株式会社エクセディ 2008年3月期の動向
ハイライト
業績 |
単位:百万円 | 2008年 3月期 |
2007年 3月期 |
増減率(%) | 要因 |
全社 | ||||
売上高 | 187,302 | 166,745 | 12.3 | - |
営業利益 | 19,781 | 16,670 | 18.7 | |
経常利益 | 19,578 | 17,378 | 12.7 | |
当期純利益 | 11,658 | 10,497 | 11.1 | |
MT事業(手動変速装置関連事業) | ||||
売上高 | 58,026 | 50,913 | 14.0 | 国内外における補修用製品の売上増加、中国を中心としたアジア地域における自動車生産の拡大。 |
営業利益 | 9,435 | 7,054 | 33.8 | アジア地域での売上高の増加と徹底したコストダウンにより増加。 |
AT事業(自動変速装置関連事業) | ||||
売上高 | 110,513 | 99,659 | 10.9 | 国内の自動車メーカー及びトランスミッションメーカーからの受注増加、米国において前期に納入を開始した製品の数量増加によるトルクコンバータの販売拡大。 |
営業利益 | 9,823 | 8,366 | 17.4 | 新製品増産に伴う立上げコストの増加があったものの、売上高の増加等により、増益。 |
生産体制の再編
2008年中に国内生産を大幅に再編する。大型トラック・バス用のクラッチ全量を川越に集約、それに伴う本社工場の余剰スペースに自動変速機(AT)用のトルコンラインを新設する。
>>> 設備投資 参照
海外事業
<中国>
中国・上海でAT(自動変速機)用部品であるトルクコンバーターを増産、生産能力を現行の年10万台から100万台に引き上げる。
>>> 設備投資 参照
<米国>
米国でトルクコンバーターの内製化率を高める。これまで100%外注していたアルミダイカスト製品の生産設備を導入し、トルコンの主要構成部品の量産を開始する。
>>> 設備投資 参照
<ハンガリー>
ハンガリーでのクラッチ生産を30%増強する。欧州現地メーカーからの増産要請に対応するとともに、域内及び旧東欧諸国などで推進しつつある補修用クラッチの販売も拡大する。同社のハンガリー工場は「ユーロ・エクセディ・クラッチ」(EEC、タタバーニャ市)。2006年度にはクラッチディスク及び同カバーで17万セットを生産したが、マジャール・スズキなど欧州現地メーカー向けのOEM供給が拡大基調にあるほか、欧州全域で補修用クラッチの拡販を進めることから、2007年度は5万セット上乗せし約22万セットに引き上げる。日本からの中古車輸出も多く今後の需要拡大が見込めるロシアやウクライナなど、新興市場向け補修クラッチの販売インフラも整備するほか、日本製高級車の並行輸入車などをターゲットにした高機能クラッチなどでもラインアップを広げつつあり、英国法人のエクセディ・クラッチ・ヨーロッパ(ECE、チェシャー州ランコーン)向けにも供給を拡大する。(2007年6月2日付日刊自動車新聞より)
事業計画
2011年3月期までに、主力となる自動変速機(AT)関連事業の売上構成比を06年度に比べ4ポイント引き上げ1,260億円に拡大する。同社が手掛けるトルクコンバーター、全額出資子会社のダイナックス(北海道千歳市)が受け持つ湿式摩擦材とも2ポイントずつ引き上げる。トルコンではグローバルで年産800万台を目指すとともに、AT摩擦材では世界シェアを3ポイントアップの38%とし年3億枚体制とする。(2007年7月13日付日刊自動車新聞より)
開発動向
- | 2008年3月期 | 2007年3月期 | 2006年3月期 |
研究開発費(百万円) | 4,545 | 3,552 | 3,714 |
研究開発スタッフ(名) (総従業員対比) |
320 (4%) |
255 (4%) |
271 (5%) |
MT事業: 912百万円
・マニュアルクラッチ関係では、環境問題・低燃費に対応した希薄燃焼型エンジンや直噴ディーゼルエンジンから生じる振動を効率的に吸収する高性能ダンパー、2マスフライホイールなどを開発中。
・商用車では、クラッチ操作の自動制御のためのコンピューターユニットや、その指令に従って正確にクラッチをコントロールするアクチュエーターユニット、クラッチシステムなどの製品開発を推進中。
AT事業: 1,948百万円
・トルクコンバータに関して、内部の油の流れを解明し、性能改善につなげる研究を最新のコンピュータシステムを駆使して実施。具体的には、小さなスペースに収めやすい形状でありながら伝達効率の高いトルクコンバータの開発を継続的に進めており、これらの研究成果に基づく新製品により新たな受注を獲得。
・ハイブリッド車用に、エンジン/モータ切替え時に発生する振動を吸収するダンパー装置、エンジンへの過大負荷入力を防止するトルクリミッターなどの新製品分野の開発も行っている。
技術援助契約 (2008年3月時点)
国名 | 契約先 | 契約内容 | 契約期間 |
ドイツ | J・M・フォイト社(J M Foito) | 湿式タイプ2分割フライ ホイールの製造技術 |
1992年1月1日より 15~20年間 |
ドイツ | ルークラメレンウントクップルングスバウ(LuK GmbH & Co) | 湿式タイプ2分割フライ ホイールの特許実施権 |
1995年1月17日より 特許有効期限まで |
日本 | ヴァレオユニシアトランスミッション株式会社(Valeo Unisia Transmission ) | フレキシブルフライ ホイールの特許実施権 |
2000年1月31日より 特許有効期限まで |
技術供与契約 (2008年3月時点)
国名 | 契約先 | 契約内容 | 契約期間 |
韓国 | 起亜自動車株式会社 | オートマチック用トランスミッションの部品製品に関する技術援助契約、技術指導 | 1992年12月17日より 2009年4月21日まで |
韓国 | 株式会社瑞進クラッチ (Seojin Clutch Corporation) |
クラッチの特許実施権 | 1997年11月13日より 特許有効期限まで |
インド | シーケーダイキンリミテッド (Ceekay Daikin Limited) |
クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 | 2004年10月7日より 10年間 |
アメリカ | エクセディアメリカコーポレーション (EXEDY America Corporation) |
トルクコンバータ、クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 | 2004年12月1日より 10年間 |
アメリカ | ダイナックスアメリカコーポレーション (DYNAX America Corporation) |
オートマチックトランスミッション用部品製造に関する技術援助契約、技術指導 | 1997年1月1日より 許諾製品の製造販売が終了するまで |
オーストラリア | エクセディオーストラリアPTY. リミテッド (EXEDY Australia Pty. Ltd.) |
クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 | 2007年12月1日より 5年間 |
ハンガリー | ユーロエクセディクラッチリミテッド (Euro EXEDY Clutch Ltd.) |
クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 | 2000年10月1日より 当該会社の存続期間まで |
タイ | エクセディ(タイランド)カンパニー リミテッド (EXEDY (Thailand) Co., Ltd.) |
クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 | 2005年3月27日より 5年間 |
タイ | エクセディフリクションマテリアルカンパニーリミテッド (EXEDY Friction Material Co., Ltd.) |
クラッチ用摩擦材の製造に関する技術援助契約、技術指導 | 2008年1月14日より 5年間 |
マレーシア | エクセディ(マレーシア)SDN. BHD. (EXEDY (Malaysia) Sdn. Bhd.) |
クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 | 2006年6月27日より 当該会社の存続期間まで |
中国 | 愛思帝(重慶)駆動系統有限公司 (EXEDY Chongqing Co., Ltd.) |
クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 | 1995年12月9日より 2025年6月17日まで |
中国 | 愛思帝(上海)駆動系統有限公司 (EXEDY (Shanghai) Co., Ltd.) |
クラッチ用摩擦材、トルクコンバータ製造に関する技術援助契約、技術指導 | 2006年5月1日より 10年間 |
インドネシア | P.T. エクセディインドネシア (P.T. EXEDY Indonesia) |
クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 | 2005年10月19日より 5年間 |
台湾 | 台湾厚木工業有限公司(TAMP AUTO PARTS IND. CO., LTD) | クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 | 2004年6月9日より 5年間 |
コロンビア | ボーネム社(Bonem ) | クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 | 2005年7月1日より 5年間 |
設備投資
単位:百万円 | 2008年3月期 | 2007年3月期 | 2006年3月期 |
設備投資費 | 14,892 | 12,640 | 12,978 |
MT事業 | 2,330 | 2,352 | 2,782 |
AT事業 | 10,970 | 9,477 | 9,314 |
主な投資
<MT事業>
-本社及びアジア子会社での合理化及び更新投資
<AT事業>
-本社及び米国子会社での増産対応等による投資
国内投資
同社は2008年中に国内生産を大幅に再編する。本社工場(大阪府寝屋川市)と川越工場(埼玉県川越市)でつくり分けていた大型トラック・バス用のクラッチ全量を川越に集約するとともに、それに伴う本社工場の余剰スペースに自動変速機(AT)用のトルコンラインを新設する。関連する投資額は2年間で50億円強を見込む。ATやCVTの需要拡大に対応するとともに、新長期排ガス規制の反動減が見込まれる大型用クラッチで生産効率と物流コストを改善する。(2008年1月7日付日刊自動車新聞より)
海外投資
<中国>
中国・上海でAT(自動変速機)用部品であるトルクコンバーターを増産すると発表した。約100億円投じ、2009年8月には生産能力を現行の年10万台から100万台に引き上げる。中国では日系自動車メーカーなどの生産拡大とともにAT車の販売が増加しているため、供給体制の整備を急ぐ。上海工場内に建屋を建設し、従業員も現在の260人から約500人へと増やす計画。同社は日米中でトルクコンバーターを生産しており、中国では2007年5月に生産を開始した。(2007年9月26日付プレスリリースより)
<米>
米国でトルクコンバーターの内製化率を高める。米国工場の建屋を増築、これまで100%外注していたアルミダイカスト製品の生産設備を導入し、トルコンの主要構成部品の量産を開始する。内製に切り替えるのは、ポンプインペラーやタービンランナーと並ぶ機軸部品のステーター(固定翼)で、近く生産を開始する。初年度100万個の生産を見込む。用地の取得及び建屋、設備などへの総投資額は約20億円。外部調達時にかかっていた物流コストなどを削減し、米ビッグ・スリー不振に伴う米国事業の収益悪化を補う。(2008年3月3日付日刊自動車新聞より)