Mahle GmbH 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2016年
12期
2015年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 12,321.8 11,486.1 7.3 1)
純利益 63.0 122.4 (48.5) -
部門別売上高
エンジンシステム・部品 2,683.4 2,698.1 (0.5) 2)
フィルター・エンジン周辺機器 2,190.5 2,196.0 (0.2) 3)
サーマルマネジメント 4,293.3 3,761.2 14.1 4)


要因
1) 全社売上高
-2016年12月期の全社売上高は前年比7.3%増加の12,321.8百万ユーロで、同社として過去最高を記録。主な増収要因として、Delphiのサーマルシステム事業及び国産電機買収等による効果が529百万ユーロ、一方為替の悪影響により104百万ユーロ減、同社全体としては3.4%の成長。

2) エンジンシステム・部品
-2016年12月期のエンジンシステム・部品事業の売上高は前年比0.5%減の2,683.1百万ユーロで為替の影響を除くとほぼ横ばいであった。中国及び米国での生産立ち上げや欧州での生産能力増強により、アッセンブルドカムシャフトの事業が大きく寄与。また、乗用車・商用車向けのバルブ及びパワーセルユニットも堅調。
一方、シリンダーライナー、ベアリング、大型車向けスチールピストンは微減した。


3) フィルター・エンジン周辺機器
-2016年12月期のフィルター・エンジン周辺機器事業の売上高は前年比0.2%減少の2,190.5百万ユーロ。同部門内で最も売上に寄与したのはエアインテークモジュールとオイルフィルターモジュール。また、成長性ではシリンダーヘッドカバー、オイルポンプ、オイルクーラーが顕著。メキシコのSanta Catarina向上は3拠点あったものを1つに統合。ルーマニアのTimisoara工場では能力を増強した。

4) サーマルマネジメント
-2016年12月期のサーマルマネジメントの売上高は14.1%増加の4,293.3百万ユーロ。主な増収要因は、2015年のDelphiのサーマル事業部門を買収したことによるもの。この買収を除いても事業体としては約6%の成長を達成。
Delphiのサーマル事業の統合が最優先課題であり、米国やブラジル、インドでは拠点統合やプロジェクト移管を実施した。

企業買収

-2016年12月自動車部品の電子・電動部品のスペインの会社ナガレス(Nagares S.A)の買収契約に調印。
Nagares社は、電動部品やサーマルマネジメントシステムのコントロールユニットやパワーエレクトロニクス、ならびにe-Mobility製品向けのパワーコンバーターも製造。従業員数は435名で、2015年の売上高は70百万ユーロ。スペイン国内に4つの工場及び開発拠点を一か所保有している。

開発契約

イラン・ホドロ(IKCO)と低エミッション・低燃費の3気筒ターボエンジンの設計開発で提携。

  • 将来の新型モデル用に4種類のパワートレインを共同設計・開発する。開発するエンジンの出力は120-160hp、トルクは285Nm、「ユーロ6(Euro6)」に対応し、燃費は4L/100kmになるという。
  • 提携契約に係わる総額は約1億2,500万ユーロ。提携契約には技術移転が含まれており、2番目のパワートレイン以降の設計と生産はIKCOが担う予定。設計には30-33カ月の設計期間を要し、試験生産を経た後、年産35万基規模で生産する計画。(2016年8月3日付IKCOリリースより)

主な受賞

-Volvoより2016年”革新と燃料効率”の分野でVolvo Group Purchasing Supplier Award」を受賞
パワーセルユニット用の単溶接スチールピストンが評価された。
-米国のMAHLE Behr Charleston Inc がFord Q1 を受賞
-ブラジルのMAHLE Metal Leve S.A.がPSAからLATAMを受賞。 
-韓国MAHLE Donghyun Filter Systems Co., Ltd.のUlsan工場とHwasung工場でGM Supplier Quality Excellence Awardを受賞
-トルコのMAHLE Izmir A.S.が、スチールピストンの生産立ち上げが評価されRenault NissanのSupplier Achievement Awardを受賞

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
全社 753 657 552 336


-2016年12月期、全社売上高の約6.1%にあたる753百万ユーロを研究開発費に投資した。

研究開発体制

-2016年末時点、世界で約5,996名が研究開発に従事、世界で15カ所の研究開発センターと12カ所のコンピテンスセンターを配備。
-Mahle Powertrainは、米国ミシガン州のPlymouthに新たに北米本社を開設すると発表。16百万ドルの拡張計画の一環で、エンジン開発を行う。今回、Mahle Powertrainは、同州Farmington Hillsにある既存の本社をPlymouthの45,000平方フィートの新本社に移転する。新本社は2016年11月に開設される予定。四輪駆動用のシャシダイナモメーター、車両用リフト、パワートレイン試験室、配線・計装の実験室などを備える。(2016年8月16日付プレスリリースより)
-7月、MAHLE Powertrainは英国NorthamptonにVEC(Vehicle Engineering Center)を開設。

製品開発

世界初のR744空調システム
-2017年以降、すべてのEU内の新規登録車両はGWP(地球温暖化係数)150以下の冷媒使用が義務づけられており、
同社はR744を使用する空調システムを開発。R744の仕様は、現在の冷媒に比べてより特殊な技術的解決が要求される。(例:最大130バールの高い圧力に耐えうるような設計等)

小型化圧縮天然ガス (CNG-exclusive) エンジン
-CNG駆動用の小型エンジン能力を研究。そのエンジンは13.1の圧縮比で200g/kWh以下の天然ガス消費率を特徴としている。VTG排気ガスターボチャージャーとストップ・スタート機能を統合しCO2排気を31%まで削減できる。これは従来のガソリンエンジン設計をベースとしたCNGエンジンと比較してもCO2を24%改善。

商用車用制御式ペンデュラムスライドセルオイルポンプ
-オンデマンドの油圧と流量を生みパワーを最小限にする。この使用により従来の標準的なオイルポンプに比べ燃料を1.5%節約できる。すでに欧州・米国の乗用車、商用車メーカーから受注している。

特許

-2016年に350件の特許を申請した。

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
部門 2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
全社 563 564 488


-2016年12月期、同社の欧州における設備投資額は約265百万ユーロで、全体の47%を占めた。欧州における投資は主にポーランド、チェコ、ルーマニア等東欧での工場拡張に集中した。

-北米向け投資額は約141百万ユーロで全体の25%。内訳はメキシコ拠点の拡張、前年度に買収した米国拠点の統合等。

-アジア太平洋地域への投資は約118百万ユーロで全体の21%だった。内訳は、中国Changsu工場の設立、日本のメカトロニクス関連工場の改修 等。