Grupo Antolin-Irausa, S.A. 2018年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)

2018年12月期 2017年12月期 増減率(%) 要因
売上高 5,424.6 5,391.4 0.6 1)
EBITDA 355.9 465.7 (23.6) 2)
事業別売上
オーバーヘッド・ソフトトリム 2,060.5 2,128.4 (3.2) 3)
ドア・ハードトリム 1,886.5 1,828.3 3.2 4)
コックピット・コンソール 1,125.5 1,107.8 1.6 5)
ライティング 349.1 324.5 7.6 6)



要因
1) 売上高
-2018年12月期の売上高は、前年比0.6%増の5,424.6百万ユーロ。売上増の主な理由は、北米およびアジア太平洋での売上の伸び(北米7.6%増、アジア太平洋20.9%増)。特にドア、コックピット・コンソール事業が好調だった。

-欧州は地域別売上で唯一マイナス成長(7.3%減)となった。主な要因はWLTP排出基準の影響を受けたドイツの販売とDaimlerのプロジェクトに関連したRastatt向上の縮小、英国の継続的な販売不振によるもの。米ドルおよびメキシコペソによる為替差損の影響により、合わせて101.9百万ユーロの減収となった。

2) EBITDA
-2018年12月期のEBITDAは前年比23.6%減の355.9百万ユーロ。収入減は欧州での売上縮小に加え、欧州・米国での新規施設開設に関わるコスト発生のほか、為替差損も影響。

3) オーバーヘッド・ソフトトリム(Overheads & Soft Trim)
-2018年12月期の同事業の売上高は前年比3.2%減の2,060.5百万ユーロ。欧州や北米での販売減が原因。純売上高減少の主な要因は、Rastatt工場の計画閉鎖とドイツ拠点および、英国拠点、ミシガン州の拠点の業績不振によるもの。この売上減は、オーストリア、チェコ、スロバキア拠点での売上増により一部相殺。

4) ドア・ハードトリム (Doors & Hard Trim)
-2018年12月期の同事業の売上高は前年比3.2%増の1,886.5百万ユーロ。純売上高増加の主な要因は、Shelby工場でのDodge「RAM」向けの生産および、Toluca工場での「Journey」向けの継続的な成功などのNAFTA市場での好調な発展や、成都工場の順調な立ち上げによるもの。これらの売上増により、英国拠点での売上減を補完。

5) コックピット・コンソール (Cockpiits & Consoles)
-2018年12月期の同事業の売上高は前年比1.6%増の1,125.5百万ユーロ。売上増の主な要因は、中国の成都工場の好調な立ち上げによる。また、天津工場および米国のHowell工場の売上により、Redditch工場とNashville工場の業績不振を補完。

6) ライティング (Lighting)
-2018年12月期の同事業の売上高は、前年比7.6%増加の349.1百万ユーロ。売上増はBamberg工場と広州工場の売上伸長によるもの。

 

事業動向

自動車の内装用装飾部品の開発に向け、スペイン企業Walter Packと戦略的提携を締結したと発表した。提携の一環として、Grupo Antolinは、高品質な内装用表面材・部品を設計・生産するWalter Pack40%の株式を取得した。両社は、Walter Packの装飾部品とGrupo Antolinのコンポーネントを統合し、新たなインテリア用照明ソリューションの提供を目指す。また、両社の将来の成長戦略の柱である研究開発や、自動車の内装部品に付加価値を与える技術開発についても協力するという。Walter Packは、スペインのバスク州Igorreを本拠に、大手自動車メーカーやTier-1サプライヤーに部品を供給している。従業員数350人以上で、売上高は37百万ユーロ超。(2018123日付 プレスリリースより)

 

買収

ー20188月にドイツに拠点を置く樹脂射出成形メーカーHaselbeckを買収したと発表した。買収により、Grupo Antolinは金型事業の強化を図る。Haselbeckの従業員数は100名超で、Deggendorfに生産拠点を置き、自動車産業からエレクトロニクスまで45年にわたって樹脂加工業界に金型の設計、開発、生産のための幅広い製品ポートフォリオと技術ソリューションを供給している。(2018912日付プレスリリースより)

研究開発費

 (単位:百万ユーロ)
  2018年12月期 2017年12月期 2016年12月期
プロジェクトに投じた費用 123.2 118.9 113.0
売上に占める割合 (%) 2.0 2.4 2.2



研究開発施設

-2018年12月末現在、25の技術事業所を保有。

研究開発体制

-2018年12月末現在、1,700名が研究開発に従事。

研究開発活動

-2018年12月期、429のプロジェクトを実行中。そのうち112のプロジェクトについては新規となる。また80車種の新型車に製品を納入しており、2018年のベストセラー10車種のうち、9車種が同社製品を使用。

-IZB国際サプライヤーフェアにて、最新の車内インテリアソリューションを出展。これらのソリューションは、自動運転、電動化、カーシェア、コネクテッドカーなどの自動車産業における技術革新に対処するために設計された同社のスマート・インテグレーター戦略の1つとなる。機能が集約され、容量性スイッチを備えた装飾パーツ用の照明システムは、スマートサーフェイスに置き換えられた。個別調整が可能なマルチLEDの読書灯は、光のスポットサイズや、位置のほか、色相や明度を調整できる。インストルメントパネル用の二層のスラッシュスキンは量産型の小型材料と比較して40%の軽量化となった。

特許

-2014年1月1日から2018年12月31日までに、214件の特許を取得(内、168件が現在有効)。

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2018年12月期 2017年12月期 2016年12月期
全社 320.4 333.4 285.2


-2018年12月期の主な資産投資は、米国Shelby工場とAlabama工場、中国の天津工場の完成や、ポーランド、中国、米国の既存拠点の拡張など。

-2018年12月期の無形資産の投資は、主にAudi、BMW、SEAT、Chrysler、FCA向けなどの新プロジェクトの開発費用。

 

-2018年に前年比8%増となる360百万ユーロの投資を行うと発表した。2年連続で300百万ユーロ超えの投資となり、2017年~2019年は総額900百万ユーロの投資を行う計画。同社は米国市場での事業強化に注力しており、2018年初めにミシガン州Shelby工場の操業を開始し、現在はアラバマ州にMercedesおよびホンダ向け製品を製造する新工場を建設中。(2018年4月16日付プレスリリースより)

 

<中国>
-中国広州に照明部品工場の新設を発表した。旧広州工場から移築する新工場の従業員数は約700名で、2018年中に35百万個の照明部品を製造する計画。工場新設により、同社は中国市場での照明事業を強化するとしている。(2018年11月26日付プレスリリースより)

-中国瀋陽に新工場を開設したと発表した。新工場は最新技術を備えて200名の従業員を雇用し、主にBMW向けヘッドライナーを毎日4,000個製造する。同社は2017年から2019年にかけて900百万ユーロを投資する計画の一環として中国での事業強化を図っており、2018年第1四半期にDonghuanと共同でウィンドレギュレーターを製造する合弁会社を設立している。また成都の新工場では、Volvo向けドアパネルの生産を開始した。(2018年9月4日付プレスリリースより)

 

<米国>
-米ミシガン州Shelbyに新工場を開設したと発表した。広さ368,000平方フィートの新施設では、ハイテク設備を導入してFCAのRamトラック向けにドアパネルとオーバーヘッドシステムを製造する。高い生産性と製品品質、安全性と環境性能に注力した新施設への投資額は70百万ドル超で、従業員数は800名を超える。新工場の開設は同社の米国市場における産業統合へ向けた新たなステップとしてとらえている。米国では1994年にシカゴに初の生産施設を設立し、現在は15カ所の生産拠点に5,700名の従業員が従事している。(2018年6月20日付プレスリリースより)

 

<Antolin Shelby>
-同社傘下のAntolin Shelbyは、ミシガン州の工場拡張について承認を受けたと発表した。Dodgeのトラックの需要増を受けて、ミシガン州Shelby Townshipの内装部品工場で210名を追加雇用する。ミシガン州は2017年の360万ドルの助成金に続き、同社に対して180万ドルの助成金を拠出する。6,120万ドルを投じて建設されたShelby Township工場は広さ350,000平方フィート、現在の従業員数は430名。同社は工場拡張に伴い250万ドルを追加で投資する。(2018年2月27日付 Michigan Economic Developmentのリリースより)