アルプス電気 (株) 2017年3月期の動向

業績

(単位:百万円)

2017年
3月期
2016年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 753,262 774,038 (2.7) -
営業利益 44,373 52,327 (15.2) -
経常利益 42,725 50,038 (14.6) -
親会社株主に帰属する当期純利益 34,920 39,034 (10.5) -
電子部品事業
売上高 437,676 434,072 0.8 -
営業利益 32,803 40,780 (19.5) -
車載情報機器事業
売上高 242,306 267,541 (9.4) -
営業利益 5,623 5,434 3.5

要因
1)電子部品事業 - 車載市場
-2017年3月期の売上高は、前期比0.8%増の437,676百万円。2016年4月より3年間の第8次中期経営計画がスタートし、潮目の変化を受けながらも持続的な成長に向けた各種の取り組みを進めた。車載市場ではADAS(先進運転支援システム)の搭載や自動運転の一部実用化など、自動車メーカー各社の取り組みにも拍車がかかり、クルマのエレクトロニクス化がより進展した。この中で、電子シフタ―やBluetooth、W-LAN、LTEなどの各種通信モジュール製品、およびセンサーをはじめとした各種車載デバイス製品など全般にわたって堅調に推移した。車載市場の売上高は前期比3.4%増の256,000百万円。

2)車載情報機器事業
-2017年3月期の売上高は、前期比9.4%減の242,306百万円。営業利益は前期比3.5%増の5,623百万円。カーエレクオロニクス業界は、インフォティメントシステムを核とした車載情報分野と、自動車の電子化・自動運転・AI(人口知能)などの新分野との連携が拡大し、業種・業態を超えた競争が激化した。このような中、同事業部はナビゲーションを核とした車種専用ソリューションおよびプレミアムサウンドシステムの訴求を図り、また中国での電気自動車市場が急拡大する中、次世代バッテリー制御システムの開発強化を図った。

電子部品事業

第8次中期経営計画 (2017年4月~2019年3月末)
-注力市場は車載、モバイル、EHIIとし、持続的成長が可能な会社への発展を目指す。HMI、センサ、コネクティビティの三つの技術領域を更に深耕し、独自性の高い、競争力を持った新製品をいち早く生み出すことを事業方針としている。

目標:

  1. 車載市場向け売上3,000億円の達成
    • 車載モジュール:HMI・センシング・コネクティビティを融合した製品開発
    • 車載デバイス:コネクテッドカーに向けた製品開発
  2. モバイル市場向け売上2,000億円の達成
  3. EHII向け売上600億円の仕込み

事業展開

-同社は、2016年10月1日付で同社100%出資の連結子会社である栗駒電子を吸収合併すると発表した。宮城県大崎市にある栗駒電子は、自動車用電装製品の製造・販売を行っている。アルプス電気を存続会社とする吸収合併方式で、栗駒電子は解散する予定。(2016年8月26日付プレスリリースより)

-同社の栗山年弘社長は、15日に宮城県大崎市役所で開いた北原工業団地新規造成地区の工場用地取得に伴う立地協定式で「(大崎市にある)古川工場のリニューアルと合わせて全体での拡張計画を作っている。(新工場は)2、3年以内に操業を開始したい」と、現時点で詳細は未定としながらも、今後も大崎市で事業拡大を図る考えを強調した。今回、取得する土地は、同社の北原工場に隣接する北原工業団地新規造成地区の4万8771平方メートル。車載やインダストリーなどの市場向けやIoT(モノのインターネット)関連製品の生産などを検討するが、現時点で具体的な生産品目や規模は未定。国内の生産基盤の維持・拡大と、次世代のスマートファクトリーの構築を目指す。(2016年6月21日付日刊自動車新聞より)

-同社は2016年6月、宮城県大崎市の北原工業団地新規造成地区に工場用地を取得すると発表した。15日の立地協定式を経て6月末に大崎市と正式契約を締結する予定。取得する土地は、同社北原工場に隣接する北原工業団地新規造成地区の4万8771平方メートルで、取得価格は6億8100万円。需要拡大が見込まれる車載やエネルギー、ヘルスケア、インダストリー市場向け製品やIoT(モノのインターネット)関連製品の生産などでの活用を検討するが、現時点で具体的な生産品目や操業規模は未定。(2016年6月11日付日刊自動車新聞より)



2018年3月期の見通し

(単位:億円)

2018年3月期
(予想)
2017年3月期
(実績)
増減率 (%)
売上高 7,870 7,532 4.5
-電子部品事業 - 4,376
-車載情報機器事業 - 2,423
営業利益 545 443 22.8
経常利益 505 427 18.2
親会社株主に帰属する当期純利益 360 349 3.1

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)

2017年3月期 2016年3月期 2015年3月期
全社 32,279 33,336 33,035
-電子部品事業 16,780 13,668 14,903
-車載情報機器事業 15,449 19,648 18,132

研究開発活動

電子部品事業-車載市場向け
-人とメディアのより快適なコミュニケーションを目指し、メカトロニクス技術・プロセス技術・マテリアル技術等の同社固有技術をより深化させることによりユニークな新製品への展開を進める。

-車載市場では車室内で進む電子化・複雑な操作にたいする統合操作デバイスの開発。また今後増えていくHV・PHV・EV・燃料電池車等に必要とされる商品の開発。

<車載モジュール製品>
-車載用エアコンやオーディオの操作性向上を目的にタッチパネルモジュール・ハブティックタッチパッド・静電ステアリングホイールスイッチ・小型電子シフタの開発を進めている。更に衝突防止・自動運転の目となるべく、前方の車両や人・障害物などを検知するための超短距離ミリ波レーダーの開発も進めている。

<車載デバイス製品>
-ADAS(先進運転支援システム)での自動運転の実現に向け、高周波回路技術によりモジュール化を行い、V2X( Vehicle to X)モジュールの量産を開始し、更なる拡大を見込んでいる。ITS(高度道路交通システム)の進化に伴い、製品ラインナップ拡大の強化。

製品開発

タクトスイッチ-同社はカーナビゲーションやエアコンなどの操作で使用されるタクトスイッチのソフトフィーリングタイプ「SKPSシリーズ」の量産を開始したと発表した。スイッチを押し込む際の移動量(ストローク)を短くしながら、作動力を重めに設定した。新製品投入で、タクトスイッチのフィーリングでの自動車メーカーの多様なニーズに対応する。当初月産は200万個だが、2018年以降は倍増を目指す。(2017年3月21日付日刊自動車新聞より)

静電容量方式のタッチ入力モジュール
-同社は、画面に触れた指から発生する微弱な電流(静電容量)の変化を感知して位置を特定する静電容量方式のタッチ入力モジュールを開発、エアコンやオーディオなど、車内のコントローラーなど向けに提案する。自社開発の静電ICや静電センサー、筐体加工技術などにより、曲面部や樹脂成形部への静電タッチによる操作を可能にしたほか、入力に反応して振動を返すフォースフィードバック機能にも対応する。センターコンソール部の操作性やデザイン自由度の向上に貢献する製品として受注活動を展開する。(2016年10月17日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)

2017年3月期 2016年3月期 2015年3月期
全社 47,657 41,190 31,416
-電子部品事業 37,063 28,999 22,210
-車載情報機器事業 7,978 7,494 7,496

電子部品事業
-2017年3月期はスマートフォン向けカメラ用アクチュエーターをはじめ、タクトスイッチ、センサーなどのコンポーネント製品等の開発や製造設備への投資を行った。

車載情報機器事業
-2017年3月期は生産設備の更新や合理化を目的とした機械装置の他、新製品の金型を中心に設備投資を行った。
-海外においては、欧州生産拠点であるAlpine Electronics Manufacturing of Europe, Ltd.等において生産設備への投資を行った。

設備の新設

(2016年3月31日現在)

事業所名
(所在地)
事業の種類 設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手年月 完了予定 摘要
アルプス電気
小名浜工場・平工場
(福島県県いわき市)
電子部品 コンポーネント製品の製造設備等 7,107 2016.04 2017.03 新製品等
アルプス電気
古川工場他
(宮城県大崎市他)
電子部品 コンポーネント製品・車載製品の製造設備等 5,774 2016.04 2017.03 新製品・増産・合理化等
アルプス電気
長岡工場
(新潟県長岡市)
電子部品 コンポーネント製品の製造設備等 1,839 2016.04 2017.03 増産・合理化等
アルパイン
いわき事業所
(福島県いわき市)
車載情報機器 生産設備・研究開発・その他設備 2,409 2016.04 2017.03 新製品・増産・合理化等