NTN (株) 2018年3月期の動向
業績
(単位:百万円)
2018年 3月期 |
2017年 3月期 |
増減率 (%) | 要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 744,372 | 683,328 | 8.9 | - |
営業利益 | 39,608 | 35,622 | 11.2 | - |
経常利益 | 31,250 | 29,604 | 5.6 | - |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 20,373 | 2,830 | 619.9 | - |
自動車市場向け | ||||
売上高 | 508,592 | 480,216 | 5.9 | - |
利益 | 21,803 | 20,005 | 9.0 | - |
受注
-電動モーター一体型アクチュエーターを初めて受注し、2018年度から供給を開始する。今後も同製品の受注活動を強化し、25年度にはアクチュエーター関連の売上高300億円規模を目指す。当初計画では25年度に電動化事業全体の売上高300億円を計画していたが、電動モーター・アクチュエーターの本格展開で計画は上ぶれする見通し。電動モーター・アクチュエーターは平行軸タイプの「BII」と同軸中空タイプの「BIII」、ブラシレスDCモーターの「SP」の3種を設定する。幅広いサイズと種類をラインアップし、自動車メーカーの要求に細かく対応できる強みを生かすことで受注を開拓する。(2018年3月13日付日刊自動車新聞より)
研究開発拠点
施設名称 | 所在地 |
産業機械技術開発センター | 三重県桑名市 |
先端技術研究所 | 三重県桑名市 |
総合研究開発センター | 静岡県磐田市 |
商品開発研究所 | 静岡県磐田市 |
生産技術研究所 | 静岡県磐田市 |
CVJ・アクスルユニット技術開発センター | 静岡県磐田市 |
NTN Bearing Corp. of America - Industrial Engineering Dept. |
米国、イリノイ州 |
NTN Bearing Corp. of America - NTN Automotive Center |
米国、ミシガン州 |
NTN Waelzlager (Europe) G.m.b.H. - Engineering Dept. |
ドイツ、Erkrath |
NTN Transmissions Europe - Research and Development Dept. |
フランス、Allonnes |
NTN-SNR Roulements S.A. | フランス、Annecy |
NTN China Technical Center | 中国、上海市 |
技術供与契約
(2018年3月31日現在)
相手先 | 国名 | 契約内容 | 契約期限 |
National Engineering Industries Ltd. | インド | ボールベアリング等の製造に関する技術の供与 | 2011年11月2日から 2017年12月31日まで (注) |
台惟工業股份有限公司 [Taiway Industry Co., Ltd.] |
台湾 | 等速ジョイントの製造に関する技術の供与 | 2003年3月26日から 2022年11月23日まで |
(注) 契約満了につき相手先と協議中。
研究開発費
(単位:百万円)
2018年3月期 | 2017年3月期 | 2016年3月期 | |
全社 | 21,007 | 19,196 | 18,480 |
研究開発体制
-大阪大学大学院工学研究科に共同研究所を開設。NTNの基盤技術と大阪大学の人工知能 (AI) やIoT (モノのインターネット) の研究実績を融合、次世代電気自動車 (EV) や自然エネルギーなどの研究開発で協力する。研究期間は今年9月から2020年3月まで。新設した「NTN次世代協働研究所」は、同大学吹田キャンパスに設置した。同社は、先端技術の知見を持つ同大学との産学連携を強化し、次世代の新規事業の創出に向けた研究開発を加速させる。また、次世代の人材育成の場としても活用していく。 (2017年7月6日付日刊自動車新聞より)
研究開発活動
基盤事業
-自動車事業:電動化に対する低燃費化や車両レイアウトの設計自由度向上に貢献した製品を多く開発。
-ハブベアリングやドライブシャフトの「低トルク化」、「小型・軽量化」とともに、モジュール商品の開発を推進し、新商品をグローバルに展開。
新事業展開
-EV事業:自動車の電動化・自動運転に向かって、「電動モーター・アクチュエーター」をシリーズ開発し、顧客のカスタマイズニーズに即時対応できる事業体制を確立し多数の案件を得ている。
-「インホイールモーター駆動システム」と「車両運動制御技術」を開発し、2018年4月に中国大手自動車メーカーとのライセンス契約を締結した。
製品開発
日信工業と電動ブレーキシステム (EMB)を共同開発
-日信工業とNTNは、摩擦ブレーキを電気モーターで制御する「電動ブレーキシステム (EMB) 」を共同開発する。電気自動車 (EV) 用に、2025年の実用化を目指す。EMBは、油圧ブレーキと比べ部品点数が少なく軽量化できるほか、減速エネルギーを電気に変換する回生ブレーキとの協調制御にも優位なことなどが特徴。EVの航続距離延長などの効果を訴求し、新規ニーズを開拓する。システムのフェールセーフ確保やコストの課題をクリアし、早期実用化につなげる。(2017年11月7日付日刊自動車新聞より)
高速回転対応プーリー用軸受
-外輪回転数を、従来比30%増となる1分間に2万回転まで対応できるプーリー用軸受を開発。新開発の「高速回転対応プーリー用軸受」は、保持器とシールの設計を回転遠心力に対応するように変更、高速回転時のシールリップ部の発熱や保持器の変形を抑制する。グリースは低温に硬化しないものを採用し、軸受の外輪とプーリーが振動して発生する異音の発生を防ぐ。(2017年5月30日付日刊自動車新聞より)
低フリクションハブベアリングII
-回転フリクションを50%低減し、車両燃費を約0.42%改善する「低フリクションハブベアリングII」を開発。同社は、低フリクション化のためにシール先端の接触リップ枚数を削減。シール部にラビリンス構造(すきま)を設け、シール形状を工夫することで、高い耐泥水性を確保した。また、グリースの配合成分と粘度も見直し、トルク低減に寄与する仕様を適用した。(2017年10月24日付プレスリリースより)
モーター・ジェネレーター機能搭載ハブベアリング
-モーター・ジェネレーター機能が付いたハブベアリング「eHUB(イーハブ)」を開発したと発表した。イーハブは、前輪駆動車の場合は後輪(非駆動輪)に搭載し、モーターで駆動アシストしてエンジン負荷を軽減する。減速時には発電機としてエネルギーを電力に回生する。48ボルトマイルドハイブリッドシステムとの組み合わせにより、従来のエンジンのみの車と比較して最大25%の燃費向上を図れる。電気自動車(EV)クリープ走行や、滑りやすい路面での車両姿勢の安定制御にも活用できる。2025年度に100億円の販売を目指す。(2017年10月30日付日刊自動車新聞より)
設備投資額
(単位:百万円)
2018年3月期 | 2017年3月期 | 2016年3月期 | |
全社 | 37,589 | 35,398 | 36,300 |
-2019年3月期見通しは55,000 百万円。
<日本>
-ラジアル軸受の生産を行う「(仮称)和歌山製作所」を和歌山県橋本市に新設すると発表した。これまで日本各地に分散していたラジアル軸受の生産を再編成し、高付加価値商品の生産を和歌山製作所に集約する。新工場の敷地面積は約109,100平方メートルで、延床面積は約60,100平方メートル。従業員数は約350人。2018年7月から順次着工し、2019年6月から量産を開始予定。(2018年3月23日付プレスリリースより)
<米国>
-米国にドライブシャフト用部品を加工する工場を新設すると発表した。今月から順次着工し、2018年4月から量産を開始する計画。米国では自動車需要が堅調に推移しており、現地での生産能力を増強して対応する。NTNと自動車部品メーカーの高雄工業、高周波熱錬の合弁会社であるNTKの第2工場をインディアナ州アンダーソン市に新設する。新工場は、15年に設立したドライブシャフトの完成品工場の西側土地に建設し、シャフトの旋削、熱処理加工を行う。新拠点の敷地面積は16万2千平方メートル。(2017年4月13日付日刊自動車新聞より)
2018年3月期の主な設備投資
地域 | 会社名/事業所 | 内容 | 総額 (百万円) |
日本 | (株) NTN能登製作所 | 建屋増築および軸受製造設備の増設 | 15,751 |
同社岡山製作所 | 軸受製造設備の増設 | ||
米州 | NTK Precision Axle Corp. | 建屋増築および等速ジョイント部品用設備の増設 | 10,270 |
NTN-BOWER CORP. | 等速ジョイント部品用設備の増設 | ||
欧州 | NTN-SNR Roulements S.A. | 軸受製造設備の増設 | 7,638 |
NTN Transmissions Europe | 等速ジョイント部品用設備の増設 | ||
アジア他 | NTN Manufacturing (Thailand) Co., LTD. | 等速ジョイント製造設備の増設 | 4,129 |
NTPT CO.,LTD | 等速ジョイント製造設備の増設 |
設備の新設計画
(2018年3月31日現在)
会社名/事業所 (所在地) |
内容 | 総額 (百万円) |
着手 | 完了 | 目的 |
同社 | |||||
研究部門 | 研究用設備等 | 11,061 | 2018年04月 | 2021年03月 | 研究開発等 |
桑名製作所 (三重県桑名市) |
軸受用建屋および設備 | 6,401 | 2018年04月 | 2021年03月 | 増産および合理化 |
岡山製作所 (岡山県備前市) |
軸受・等速ジョイント用設備 | 7,496 | 2018年04月 | 2021年03月 | 増産および合理化 |
磐田製作所 (静岡県磐田市) |
軸受・等速ジョイント・精密機器商品等用設備 | 6,153 | 2018年04月 | 2021年03月 | 増産および合理化 |
子会社・関連会社 | |||||
NTN-Bower Corp. (米国、イリノイ州) |
軸受用設備・等速ジョイント部品用設備 | 11,208 | 2018年04月 | 2021年03月 | 増産および合理化 |
NTN Driveshaft Anderson, Inc. (米国、インディアナ州) |
等速ジョイント用設備 | 9,051 | 2018年04月 | 2021年03月 | 増産 |
NTK Precision Axle Corp. (米国、インディアナ州 Frankfort) |
等速ジョイント用建屋および設備 | 8,313 | 2018年04月 | 2021年03月 | 増産および合理化 |
NTN Driveshaft, Inc. (米国、インディアナ州Columbus) |
等速ジョイント用建屋および設備 | 6,958 | 2018年04月 | 2021年03月 | 増産および合理化 |
NTN-SNR Roulements S.A. (フランス、Annecy) |
軸受用建屋および設備 | 9,535 | 2018年04月 | 2021年03月 | 増産および合理化 |
NTN Transmissions Europe (フランス、Allonnes) |
等速ジョイント用設備 | 4,784 | 2018年04月 | 2021年03月 | 増産および合理化 |
NTN-SNR Rulmenti S.R.L. (ルーマニア、Sibiu) |
軸受用建屋および設備 | 3,657 | 2018年04月 | 2021年03月 | 増産および合理化 |
NTN Mettmann (Deutschland) G.m.b.H. (ドイツ、Mettmann) |
軸受用設備 | 2,995 | 2018年04月 | 2021年03月 | 増産 |
NTN Manufacturing (Thailand) Co., Ltd. (タイ、Rayong) |
軸受・等速ジョイント・ 精密機器商品等用設備 | 3,593 | 2018年04月 | 2021年03月 | 増産および合理化 |
南京恩梯恩精密機電有限公司 [Nanjing NTN Corporation] (中国南京市) |
軸受用設備 | 5,316 | 2018年04月 | 2021年03月 | 増産および合理化 |
上海恩梯恩精密機電有限公司 [Shanghai NTN Corporation] (中国上海市) |
軸受・等速ジョイント用設備 | 3,053 | 2018年04月 | 2021年03月 | 増産および合理化 |
2019年3月期の業績見通し
(単位:百万円)
2019年3月期 (予想) |
2018年3月期 (実績) |
増減率 (%) |
|
売上高 | 750,000 | 744,372 | 0.8 |
営業利益 | 43,000 | 39,608 | 8.6 |
経常利益 | 37,000 | 31,250 | 18.4 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 21,000 | 20,373 | 3.1 |
-2019年3月期の自動車事業、地域別の動向見通しは以下のとおり。
- 日本:新モデルの立ち上がり効果で販売増
- 米州:メキシコ製造の新モデル立ち上り効果はあるも、主要モデル終息の影響で販売減
- 欧州:一部車種向けでは販売減となるも、欧州系メーカーの需要堅調により横ばい
- アジア他:中国で日系好調維持とローカルメーカー需要増、アジア他で日/米系の新車立ち上りで販売増