Rheinmetall Automotive AG (旧 KSPG AG) 2018年12月期の動向
業績 |
(単位:百万ユーロ) |
2018年12月期 | 2017年12月期 | 増減率 (%) | 要因 | |
Rheinmetall Automotive | ||||
売上高 | 2,930 | 2,861 | 2.4 | |
営業利益 | 262 | 249 | 5.2 | |
部門別売上高 | ||||
Mechatronics部門 | 1,664 | 1,621 | 2.7 | 1) |
Hardparts部門 | 989 | 968 | 2.2 | 2) |
要因
1) Mechatronics部門
-同部門の2018年12月期の売上高は前年比2.7%増の1,664百万ユーロ。OEMによる燃費向上および排気ガス削減ニーズによる需要増に加え、商用車向けが好調だったことが前年比増につながった。
2) Hardparts部門
-同部門は大径ピストン、トラックおよびオフロード車用ピストン事業の好調により前年比2.2%の伸びを記録した。
受注
ー2018年12月、KS Kolbenschmidtは、中国のライセンシーであるZNKSを通じて、中国排気ガス基準 5および6に対応するよう設計された最新のピストンを生産すると発表した。ZNKSは孟州市に工場を建設しており、KS Kolbenschmidtは機械加工、摩擦溶接、仕上げ加工の分野で最新技術を提供する。同工場では中国エンジンメーカーや商用車メーカーなどからすでに受注しており、2018年12月には量産を開始し、2019年第1四半期にさらなる生産を計画している。また、中国からの需要増に対応するため、KS Kolbenschmidtは欧州で製造するスチールピストンを早急に中国へ輸出する予定だという。(2018年12月10日付プレスリリースより)
-2018年11月、中国自動車メーカーからクーラントバルブの受注を獲得したと発表。受注額は25百万ユーロ規模で、グループ傘下のPierburgが2019~2020年に生産を開始し、SUVなどの複数モデルに搭載予定。2ウェイクーラントバルブは1.0Lおよび1.5Lターボエンジン搭載のインテリアヒーターに、3ウェイバルブは電気自動車 (EV)バッテリーの温度制御に装備される。これらのバルブは、中国および米国市場向けに中国の昆山工場で製造される。(2018年11月6日付プレスリリースより)
-2018年10月、Pierburg Pump Technologyが電子ポンプ「CWA 400」の大規模受注を獲得したと発表。受注総額は総額215百万ユーロ規模で、既存の契約延長と新エンジンプロジェクトの立ち上げが含まれているという。電子クーラントポンプの生産は、独Saxony州Hartha工場で行われる。このポンプは、欧州および中国市場向けモデルの2.0L 4気筒エンジンの冷却回路に使用される。可変流量電子クーラントポンプは、冷却液流量のオンデマンド制御を可能にし、周囲温度とエンジン負荷に応じて最大4%の燃料節約を実現するとしている。このポンプは48V電動システムでも使用できるという。(2018年10月30日付プレスリリースより)
-2018年4月、総額200百万ユーロ規模の受注を獲得したと発表。Rheinmetallは2018年から、提携パートナーのリケンが製造するピストンリングを使用した6気筒ガソリンエンジン向けピストンの生産を開始する。また、6気筒ディーゼルエンジン向けピストンは、2019年からチェコのUsti nad Labem工場で生産開始予定。これらの受注額は110百万ユーロ超。また中国の合弁企業KSHPは、2019年から30百万ユーロ超の3気筒ガソリンエンジン向けピストンの生産を計画。グループ傘下のKS Gleitlagerは、2020年に4気筒ディーゼルエンジン向けコネクティングロッドベアリングや、スラストワッシャーの供給を予定。そのほかPierburgはLower Rhine 工場で総額7百万ユーロの6気筒ガソリンエンジン向けディバートエアバルブを、Pierburg Mikuni Pump Technologyは5百万ユーロ超の再循環ウォーターポンプの量産を開始する。(2018年4月25日付プレスリリースより)
-2018年3月、KS Kolbenschmidtが、大手自動車メーカーと中国主要メーカーとの合弁会社に最新ピストン「Liteks-4」を供給すると発表。「Liteks-4」の受注は初めてで、受注総額は47百万ユーロ以上となる見通し。1.5L 4気筒の新型エンジン向けのピストンは、Rheinmetallグループの中国JV、Kolbenschmidt Huayu Piston (KSHP) の中国・重慶にあるピストン工場で2021年秋から生産する。ピストンリングはKolbenschmidtと提携するリケンが提供し、組み立て後、OEMに出荷する。ピストンリングは、中国・武漢にあるKolbenschmidtとリケンの合弁会社で生産する予定。 (2018年3月22日付プレスリリースより)
-2018年1月、PierburgのクーラントポンプがKarma Automotiveの米国、カナダ市場向けPHEV「Revero」に採用されたと発表した。50Wの「CWA 50」と100Wの「CWA 100」の2バージョンを供給する。ドイツのHartha工場で生産されるこのクーラントポンプは、ターボチャージャーから内燃エンジンのクーラント回路へ送り込む空気の冷却に使用される。またハイブリッド車およびEVでは、電動ドライブライン、バッテリー、DC-DCコンバーター、パワーエレクトロニクス部品などの温度制御の役割も担うという。(2018年1月30日付プレスリリースより)
研究開発費 |
(単位:百万ユーロ) |
2018年12月期 | 2017年12月期 | 2016年12月期 | |
合計 | 193 | 151 | 142 |
研究開発活動
-グループ傘下のKS Gleitlagerが商用車エンジンのクランクシャフト向けポリマーベアリングを開発したと発表。新型ポリマーベアリング「R53L1」は、ポリマー層の内側にスチールアルミ材「R53」を使用することで耐塵性の向上と混合摩擦係数低減を実現するという。(2018年12月14日付プレスリリースより)
製品開発
ーPierburgがコンパクトな冷媒システム(サーモモジュール)を開発したと発表。このシステムは従来の商用車メーカーに加えて、新興施設などにも対応し、ドライブラインの電動化を容易にするとしている。サーモモジュールはヒートポンプやソレノイドバルブなどで構成されており、車両全体の熱管理ユニットとして、水とグリコールの冷却回路を介してバッテリーとパワーエレクトロニクスの正確な温度制御を行う。さらにこのモジュールは、電気モーターを含む電気駆動系部品の内部空調および温度制御も行うという。(2018年12月3日付プレスリリースより)
ーKS Kolbenschmidtが、商用車向けに新たな、鉛フリーの環境に優しい滑り軸受を開発したと発表した。新シリーズ「KS P240」「KS P241」「KS P242」「KS P243」は、回転振動や高静/動荷重といった条件下での摩擦・摩耗特性に優れ、保守の必要もないという。KS Gleitlagerの滑り軸受胴やブシュは、あらゆる種類の商用車に対応し、コネクティングロッドやクランクシャフトベアリングなどのエンジン内外や、シャシー、メカニカルリンケージ、コンプレッサー、油圧部品に使用できる。同社の「Permaglide」ベアリングは、商用車のシステムに使用された場合、特にその優れたコスト効率や信頼性、耐久性を発揮するとしている。(2018年11月28日付 プレスリリースより)
ーPierburgが新型背圧バルブの量産を開始したと発表した。Pierburgは背圧バルブの使用に対応するため、モジュラーシステムの体系的拡張を行った。継続的に上昇する技術的要求を考慮して、最新製品はアクチュエーターおよび隣接する部品を過熱から保護するための二重壁溶接ハウジングを有し、それにより断熱のための高価なオプション費用を最小限に抑えることができるとしている。このバルブは、低コストのシステムを形成するように組み合わせることができ、SCRおよびDPF再生のための排ガス再循環(EGR)や熱管理をアシストする。そのほか、主要ブレーキシステムの摩耗低減のためのエンジンアシストブレーキや、オートマチックトランスミッションのギアシフトアシストとしても機能するという。(2018年11月20日付プレスリリースより)
ーPierburgが、必要に応じてピストンのオイル冷却を停止させるソレノイドバルブを開発したと発表した。すでに量産を開始しているという。ピストンの冷却には、エンジンのオイルポンプのノズルからピストン内部の冷却通路にオイルを噴射するのが一般的だが、新たなソレノイドバルブは、ノズルへのオイルの流れを遮断し、ピストン冷却をオフにする。既存のバルブをベースに開発されたこの新製品は、小型・軽量で様々なタイプのオイルポンプに対応。エンジンブロックのオイルフィルター・モジュールハウジングにも搭載可能という。(2018年4月5日付プレスリリースより)
ーPierburgが二次空気ブロアーを開発し、スピードコントローラーとセットで供給すると発表した。より広範なエンジンマップでの二次空気噴射が可能になり、コンバーターの加熱促進に必要な大量の空気を排気システムに的確に噴出。二次エアポンプを通して、触媒コンバーターの加熱を促進だけでなく、電気エネルギー消費と排出ガスも削減。EU「6.2」や米国の「極超低公害車(SULEV)」、中国の「国6」といった排ガス基準達成に貢献するとしている。(2018年3月13日付 プレスリリースより)
ーPierburgは、新開発のウェストゲート・アクチュエーターを発表した。このウェストゲート・アクチュエーターは、タービンハウジングの直上のウェストゲートバルブを直接駆動する。クーラントの効率的な温度制御により、あらゆる動作条件でのアクチュエーターの過熱を防ぐという。また、12V DCモーターは、モーターとアクチュエーターとの間の低いギア比と高いトルク作動を利用して、モーター負荷を低減する。新製品量産にあたり、システム認証のために500時間を超える試験と試作が行われた。(2018年3月6日付プレスリリースより)
ーPierburgのモジュラーシステム用インラインバルブの投入を発表した。このバルブは、入力ラインと出力ラインの間の通常の軸変位をカットするコンパクトな設計が特徴。アクチュエーターがクーラントパイプの外側にスペースを必要とせず、車内のパッケージがよりコンパクトになるという。ポンプの高い流量と低圧ロスにより消費電力を削減し、従来と比較して30%超の軽量化を実現している。(2018年2月27日付プレスリリースより)
設備投資額 |
(単位:百万ユーロ) |
Rheinmetall Automotive | 2018年12月期 | 2017年12月期 | 2016年12月期 |
合計 | 161 | 154 | 149 |
海外投資
-華域汽車系統 (HASCO)との合弁会社が中国安徽省広徳県に生産拠点を新設したと発表。広さ16,000平方メートルのHASCO KSPG (Guangde) Nonferrous Componentsの新拠点ではアルミシリンダーヘッドなどを製造し、2018年末までに450名の雇用を見込む。また低圧鋳造技術を初採用し、電気自動車(EV)用電動ハウジングも生産する予定。新工場では当初560百万元の売上を見込んでおり、今後5年間でシリンダーヘッド生産を倍増する計画だという。(2018年12月18日付プレスリリースより)