クラリオン (株) 2010年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2010年
3月期
2009年
3月期
増減率(%) 要因
全社
売上高 174,762 181,554 (3.7) -前年度より米州において納入が開始されたOEM市場での売上増加があったが、日本・欧州でのOEM市場の売上は減少し、国内市販市場も販売数量の減少が続いたために減収。
営業利益 624 (12,449) - -事業構造改革の取り組みによる固定費の削減及び変動費の低減、営業外費用の削減および為替差益の計上により増益。
経常利益 47 (14,619) -
当期純利益 549 (19,987) - -顧客からの開発費の一部回収、固定資産売却益などの特別利益を計上したために増益。
自動車機器事業
売上高 156,372 157,552 (0.7) -市販市場では世界的な販売価格の低下と販売数量の減少があったが、OEM市場では米州における拡販や各国での新車購入支援策があり回復基調となった。
営業利益 (370) (14,491) - -事業構造改革の取り組みによる固定費の削減及び変動費の低減に努めたものの損失を計上。

事業計画

-2009年度を初年度とする3カ年の新中期経営計画で、11年度までに売上高1880億円、営業利益率5% 以上を目指す。構造改革を断行し固定費や変動費の圧縮を本格化する。コスト効率向上のため、グローバルで生産能力を30%削減する。国内の生産は郡山事業 所1拠点に集約。水戸事業所から生産機能を移管中で2010年12月までに完了する。海外生産はアジア地域の拠点統廃合を検討中。タイの新工場建設を凍結して いるほか、国内外で製造ラインの休止、操業時間の短縮などを実施している。人員の整理も加速する。約1万2000人いたグループ人員を削減し9000人規 模に圧縮する。開発については、カーナビゲーションの開発効率を高めるため、製品の枠を超えた共通プラットホームを開発する。(2009年5月23日付日刊自動車新聞より)

-カーナビゲーションの増産に取り組みはじめた。主要納入先である日産自動車の国内ディーラーオプション向けや フォードの北米向けナビの受注が急増しているため。同社では、生産能力を経済危機以前に比べ3割ほど縮小する構造改革に取り組んでいるが、この取り組みに 反して受注が急増した。カーナビの生産拠点に関しては、主要拠点の一つだった水戸事業所(茨城県)の機能を郡山事業所(福島県)に集約しているところ。今 回の受注増加を受けて、急きょ水戸事業所でも生産を行うなど、カーナビ生産工場はフル稼働に近い状態となっている。(2009年8月31日付日刊自動車新聞より)

-2010年2月16日、中南米向けカーナビゲーションの生産を8月からメキシコ子会社で行うと発表した。ブラジル向けナビの 輸入関税がなくなるとともに、ナビとオーディオの一体型とすることで大幅なコスト削減を図る。同社メキシコ子会社の「エレクトロニカクラリオン」で生産を 行う。月産 3千台を予定する。(2010年2月17日付日刊自動車新聞より)

受注

-半導体メモリー内蔵の据え置き型ナビゲーション「2DIN SSD AV―Naviシステム」を三菱自動車の軽自動車に納入したと発表した。「ekワゴン」「ekスポーツ」「トッポ」などに加え、電気自動車(EV) 「i―MiEV(アイ・ミーブ)」にも納入している。(2009年8月4日付日刊自動車新聞より)

-タッチパネル式ナビゲーションセットを三菱自動車のブラジル現地生産・販売会社MMCBに11 月下旬からライン納入すると発表した。(2009年12月1日付日刊自動車新聞より)

-4・3インチモニター付きのCDプレーヤーを開発し、スズキの「ワゴンR」など4車種向けにOEM供給を始めたと発表した。(2009年12月25日付日刊自動車新聞より)

-印タタ・モーターズの低価格車「ナノ」に純正カーオーディオの本格生産を開始すると発表した。(2009年1月27日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2010年3月期 2009年3月期 2008年3月期
全社 86 1,596 2,255

研究開発活動

(1)車載カメラによる駐車支援および走行支援の高度化
-駐車および走行を支援するための画像処理技術ならびに画像認識技術の開発に取り組んでいる。
-また、車載カメラの応用技術として、俯瞰映像などの画像処理技術を既に構築。全周囲俯瞰映像(OVM : Overhead View Monitor)を実現するASIC(Applicaiton Specific Integrated Circuit)を開発。
-新しいタイプの車載カメラとして、水平画角が190度を超える超広角カメラの開発を行い、見通しの悪い交差点での安全運転に貢献するよう接近物体検知技術の開発を行っている。
-今後は、車載カメラのCMOS化・小型化・低価格化を行い、日立製作所が保有する画像認識技術を組み合わせて、駐車時および走行時の安全をサポートするITS技術の高度化に取り組む。

(2)車室内音響技術への取り組み
以下の技術を開発。
-最適な音量レベルを自動的に設定するオートボリュームコントロール
-圧縮オーディオの再生音質を改善する音質補完技術
-スピーカーの特性や人間の聴覚特性に最適な音量や周波数補正を提供するチューニング技術

(3)IVCS・カーナビゲーション分野
-インターネット検索サイトGoogleとの連携機能や、ECO運転支援機能の搭載などカーナビゲーションの多機能化を推進。

-電気自動車(EV)専用カーナビゲーションの開発を加速する。EV用のカーナビには、ガソリン車やハイブ リッド車(HV)とは異なる性能が求められる。なかでも航続距離にかかわる電池の管理や充電スポットなど最新情報の提供は欠かせない。そのためカーナビも 携帯電話やパソコンのような通信機能を内蔵することが必要であるとし、常時接続システムの構築に取り組んでいる。またEVは走行特性もガソリン車やHVと は異なる。EVの効率的な走行に必要な新たなルート案内機能の確立にも着手している。(2009年9月14日付日刊自動車新聞より)

-車載カメラ・映像処理分野への開発投資を拡大する。2009年度は総開発費の2%、5億円未満となっている開 発投資を13年度には同10%、約25億円まで引き上げる。投資拡大の要因は、安全運転支援を目的とする車載カメラ搭載の義務化がグローバルで広まりつつ あるため。同社はすでに自動車メーカーを含む複数の企業とOEM(相手型ブランド製造)製品の共同開発に着手している。(2009年11月11日付日刊自動車新聞より)

技術導入契約

(2010年3月31日現在)

相手先 国名 内容 契約期間
ディスコビジョン・アソシエイト
(Discovision Associate)
米国 光学系ディスクプレーヤーの製造技術

1994年12月01日-
許諾特許権満了日

財団法人道路交通情報通信システムセンター 日本 VICS技術情報の使用に関する契約 1995年11月28日-
両当事者での
終了確認日

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2010年3月期 2009年3月期 2008年3月期
全社 1,946 5,796 6,855
自動車機器事業 1,725 5,487 6,352

自動車機器事業
-中国工場の生産設備更新、新機種生産のための金型等へ投資。