Brembo S.p.A. 2014年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2014年
12月期
2013年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 1,803.3 1,566.1 15.1 -
営業利益 178.4 122.8 45.3 -
部門別売上高
-乗用車用製品事業 1,301.9 1,097.8 18.6 1)
-モーターバイク用製品事業 173.6 150.3 15.5 -
-商用車用製品事業 187.6 191.8 (2.2) 2)


要因
1) 乗用車用製品事業
-2014年12月期の乗用車用製品事業の売上高は、前年比18.6%増。中国、米国、西欧での堅調な自動車販売が売上増加に寄与。特に西欧市場は6年間連続の自動車販売減を抜けだして、2014年は前年比4.8%の成長を示した。

2) 商用車用製品事業
-2014年12月期の商用車用製品事業の売上高は、前年比2.2%減。3.5トン以下の小型車両販売は欧州にて前年比10.7%増加を示したが、3.5トン以上の中型・大型車両販売は前年比7.7%減であり、同社の売上を押し下げた。

受注

-新型ブレーキシステムがFerrariの新型 「488 GTB」 に搭載されたと発表。フロントおよびリアキャリパーにはさまざまな直径のピストンが付いており、ブレーキパッドの摩耗を均一にして、ブレーキディスクの入り口角だけが摩耗することを防ぐ。また、複合セラミック素材のカーボンセラミック (CCM) ブレーキディスクは、従来の鋳鉄製ブレーキディスクに比べて50%の軽量化を実現している。 (2015年3月4日付プレスリリースより)

-新型「Extrema」キャリパーがFerrari 「458 Speciale A」 に採用されたと発表。新たな設計により、従来製品に比べてばね下重量を3kg以上軽量化したほか、制動力の損失を10%低減し、快適なペダル操作を実現する。また、この「Extrema」キャリパーには、電動パーキングブレーキが直接組み込まれている。 (2014年10月1日付プレスリリースより)

-第84回ジュネーブ国際自動車ショーで初公開される100台以上のモデルの多くに、同社のブレーキキャリパーやディスクが採用されたと発表。 (2014年3月4日付プレスリリースより)

メーカー モデル 供給製品
Alfa Romeo 「Giulietta Quadrifoglio Verde」 ブレーキ (キャリパー、ディスク)
Lamborghini 「Huracan LP 610-4」 ブレーキ (キャリパー、ディスク)
トヨタ 「Lexus RC F Sport」 ブレーキ (キャリパー、ディスク)
「Lexus RC F」 高性能ブレーキ
Maserati 「Quattroporte 100th Anniversary Edition」 ブレーキ (キャリパー、ディスク)
McLaren 「650S」 ブレーキ (キャリパー、ディスク)
Opel 「Astra OPC Extreme」 ブレーキ (キャリパー、ディスク)
Porsche 「Macan Diesel」 ブレーキ (キャリパー、ディスク)
Volvo 「V60 Polestar」 ブレーキ (キャリパー、ディスク)
Ferrari 「LaFerrari」 ブレーキ (キャリパー、ディスク)
「458 Speciale」 ブレーキ (キャリパー、ディスク)
「California T」 コーナーASSY (フロント6ピストン、アルミモノブロックキャリパー、リア4ピストン) 、カーボンセラミック製ディスクを採用
GM 「Chevrolet Corvette C7」 ブレーキ (キャリパー、ディスク)
「Corvette Z06」 ブレーキ (キャリパー、ディスク)
「Corvette C7.R」 ブレーキ (キャリパー、ディスク)
「Cadillac ATS Coupe」 高性能ブレーキ
Daimler 「Mercedes-Benz」 軽量ブレーキディスク
現代 (Hyundai) 「Genesis」 高性能ブレーキ
日産 「Infiniti Eau Rouge Concept」 高性能ブレーキ
「GT-R Nismo」 高性能ブレーキ
Jaguar 「F-Type R Coupe」 高性能ブレーキ
Land Rover 「Range Rover Vogue」 高性能ブレーキ

研究開発体制

-全従業員の約10%にあたるエンジニアと専門家が研究開発に従事。

-イタリア、ポーランド、中国および米国に研究施設を保有。

研究開発活動

-2014年、鋳鉄ブレーキディスクに関する研究開発を実施。主な目的は、振動特性に影響する技術パラメーターの適正化による走行快適性の改善。他にも、大型商用車向け鋳鉄ブレーキディスクの素材、質量特性、冷却能力に関する研究を推進している。

-2014年、摩擦材と軽量ディスクの共同開発を実施。社内で共同開発を進められる唯一のメーカーであるメリットを生かす。

-2014年、先行開発としてブレーキ機能におけるメカトロニックなシステムが研究されている。ブレーキシステムとトラクションモーターやサスペンション・ステアリングコンセプトとの交信システム、ブレーキバイワイヤーシステム、ABSと統合された電動パーキングブレーキなど。

製品開発

軽量ブレーキディスク
-新型ブレーキディスクは、鋳鉄でブレーキリングを作成しスチールをブレーキハットに薄く張り合わせたもので、従来品比15%の軽量化を実現。Daimlerとの共同開発品であり、すべての新型Mercedes MRAプラットフォームに採用。2014年、欧州・中国・米国で生産を開始した。

ピラーベンティング技術 (PVT Plus:Pillar Venting Technology Plus)
-ブレーキディスクに通気のためのを設けることにより、軽量化、耐熱クラック性の向上、ブレーキパッドの耐摩耗性に貢献する。耐熱クラック性については、従来品比30%改善、ディスクの長寿命化に貢献。通気向上により動作温度が30%改善、パッドの長寿命化につながった。ディスクの質量は10%軽量となった。イタリアのMapello工場で生産され、当初はAudi 「A6」、BMW 「5-Series」、Mercedes-Benz 「E-Class」 といったプレミアムセダン向けの販売を想定していたが、将来的には他のクラスにも紹介される予定。 (2015年5月20日付プレスリリースより)

カーボンセラミックブレーキ
-同社のカーボンセラミックブレーキにより、GM Chevrolet 「Corvette Z06」 がGMの車両の中で最短の制動距離を記録した。「Corvette Z06」 の制動実験に使われたカーボンセラミックブレーキの径はフロント394mm、リア390mm。速度96.5km/h (60mph) から停止するまでの距離が99.6フィート (30m) であった。Corvetteのブレーキシステムには、Bremboの軽量ブレーキキャリパーと、カーボンセラミックディスクに専用に開発されたブレーキパッド、それに最適な力配分を与える様々な径のピストンが使用されている。 (2014年11月21日付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
全社 126.8 133.1 140.6


-2014年12月期の設備投資額126.8百万ユーロの内、109.4百万ユーロは土地、工場および設備機器の購入に充てられた。残りの17.4百万ユーロは無形資産に投じられた。

-2014年、設備投資は以下4地域に集中的に投下された:

  • イタリア:34%
  • ポーランド:22%
  • チェコ共和国:18%
  • 北米・ブラジル:18%

国内投資

-2014年、主な国内投資は生産工場、機械、設備の取得。研究開発には11.0百万ユーロを費やした。

海外投資

<メキシコ>
-メキシコのヌエボ・レオン州Escobedoにアルミキャリパー用の鋳造工場と生産工場を建設すると発表。2016年に生産を開始し、2018年末までにフル稼働に達する見込み。2015年から2017年までに総額39百万ドル (32百万ユーロ) を投じる計画。鋳造工場の溶解能力は14,000トンで、機械加工工場では年間200万ユニットのアルミキャリパーの製造が可能になる。フル稼働時の工場面積は31,500平方メートルで、新たに従業員約500名を雇用する計画。新工場の建設により、グループ全体で年間120百万ドル (100百万ユーロ) の売上増加を見込む。現在メキシコに拠点がある、または今後拠点を設立する予定の欧州・アジア・米国の自動車メーカーのほか、米国でBremboの製品を採用している欧州・アジア・米国自動車メーカー向けに生産する。 (2014年12月2日付プレスリリースより)

<米国>
-米国ミシガン州のHomer拠点近郊に鋳鉄工場を建設すると発表。米国における生産の垂直統合化に向けたプロジェクトの一環となる。新工場の建設は2015年に開始され、2017年に完成する予定。投資額は74百万ユーロ (1億ドル) で、フル稼働時の年産能力はブレーキディスク部品で最大8万トンとなる見込み。鋳造工場、エンジニアリング・技術室、倉庫などをあわせると面積は約3万平方メートルになる。新工場の建設により、Bremboは同州Plymouthにある研究開発センターと本社も含めて、従業員を250名増員する計画。 (2014年7月23日付プレスリリースより)

-米国ミシガン州のHomerにある生産拠点の拡張が完了し、開所式を行ったと発表。同拠点では、ブレーキ、ディスク、キャリパー、コーナーモジュールの生産を行っており、Bremboは2015年までに総額115百万ドル (83百万ユーロ) 超を投じる計画。拡張後の生産エリアの面積は約44万フィート。生産ライン47本と塗装ライン12本を有する。従業員数は450名超。同工場では、2013年にディスク1,000万ユニットと、キャリパーおよびコーナーモジュール30万ユニットを生産した。2014年には、ディスク1,250万ユニットとキャリパーおよびモジュール40万ユニットを生産する計画。 (2014年5月21日付プレスリリースより)

<東欧>
-2014年、引き続き以下の拠点の生産能力増強を実施:

  • ポーランドのDabrowa Gornicza拠点:乗用車、商用車用ブレーキディスクの鋳造および加工
  • チェコのOstrava-Hrabova拠点:ブレーキキャリパーおよびその他アルミ部品の鋳造、加工、組立

-新規投資計画として、ポーランドのNiepolomiceに新工場建設。2014-2017年にかけて、34百万ユーロを投じる計画。同社のポーランド、中国、米国で生産される軽量ディスクに組み付けるスチール製ディスクハットを生産する。