似事業部制を導入し、全製品群を主要アイテム別に分割。マフラーをはじめとする10チームを編成した。今後、同チームで10年後を見据えた部品シナリオを策定し、部品共通化や製造革新を加速する。開発費用の最適配分に向けた選択と集中も視野に入れており、成長が見込めない製品は撤退も検討する。(2015年4月9日付日刊自動車新聞より)
新5カ年計画 (2017年3月期 - 2021年3月期)
-2016年5月、新5カ年計画 (2017年3月期-2021年3月期) を策定。最終年度の数値目標は売上高4,400億円、営業利益率3.5%。基本方針および方策は以下の通り:
基本方針 |
1. 「安全、品質、ものづくり」の基本の徹底 |
2. 安定した収益確保のための構造改革と原価マネジメントの強化 |
3. 拠点最適化と経営資源の効率的な配分 |
4. コア技術の更なる進化と新規分野への活用 |
5. 人材育成と組織力の強化 |
新5カ年計画方策・重点取り組み |
方針 | 重点取り組み |
主力商品の構想力の向上 | -排気系部品:システム開発力の強化 |
-ボディ系部品:SE力・ものづくり力の向上 | |
-革新ラインのグローバル展開 | |
排気系部品のグローバル展開 | -燃費、排ガス、騒音規制に対応し、北米・中国での排気系部品受注拡大 |
ボディ系部品の安全、軽量化対応 | -超ハイテンプレス、ホットスタンプ、アルミの生産技術の確立 |
生産拠点の最適化 | -客先動向を意識した生産拠点見直し |
-効率的なリソーセスの配分 | |
-統括会社の機能強化 | |
マネジメント改革 (ものづくりプロセス改革) | -排気系、ボディ系別に開発~生産までの組織見直しによる効率化 |
新技術・新事業への取り組み強化 | -ホットスタンプのグローバル展開 |
-超ハイテンプレス加工技術の手の内化 | |
-農作物光合成促進装置の事業化 |
新5カ年計画数値目標 |
(単位:億円) |
2016年3月期 (実績) |
2017年3月期 (見通し) |
2019年3月期 (目標) |
2021年3月期 (目標) |
|
連結売上高 | 4,376 | 4,070 | 4,200 | 4,400 |
営業利益率 (%) | 0.7 | 1.0 | 1.8 | 3.5 |
2017年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2017年3月期 (予測) |
2016年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
全社 | |||
売上高 | 407,000 | 437,640 | (7.0) |
営業利益 | 4,000 | 3,121 | 28.1 |
経常利益 | 2,000 | 636 | 214.0 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 500 | (1,195) | - |
受賞
-米Futaba Industrial Texas Corp.が、トヨタの 「Excellence Award」 または「Special Recognition Award」 を受賞した。(2016年3月16日付プレスリリースより)
-2015年2月のグローバル仕入先総会で、同社はトヨタから 「TNGA推進・優秀賞」を受賞したTNGA (Toyota New Global Architecture) 部品の受注を目指す企業は、設計と生技、製造が一体となる同期開発を推進する体制づくりが必須となりそうだ。(2015年6月8日付日刊自動車新聞より)
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
全社 | 3,079 | 2,940 | 2,586 |
研究開発活動
-以下研究開発活動を推進している:
- 主力製品の排気系・ボディ系・シャシー系・燃料系の各部品:低燃費化への貢献を目指し、軽量かつ低コスト化に関する開発
- ハイブリッド車などの燃費向上のための排気熱回収装置:高性能・小型・軽量化に関する開発
- エネルギー効率を最大限に引き上げるためのヒートマネジメントシステムの開発
- 車体軽量化および衝突安全性向上への対応:ホットスタンプや1,180MPa級の高張力鋼板の新成形工法に取り組み、薄板かつ高強度なボディ骨格部品を開発
- 排出ガス対策:ガソリン車のCO (一酸化炭素) /HC (ハイドロカーボン) およびディーゼル車のPM (粒子状物質) / NOx (窒素酸化物) 処理装置の開発
- 環境機器分野:熱交換器の開発
製品開発
-排気熱回収器「パワレブ」は、排出ガスの熱を取り込んでエンジン冷却水に伝え、エンジンの暖機を促進する熱交換部品。暖房のためだけにエンジンを作動させる時間を短縮し、冬場の実燃費を約10%低減できる。このため、エンジンの無駄な働きを抑制することで省燃費を図るHVやアイドリングストップ車にマッチし、実燃費を引き上げる効果がある。現状はHVに搭載して暖気を促進する機能がメーンだが、「パワートレーンの温度管理をさらに最適化するためにオイルを温めるための製品が開発できないか」という依頼が自動車メーカーからきているという。(2015年4月16日付日刊自動車新聞より)
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
日本 | 18,536 | 9,828 | 8,998 |
北米 | 4,183 | 4,498 | 2,681 |
欧州 | 183 | 1,599 | 1,245 |
アジア | 3,611 | 4,552 | 8,548 |
合計 | 26,514 | 20,480 | 21,474 |
-2016年3月期、自動車等車両部品事業を中心に生産性向上のための合理化・省力化投資並びに製品切替に伴う生産設備投資 (主に組立溶接ライン、金型および治具) を実施。
-2017年3月期の設備投資額は、21,000百万円を計画。
設備の新設計画 (自動車部品関連) |
(2016年3月31日現在) |
事業所名 (所在地) |
設備内容 | 投資 予定総額 (百万円) |
着手 | 完了予定 |
フタバ産業(株) | ||||
本社・岡崎工場 (愛知県岡崎市) |
生産設備 | 900 | 2015年5月 | 2017年3月 |
緑工場 (愛知県豊田市) |
生産設備 | 900 | 2015年3月 | 2017年3月 |
知立工場 (愛知県知立市) |
生産設備 | 200 | 2015年10月 | 2017年3月 |
幸田工場 (愛知県額田郡) |
生産設備 | 1,200 | 2014年3月 | 2017年3月 |
研究設備 | 400 | 2016年3月 | 2017年3月 | |
建物およびホットスタンプ設備 | 6,000 | 2016年4月 | 2019年3月 | |
六ッ美工場 (愛知県岡崎市) |
生産設備 | 1,500 | 2014年3月 | 2017年3月 |
田原工場 (愛知県田原市) |
生産設備 | 1,000 | 2014年10月 | 2017年3月 |
高橋工場 (愛知県岡崎市) |
生産設備 | 300 | 2015年12月 | 2017年3月 |
金型治具等 | 6,900 | 2013年4月 | 2017年3月 | |
連結子会社 | ||||
(株) フタバ九州 伊万里工場 (佐賀県伊万里市) |
生産設備 | 100 | 2016年4月 | 2017年3月 |
(株) フタバ九州 直方工場 (福岡県直方市) |
生産設備 | 200 | 2016年3月 | 2017年3月 |
(株) フタバ平泉 (岩手県西磐井郡) |
生産設備 | 500 | 2016年4月 | 2017年3月 |
(株) アピックス (愛知県額田郡) |
生産設備 | 100 | 2016年3月 | 2017年3月 |
FIC America Corp. (米国イリノイ州) |
生産設備 | 550 | 2015年10月 | 2017年3月 |
Futaba Indiana of America Corp. (米国インディアナ州) |
生産設備 | 750 | 2016年1月 | 2017年3月 |
Futaba Industrial Texas Corp. (米国テキサス州) |
生産設備 | 350 | 2016年3月 | 2017年3月 |
FIO Automotive Canada Corp. (カナダ オンタリオ州) |
生産設備 | 100 | 2015年3月 | 2016年3月 |
建物およびホットスタンプ設備 | 4,500 | 2016年6月 | 2017年12月 | |
Futaba-Tenneco U.K. Ltd. (英国ランカシャー州) |
生産設備 | 100 | 2016年3月 | 2017年3月 |
Futaba Industrial U.K. Ltd. (英国ダービシャー州) |
生産設備 | 400 | 2015年10月 | 2017年3月 |
Futaba Czech s.r.o. (チェコ ハブリチコフブラッド) |
生産設備 | 800 | 2015年12月 | 2017年3月 |
双叶金属制品 (深圳) 有限公司 [Shenzhen Futaba Metal Products Co., Ltd.] (中国広東省) |
生産設備 | 200 | 2016年4月 | 2016年12月 |
天津双協機械工業有限公司 [Tianjin Shuang Shye Mechanical Industrial Co.,Ltd.] (中国天津市) |
生産設備 | 150 | 2015年12月 | 2016年12月 |
天津双叶協展機械有限公司 [Tianjin Futaba Shye Chan Mechanical Industrial Co.,Ltd.] (中国天津市) |
生産設備 | 800 | 2015年9月 | 2016年12月 |
広州双叶汽車部件有限公司 [Guangzhou Futaba Auto Parts Co., Ltd.] (中国広東省) |
生産設備 | 400 | 2015年8月 | 2016年12月 |
長沙双叶汽車有限公司 [Chngsha Futaba Auto Parts Co., Ltd.] (中国湖南省) |
生産設備 | 200 | 2015年12月 | 2016年12月 |
重慶福達巴汽車部件有限公司 [Chongqing Futaba Automotive Parts Co., Ltd.] (中国重慶市) |
生産設備 | 250 | 2015年7月 | 2016年12月 |
FMI Automotive Components Ltd. (インド ハリヤナ州) |
生産設備 | 450 | 2016年3月 | 2017年3月 |
PT. Futaba Industrial Indonesia (インドネシア ブカシ県) |
生産設備 | 400 | 2015年1月 | 2017年3月 |