Faurecia 2008年12月期の動向

ハイライト

業績 (単位:百万ユーロ)
2008年
12月期
2007年
12月期
増減率
(%)
要因
全体
売上高 12,010.7 12,660.7 (5.1) -
営業利益 91.2 121.1 (24.7) -
部門別売上
シート部門 5,004.3 5.175.4 (3.3) 1)
内装部門 3,304.7 3,545.8 (6.8) 2)
排気システム部門 2,755.4 2,994.4 (8.0) 3)
フロントエンドモジュール部門 946.3 945.1 (0.2) 4)

要因
シート部門
1)
-シート部門の売上高は2007年に比べ3.3%%減の5,004.3百万ユーロ。為替レートを固定した場合は、2.6%の増。

<欧州>
-シート部門の売上高は3,971.8百万ユーロ。

-2008年上期、主にMini ClubmanやAudi A4の立上げによってBMWおよびVolkswagenグループ向け売上が伸長。これら2社に対するマーケットシェアが拡大。

-フランスの自動車メーカーの売上落ち込みによって上記売上増は一部相殺。主たる要因は、Renault Meganeのプラットフォームが終了。

<北米>
-2008年上期の同社北米事業は好調で、Chevrolet Malibuの販売増などの恩恵を受け28.6%の売上増。

-下期は、Chryslerの販売急落により売上は5.7%減少。

<アジア/南米>
-中国では堅調に売上げを伸ばした(アジア全体は10.9%の伸長)。南米は15.3%の売上増。

2008年新規立上げ
i) 下記モデルにシート一式を供給
-Citroen C5
-Audi A4
-Peugeot 308
-BMW Mini
-新型Renault Meganeプラットフォーム.

ii) 下記メーカーにフロントシートフレームプラットフォームを納入
-日産
-GM
-Volkswagen Group.
*この新型シートフレームは、50以上のモデルに搭載される。

-通年合計で50件以上のシートセットおよびシートフレームプラットフォームの生産立上げを行い、150百万個以上のシート部品およびサブアッセンブリーを納入した。シート機構、フロント・リアフレーム、シートカバー、発泡部品及びヘッドレストなどを組合わせてシートセット5百万を生産。


内装部門
2)
-内装部門の売上高は、為替レートを固定した場合(1.3%の為替差損分を除外する)、前年度比で5.5%の減少で3,304.4百万ユーロ。

<欧州>
-売上高は8.5%減少し2,557.1百万ユーロ。特に第4四半期、売上高は前年度比19.0%減と悪化。下期全体で11.7%の売上減となった。

<北米>
-売上高は、為替レート固定で4.3%増の487.6百万ユーロ。

-北米の売上増4.3%の主な要因は、新型BMW X6、Chevrolet Malibu、Cadillac CTSの新規立上げによるもので、 Chrysler Sebring、PT Cruiserの生産台数減少による不振を一部相殺。

<南米/アジア>
-南米は、為替レート固定で9.1%の売上増。

-中国での内装部門の業績は引き続き好調。Ford FocusやFord Fiestaの新規立上げにより、為替レート固定で2.9%の売上増。

<コクピット、インパネ、ドアモジュール、ドアパネル製品事業>
-この製品事業は6.1%の売上減(前年との同一規準で2.3%の減)。欧州では、フランス自動車メーカーの生産台数減と他の欧州メーカーの業績不調により、前年との同一規準では8.0%の売上減。しかし、北米では4.3%の売上増、アジアの業績は安定。

2008年新規立上げ(コクピット、インパネ、ドアモジュール、ドアパネル製品事業)
この製品事業では下記を含む26件の新規立上げを実施。
i) 欧州でのOpel Insigna、新型Renault Megane、新型Dacia Logan用インストルメントパネル
ii)南米での新型Ford Ka用ドアパネル、Volkswagen Gol用インストルメントパネル 
iii) Ford Fiesta、Ford Focusのグローバルプラットフォームの新規立上げに伴い、アジア、南米、欧州で生産開始。

<アコースティック&ソフトトリム製品事業>
-この製品事業の売上高は前年から17%減少し、240.4百万ユーロ。売上減の要因は、上期にドイツにあるHameln工場とNeckarsulm工場をドイツのStankiewicz社に売却。

2008年新規立上げ(アコースティック&ソフトトリム製品事業)
i) 新型Ford Fiesta、Peugeot 3008用のカーペットおよびアコースティック部品
ii) 新型トヨタAvensis用フロアアコースティック.


排気システム部門
3)
-排気システム部門の売上高は2,755.4百万ユーロで前年度比8.0%の減少、または為替差損のマイナス要因4.3%を除外すると3.7%の減少。触媒コンバーターを除いた場合、売上高は1,279.5百万ユーロ。3.1% の為替マイナス要因を除くと対前年度比6.1%の減少。

-2008年、同部門は全主要自動車メーカーに排気システムフルセットもしくは排気システムの一部を納入。

-2008年、同社の排気システム製品は14百万台に採用。

2008年新規立上げ
i) 欧州で、下記車種向け生産新規立上げ
-Mercedes C-Class
-Mercedes E-Class
-Ford Kuga

ii) BMW 7シリーズの6気筒ディーゼルエンジンバージョン用微粒子フィルター

iii) アジアでは、下記車種向けに生産を立上げた。
-Peugeot 207
-現代 Getz
-起亜 Soul
-東風汽車BF Sedan


外装システム部門
4)
-外装システム部門の売上高は、前年度比0.2%増の946.3百万ユーロ。

-外装システム部門は、「フロントエンドモジュール事業」(フロントエンドモジュールおよびモジュール構造品)と「外装品事業」(バンパー、フロントエンドキャリアー、エンジン冷却システム)で構成。

-2008年フロントエンドモジュール製品事業の業績は上昇基調。特に下半期はAudi向け(特にAudi A4)の売上が大きく伸長した。これによりクライスラー向け32.6%の売上減を相殺。

-フロントエンドモジュール製品事業はロシアのVolkswagenより大口の受注を獲得。

2008年新規立上げ
i) フロントエンドモジュール事業は下記モデル向け生産を立上げ
-Audi A3
-BMW 3シリーズのクーペタイプ

ii) 外装品事業は下記モデル向け生産を立上げ
-新型Renault Kangoo
-新型Dacia Logan、Dacia Sandero
-Peugeot 308のステーションワゴン及びクーペカブリオレタイプ
-Peugeot 407


リストラクチュアリング
-2008年、合理化計画を発表。約30工場と社員5,100名がその対象。

-合理化計画の主な対象地域は下記のとおり。
1) 西欧(特にフランス、スペイン、ドイツ)
2) 中欧(競争力不足の2工場が既に閉鎖されたチェコやスロバキアなど) 
3) 米国(すでに2工場閉鎖)

-2008年シート部門は欧州で6工場を閉鎖・売却。

開発動向

研究開発費 (単位:百万ユーロ)
2008年12月期 2007年12月期 2006年12月期

合計

613.0 613.1 630.5


研究開発体制
-3,500名のエンジニア・技術者が在籍。R&Dならびに設計開発センターは28箇所。

-総研究開発費は 前年とほぼ同様の金額の613.0百万ユーロ。対売上比では前年の4.8%から5.1%に上昇した。


研究開発拠点
-フランスのFlersにシート関連製品のグローバル開発センターを設立する大規模な設備投資計画に着手。同センターは地元の政府機関から支援を受ける。

-排気システム部門では、自動車産業の将来の技術開発を専門とするフランスのBavans研究開発センターを拡張した。


研究開発活動
側突プリクラッシュセンサーおよび乗員保護システム
-2008年3月、側面衝突事故での乗員保護に焦点をあてた先進的システムの開発を目的とするプロジェクト開始を発表。この共同プロジェクト(プロジェクト名「APROSYS」)には、同社、Daimler、Continentalといった自動車メーカー、サプライヤーに加え、Fraunhofer Gesellschaft、CIDAUT Foundation、TNO Science and Industry、ワルシャワ大学、リスボン大学といった欧州の企業、団体、機関が参画。同プロジェクトでの焦点は、車体に組み込む側突プリクラッシュセンサーおよびセンサー連動の乗員保護システムの開発。(2008年3月13日付プレスリリースより)

B-Fixx
-金属とプラスチックの新複合材を用いて成型を行なうことができるB-Fixx技術は、部品の重量を軽減するとともに、車両前部のモジュール部分を拡大し、エネルギー吸収の必要条件を満たすことができる。この先進技術はすでにRenault Kangooのフロントエンドキャリアに採用されている。

設備投資

セグメント別設備投資額 (単位:百万ユーロ)
2008年12月期 2007年12月期 2006年12月期
内装モジュール 253.7 249.6 234.3
その他モジュール 63.1 45.5 69.2
持株会社 11.9 11.7 2.7
合計 328.7 306.8 306.2


国・地域別設備投資額 (単位:百万ユーロ)
2008年12月期 2007年12月期 2006年12月期
フランス 102.9 113.8 88
ドイツ 15.7 15.3 13.2
その他欧州諸国 97.3 96.8 113.6
北米 32.0 26.4 61.9
南米 32.4 29.1 11.2
アジア 39.5 19.4 16.1
その他 10.4 6.0 2.2
合計 330.2 306.8 306.2


海外投資
排気システム部門
<チェコ>
-2008年5月、2009年第1四半期を目処に排気システムに特化した新工場をチェコのKarvinaに開設、300名を雇用すると発表。さらに、排気システム、内装システム、およびシートフレームを生産するPisek工場の生産能力を拡充。これにともない、2009年末までに、現在1,000名余りの従業員数を700名増員。シートカバーの製造を手掛けるLecotex部門については、Tabor工場、Pocatky工場ともに閉鎖することを決定。(2008年5月6日付プレスリリースより)

<中国>
-2008年、排気システムの開発、製造、販売を行うFaurecia (WUHU) Exhaust Systemsを設立。

<タイ>
-2008年、Faurecia Exhaust System Rayongを設立。

<メキシコ>
-排気システム部門は、顧客による海外進出にあわせてメキシコSilao市に工場を設立。GM、Chrysler、現代向けに排気システムを納入する。

シート部門
<モロッコ>
-2008年3月、モロッコのKenitraに自動車用シートのトリムカバーを生産する新会社を設立すると発表。投資額は10百万ユーロ。新会社「Faurecia Equipements Automobiles Maroc」は、ルノー・日産およびVolkswagenグループの欧州拠点に製品を供給する。27,000平方メートルの敷地に建屋面積8,300平方メートルのシートカバー縫製工場が完成する予定。(2008年3月17日付プレスリリースより) 

<メキシコ>
-シート用部品工場をメキシコに設立。

内装部門
<韓国、アルゼンチン、南アフリカ>
-2008年、内装部門は韓国に1つ、アルゼンチンに1つの生産拠点を設立。また南アフリカPretoria市で工場を取得。