アルプスアルパイン (株) (旧 アルプス電気 (株)) 2019年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2019年
3月期
2018年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 851,332 858,317 (0.8) -車載情報機器事業が大幅に増収するも、電子部品事業が減収
営業利益 49,641 71,907 (31.0) -
経常利益 43,605 66,717 (34.6) -
親会社株主に帰属する当期純利益 22,114 47,390 (53.3) -
電子部品事業
売上高 468,605 514,031 (8.8) ー車載市場1.9%減、民生その他17.4%減。車載デバイス・モジュールともに市況軟化の影響を受けた
営業利益 29,607 52,929 (44.1)
車載情報機器事業
売上高 303,593 267,638 13.4 -市販製品は横ばいも、自動車メーカー向け純正品 (特に欧州メーカーの欧州
及び中国地域向けのナビゲーション含む情報通信機器)が増加
営業利益 13,921 13,735 1.4 -

 

第1次中期経営計画 (2019年4月~2022年3月末)

-2024年までに売上高1兆円、営業利益率10%を達成する目標
-アルパインとの経営統合により、経営課題に対して以下のような対処が実現可能とみられる。

  1. アルプス電気の持つ広範な顧客チャネルを活用した新規顧客の開拓による事業拡大の加速
  2. 車載HMIの事業領域において、民生・車載電装部品で実績を積んだアルプス電気の入力デバイス、センシングデバイス及び通信デバイス技術とアルパインのナビゲーションを核とした出力機器開発技術、ソフトウェア開発力と商品企画力とを組み合わせることによる、電子デバイス・ソフトウェア・パッケージングまでがシームレスに一体となった統合HMIコックピットシステムや各種製品の開発
  3. 上記1.及び2.の結果として、車載HMIシステムインテグレーターとしての独自の高機能システム製品の創出、提案及び拡充による新事業領域のビジネス拡大

 

買収

-高精度測位技術を持つベンチャー企業の米グレイナテクノロジーズを買収することで合意したと発表した。アルプス電気はグレイナの発行済み全株式を取得して完全子会社化する。アルプス電気の小型・高性能ワイヤレス通信モジュール技術とグレイナの独自のアルゴリズムによる高精度測位技術を組み合わせた高度センシング技術を車載向けに展開していく。(2018年5月28日付日刊自動車新聞より)

 

2020年3月期の見通し

(単位:百万円)
2020年3月期
(予想)
2019年3月期
(実績)
増減率 (%)
売上高 868,500 851,332 2.0
-電子部品事業 458,000 468,605 (2.3)
-車載情報機器事業 322,500 303,593 6.2
営業利益 50,000 49,641 0.7
経常利益 47,000 43,605 7.8
親会社株主に帰属する当期純利益 31,500 22,114 42.4

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

 

研究開発費

(単位:百万円)
2019年3月期 2018年3月期 2017年3月期
全社 32,886 29,799 32,279
-電子部品事業 18,630 19,539 16,780
-車載情報機器事業 14,196 10,227 15,449

研究開発活動

電子部品事業-車載市場向け

<車載モジュール製品>

  • HMI(Human Machine Interface)技術及びセンシング技術を応用した開発
  • 小型電子シフターをはじめ、エアコンやオーディオの操作性向上を目的に、ハプティック、タッチパッド、静電ステアリングホイールスイッチなどの開発
  • 自動運転の目となる、前方の車両や人・障害物などを検知し、衝突を防止するための超短距離ミリ波レーダーの開発

<車載デバイス製品>

  • V2X(Vehicle to X)モジュールの量産開始と更なる拡大
  • 車室内の状態検知のみならず、居住性や快適性を提供する心地よい操作性を追求した入出力デバイスの開発
  • 電動化を担う各種センサーの開発

 

製品開発

ミリ波レーダー
ーこれまで一部顧客に特注品を供給していたが、79ギガヘルツ帯 (77~81ギガヘルツ) を使用するミリ波レーダーの汎用品を開発し、採用拡大に乗り出す。すでに国内外の自動車メーカーにサンプル出荷を開始しており、2022年ごろの量産化を目指す。新たに開発した汎用品は、約10メートル、水平・垂直各90度を検知する短距離用と約140メートルもしくは約220メートルを検知する中長距離用の2種類。短距離用はバンパー内部に設置し、自動駐車などに使用され、1台当たり10~12個の搭載を見込む。単価は「数千円程度で競合の製品と比べて価格競争力は高い」 (開発担当者) という。(2019年1月23日付日刊自動車新聞より)

光通信用レンズの最新製品・技術
-中国広東省深圳市で開催される「China International Optoelectronic ExpositionCIOE)」に出展し、光通信用レンズの最新製品・技術を披露。データセンター向けソリューションとして紹介する小型非球面ガラスレンズは、高い光結合効率を実現。光伝送ネットワークの低損失化やデータ通信の高速化に加え、その小型設計は実装時の省スペース化にも貢献するという。CIOEでは、光ファイバー用各種レンズに加え、TOSA(送信部)レーザー集光用レンズからROSA(受信部)光検出用レンズアレイまで、幅広いラインナップを展示し、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、自動運転用LIDARシステムなどへの応用製品例も紹介。(2018829日付プレスリリースより)

車載用DC-DCコンバーター
-48ボルトマイルドハイブリッド車 (HV) 向けに48ボルトを12ボルトに変圧するコンパクトで高効率な車載用DC-DCコンバーターを実用化する。異なる低損失特性を持つ磁性材料を配置することで、回路の小型化と高効率化を実現する。大電流下でも高い変換効率を維持できるため、装置本体の小型化も図れるという。現在、車載用を開発しており、すでにティア1 (一次部品メーカー) に提案している。欧州自動車メーカーは燃費規制の強化に対応するため、48ボルトマイルドHVの採用を加速する見通しで、DC-DCコンバーターの新製品を実用化し、新規需要を取り込んでいく。(2018年4月24日付日刊自動車新聞より)

 

海外事業

<中国>
-ブレーキペダルポジションセンサー「RD1030211」を開発し、中国の大連工場で量産を開始したと発表した。回生ブレーキとブレーキランプに同時出力できるため、従来必要としていたオンとオフを切り変えるスイッチ機構を簡素化できる。設計自由度を高めるとともに、コストの低減や軽量化につなげる。また、取り付け時の位置ずれを電子的にキャリブレーション処理できるため、物理的な位置調整が不要となり、生産工程の省力化も実現する。検出は従来品同様のアナログ方式を採用した。(2018年9月7日付日刊自動車新聞より)

 

受賞

-Jaguar Land Roverから2018年「Supplier Excellence Award」の銀賞を受賞したと発表した。静電タッチパッドやハプティックコマンダなどの製品をJaguar Land Roverの多くの車種向けに開発するなど、2017年におけるJaguar Land Roverへの貢献が評価された。「Supplier Excellence Award」は、アルプス電気含め15社に授与された。(2018611日付プレスリリースより)

 

設備投資額

(単位:百万円)
2019年3月期 2018年3月期 2017年3月期
全社 52,928 76,154 47,657
-電子部品事業 33,210 61,235 37,063
-車載情報機器事業 13,597 8,611 7,978

 
電子部品事業
-2019年3月期はスマートフォン向けカメラ用アクチュエーターをはじめ、タクトスイッチ、センサーなどのコンポーネント製品等の開発や製造設備への投資を行った。

車載情報機器事業
-2019年3月期は生産設備の更新や合理化を目的とした機械装置の他、新製品の金型を中心に設備投資を行った。
-海外においては、欧州生産拠点であるAlpine Electronics Manufacturing of Europe, Ltd.等において生産設備への投資を行った。

 

設備の新設

(2019年3月31日現在)
事業所名
(所在地)
事業の種類 設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手年月 完了予定 摘要
アルプスアルパイン(株) 古川工場他
(宮城県大崎市他)
電子部品 コンポーネント製品・車載製品の製造設備等 15,084 2019.04 2020.03 新製品・増産・合理化等
小名浜工場・平工場
(福島県いわき市)
コンポーネント製品の製造設備等 488 2019.04 2020.03 新製品等
本社
(東京都大田区)
システム関連の設備等 562 2019.04 2020.03 合理化等
アルパイン(株) いわき事業所
(福島県いわき市)
車載情報機器 生産設備・研究開発・その他設備 6,150 2019.04 2020.03 新製品・増産・合理化等
WUXI ALPS ELECTRONICS CO., LTD. 本社工場
(中国江蘇省無錫市)
電子部品 コンポーネント製品の製造設備 2,646 2019.04 2020.03 新製品・増産・合理化等

 

国内投資

-古川第2工場 (宮城県大崎市) の隣接地に新工場棟を新設した。生産設備を除く投資額は100億円。自動車の電子化を背景に需要が増加する車載向けモジュールやカメラ用アクチュエーター、各種スイッチ類の生産能力を増強する。電子部品工場のマザー拠点に位置づける。4万8千平方メートルの敷地に延べ床面積3万7千平方メートルの地上3階建ての建造物を新設。従業員数は1千人。IoT (モノのインターネット) や人工知能 (AI) の導入で生産工程を見える化し、品質向上や原価低減を図るほか、再生エネルギーの活用などで温室効果ガス排出量を古川工場より半減する。(2018年11月5日付日刊自動車新聞より)