MICHELIN (Compagnie Generale des Establissements Michelin S.C.A.) 2011年12月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万ユーロ) |
2011年12月期 | 2010年12月期 | 増減率(%) | 要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 20,719 | 17,891 | 15.8 | - |
営業利益 | 1,945 | 1,695 | 14.7 | |
乗用車・小型トラック用タイヤ部門 | ||||
売上高 | 10,780 | 9,790 | 10.1 | 1) |
営業利益 | 1,018 | 1,014 | 0.4 | |
大型トラック用タイヤ | ||||
売上高 | 6,718 | 5,680 | 18.3 | 2) |
営業利益 | 233 | 249 | (6.4) |
要因
1)
-乗用車・小型トラック用タイヤ部門の売上高は、販売量の前年比3.9%増加にともない、同10.1%増の10,780百万ユーロとなった。年間を通じて価格の変動が売上増に寄与し、また、新製品「Pilot Super Sport」、「Primacy HP」、「ALPIN 4」の販売が好調に推移した。
2)
-大型トラック用タイヤ部門の売上高は、前年比18.3%増の6,718百万ユーロ。販売量は価格値上げ前の駆け込み需要により上期に前年同期比15.6%増となり、通期では前年比5.8%増となった。
受注
-同社のスポーツタイヤ「MICHELIN Pilot Super Sport」が、富士重工の「Subaru S206」に新車装着用タイヤとして採用されたと発表。タイヤサイズは、245/35ZR19 (93Y) XL。なお、「MICHELIN Pilot Super Sport」が国内自動車メーカーに採用されるのは今回が初めてとなる。(2011年11月25日付プレスリリースより)-低燃費タイヤの「ミシュランENERGY SAVER(エナジーセイバー)」がホンダの新型車「フィットシャトルハイブリッド」の新車装着用タイヤに採用されたと発表した。安全性と耐久性というタイヤの基本性能と低燃費性能を両立した点が評価された。(2011年6月23日付日刊自動車新聞より)
-乗用車用スポーツタイヤ「Pilot Sport(パイロットスポーツ)3」が独アウディのコンパクトカー「A1」の新車装着用タイヤに採用。(2011年1月14日付日刊自動車新聞より)
合弁事業
-同社は、双銭集団(Double Coin Holdings Ltd)および上海華誼集団(Shanghai Huayi (Group) Company)と、中国に合弁会社を設立することで最終合意したと発表。中国市場向けに、「Warrior」ブランドの乗用車・小型トラック用タイヤの生産および販売を行う。新会社の名称は「双銭集団(安徽)回力輪胎有限公司(Double Coin Group (Anhui) Warrior Tires Co)」。出資比率はMichelinが40%、中国2社が60%。Michelinは、667百万中国元(約75百万ユーロ)を出資する。新会社は、安徽省無為(Wuwei)県に建設中の工場を生産拠点とする予定。新工場への投資額は35億中国元(約390百万ユーロ)で、乗用車・小型トラック用タイヤの年産能力は、15百万本になる見込み。また、同社は2010年後半に、遼寧省の瀋陽(Shenyang)拠点に13.5億米ドルを投資する計画を立ち上げた。これにより、同拠点の生産能力は2倍に拡大する見込み。乗用車・小型トラック用に10百万本、トラック・バス用に1.8百万本の「Michelin」ブランドの低燃費タイヤを生産する。(2011年9月7日付プレスリリースより)売却
-同社100%子会社Compagnie Financiere Michelinがハンコックタイヤの全株式15,195,587株(約9.98%)を売却したと発表。(2011年11月8日付プレスリリースより)開発動向
研究開発費 |
(単位:百万ユーロ) |
2011年12月期 | 2010年12月期 | 2009年12月期 | |
合計 | 592 | 545 | 506 |
研究開発体制
-世界で6,000名がR&Dに携わる。-同社は、フランスClermont-Ferrand近郊のLadoux研究開発センターを全面アップグレードする。また、同社の研究開発チームおよび研究室を集約し、開発能力強化とタイヤ製品化までの期間短縮を目指す。既存の建物を改築するほか、RDI Campus(面積67,000平方メートル)を建設する計画。投資額は1億ユーロ超。2012年春に建設着工する見込み。2017年に完成予定のこの複合施設には3,300名が勤務する。2014年の第1期完了時には約600名が入り、第2期が完了する2016年後半には1,000名が増員される予定。 (2011年1月20日付プレスリリースより)
製品開発
自己修復タイヤ-同社はパンクしたタイヤを自己修復するタイヤを開発し、独・ベルリンで行われた「ミシュラン・チャレンジ・ビバンダム」で初披露したと発表した。今回公開したタイヤはトレッドにできてしまった穴をすぐにふさぐことができる特殊ゴムをタイヤ内部に貼り付けた。これにより、運転中にクギを踏んでしまっても、空気圧が低下しない構造を実現した。新開発のゴムは、車両が長時間駐車したときなどにタイヤ内面底部にゴムが溜まる現象が発生しない。このため、走行時に振動が起こらないほか、燃費に影響する転がり抵抗の性能を落とすことがないとする。ミシュランは今回の新タイヤの開発にあたって15の特許を登録した。(2011年5月27日付日刊自動車新聞より)
設備投資
設備投資費 |
(単位:百万ユーロ) |
2011年12月期 | 2010年12月期 | 2009年12月期 | |
全社 | 1,711 | 1,100 | 672 |
-2011-2015年の期間でブラジル、中国、インドの3つの新工場に設備投資額の1/3を投じる計画。2012年から南米およびアジアの新車生産量は世界の50%を占める。同時期に同社はブラジル、中国、インドにおいて大型の新工場で生産を開始する予定。総投資額は2,750百万ドルで、需要が年に8-10%増加すると予測される今後10-15年にわたり同工場3カ所が世界市場の需要に応えるとしている。