MICHELIN (Compagnie Generale des Establissements Michelin S.C.A.) 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2016年12月期 2015年12月期 増減率 (%) 要因
全社
売上高 20,907 21,199 (1.4) 1)
営業利益* 2,692 2,577 4.5 2)
乗用車・小型トラックタイヤ部門
売上高 12,105 12,028 0.6 3)
営業利益* 1,585 1,384 14.5
トラックタイヤ部門
売上高 5,966 6,229 (4.2) 4)
営業利益* 580 645 (10.1)

*特別損益算入前

要因
1) 全社売上高
-2016年12月期の売上高は前年比1.4%減の20,907百万ユーロ。販売本数の伸びにより440百万ユーロの増収、連結化により24百万ユーロの増収が見られた。一方、価格ミックスの影響で386百万ユーロの減収、また為替の影響で370百万ユーロの減収があり、全体として前年を下回った。

2) 営業利益
-2016年12月期の営業利益は前年比4.5%増の2,692百万ユーロ。販売本数の伸びと価格ミックスの好転による増収分が、製造コストと諸経費の増加により一部相殺された。

3) 乗用車・小型トラックタイヤ部門
-2016年12月期の乗用車・小型トラック用タイヤ部門および関連事業の売上高は、前年比0.6%増の12,105百万ユーロ。Michelinブランドおよび17インチ以上のタイヤの販売増が貢献した。

4) トラックタイヤ部門
-2016年12月期のトラックタイヤ部門および関連事業の売上高は、前年比4.2%減の5,966百万ユーロ。販売本数が伸び、原材料コストは減少したが、価格変更による影響と中間タイヤの販売好調により、全体として前年の売上を下回った。

事業動向

-PorscheのEVコンセプト 「Mission E」 のほか、「Artega Scalo」 や 「Thunder Power」 などのEVに同社のタイヤが搭載されたと発表した。これらのモデルは、2015年フランクフルトモーターショーで展示されていた。(2016年1月6日付プレスリリースより)

受注

-同社製タイヤ 「POTENZA RE050A」 がトヨタ 「C-HR」 に新車装着されたと発表した。装着サイズはフロント215/60R17 96H、リア225/50R18 95V。(2016年12月16日付プレスリリースより)

-同社製ランフラットタイヤ 「MICHELIN Pilot Super Sport ZP」 がレクサスの新型 「LC500」 および 「LC500h」 に標準装着されたと発表した。装着サイズはフロント245/40RF21、リア275/35RF21。(2016年12月9日付プレスリリースより)

-日本ミシュランタイヤは、Mercedes Benz日本が輸入・販売する 「Mercedes-AMG Sクラス」 の新車装着用タイヤに、スポーツタイヤ 「Pilot Sport 3」 が採用されたと発表した。フロントタイヤには、トレッドの内側にスポンジを貼り、タイヤ内に発生する空気の振動音を低減する技術 「Michelin Acoustic」 テクノロジーを投入した。市販の 「Pilot Sport 3」 には採用されていない同社初採用の技術で、車両の静粛性能の向上に貢献する。(2016年9月7日付日刊自動車新聞より)

-BMWの特別限定モデル 「M4 GTS」 向けに、同社製タイヤ 「MICHELIN Pilot Sport Cup 2」 を独占供給すると発表した。タイヤサイズは、フロントが265/35 ZR 19、リアが265/35 ZR 19となる。(2016年4月19日付プレスリリースより)

-Ford 「Focus RS」 に同社製タイヤ 「MICHELIN Pilot Super Sport」(タイヤサイズ235/35/19) が標準装着されたと発表した。なお、同サイズの 「Pilot Sport Cup 2」 タイヤはオプション搭載となる。(2016年1月18日付プレスリリースより)

2017年12月期の見通し

-2017年12月期は、各市場の成長幅に応じて販売量が拡大すると期待。営業利益は2016年12月期実績と同水準またはそれ以上になると予測している (為替の影響を除く)。

-2015~2020年の期間にタイヤ部門の売上高20%増を目指す。

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
合計 718 689 656

研究開発体制

-研究開発人員は約6,600名。

-同社は下記3分野の研究開発を進めている:

  • 未来の車両: 燃料電池や自律走行車プロジェクトなど
  • 未来のモビリティ: 高度道路交通システム (ITS) や相乗り、カーシェアリングなど、新たな利用トレンド支援とタイヤソリューションの統合
  • 都市部のモビリティ改革

研究開発拠点

  • リサーチセンター: Ladoux (フランス)、群馬県太田市 (日本)、Greenville (米国)
  • 試験場: Almeria (スペイン)

-2016年9月16日、フランスLadouxに新たな研究開発センターを開設した。フル稼働を予定している2018年までに約1,700名の技術者を雇用し、約270百万ユーロを投資する予定。(2016年9月16日付プレスリリースより)

Clermont-Ferrand本社の再編
-2016年3月1日、Clermont-Ferrand本社 (フランス) の事業再編計画を発表した。再編によりグループの研究開発能力、先進技術分野、および意思決定などの本社機能を強化する。

-2016年、Clermont-Ferrand本社は技術部門を再編し、リトレッド事業は閉鎖した。90百万ユーロを投資し、Cataroux、La Combaude、Gravanches拠点に先進設備や新加工技術を導入した。

製品開発

トラック用ラジアルタイヤ Michelin X-Guard
-インド市場専用に開発したトラック用ラジアルタイヤ 「Michelin X-Guard」 を発売した。価格志向の強い一般の運送業者や中距離・長距離輸送業者を対象とし、インドにおいて商用車用タイヤの量販市場に参入する。このタイヤの設計には、「Infinicoil」 や 「Regenion」 といった技術が採用されている。同社はまず、2017年から8つの州において数量限定で販売し、その後インド全土に展開する。先端材料や3Dプリンティングを用いて、従来に比べて18%の軽量化を実現した。(2016年10月5日付プレスリリースより)

2016年パリモーターショー出展タイヤ
-2016年パリモーターショーで2種類の新タイヤを発表した。「CrossClimate+」 は、夏季・冬季とも強いパフォーマンスを見せる長寿命タイヤ。「Pilot Sport4S」 は、乾湿両路面で制動距離を改善し、同セグメントの他のタイヤより長寿命を誇る。(2016年9月29日付プレスリリースより)

Michelin Pilot Sports 3 タイヤ、Michelin Acousticテクノロジーを導入
-Mercedes-AMG 「Sクラス」 に採用された 「Michelin Pilot Sports 3」 のフロントタイヤに 「Michelin Acoustic」 テクノロジーを導入。トレッドの内側にスポンジを貼り、タイヤ内に発生する空気の振動音を低減する技術。市販の 「Pilot Sports 3」 には採用されていない同社初採用の技術で、車両の静粛性能の向上に貢献する。(2016年9月7日付日刊自動車新聞より)

Michelin Pilot Sport 4 タイヤ
-欧州で車両3,000台以上にセンサーを搭載し、温度条件や運転習慣などのデータを集めて開発した 「Pilot Sport 4」 タイヤの市場投入を発表した。38百万キロメートル以上の走行情報から、「Pilot Sport 4」 は高級セダンおよびスポーツセダン向けタイヤの新たなベンチマークを目指すとしている。(2016年1月12日付プレスリリースより)

特許

-2016年12月末時点、2,000件以上の特許を保有している。

設備投資費

(単位:百万ユーロ)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
乗用車・小型トラックタイヤ 1,080 1,077 1,034
トラックタイヤ 520 487 511
特殊事業 211 239 338
合計 1,811 1,804 1,883


-2016年12月期の設備投資プロジェクトは以下の通り。

  • 生産能力拡大、生産性向上、乗用車・小型トラック向けタイヤ製品ラインナップの刷新 (メキシコLeon、フランスRoanne、中国瀋陽、セルビアPirot、インドネシア)。
  • 生産能力拡大、生産性向上、乗用車・小型トラック向けタイヤ製品ラインナップの刷新 (ルーマニア、タイ、フランス)。

-2016年は3工場で生産能力を拡大。2020年までに3工場合計の年間生産量は400,000トンに達する見通し。

  • Itatiaia (ブラジル) 乗用車・小型トラックタイヤ
  • Chennai (インド) トラックタイヤ
  • 瀋陽第2工場 (中国) 現地での乗用車・トラックタイヤ生産能力の大幅な拡充

-2016年は、2015年に開始した欧州事業の再編プロジェクトを継続。265百万ユーロを投資し、英国、イタリアで製造設備とサプライチェーンを更新した他、ドイツのPneu Laruent工場を閉鎖した。

-2018年までに主要な乗用車・トラックタイヤ工場の年間生産能力を平均96,000トンに引き上げる見通し。

海外投資

<メキシコ>
-2016年7月、メキシコのグアナフアト州Leonに、乗用車および小型トラック用高性能タイヤの生産工場を建設すると発表した。2018年第4四半期に生産開始となる見込み。Michelin Groupにとっては北米で21番目、世界で69番目の生産拠点となる。新工場の面積は142,000平方メートル。450百万ユーロ (510百万ドル) を投じて、2016年下期に建設を開始する。工場完成後は、まず年間400~500万本を生産し、徐々に生産量を増やしていく。同地域をはじめ北米に拠点を持つ顧客に納入する計画。(2016年7月4日付プレスリリースより)