Rheinmetall Automotive AG (旧 KSPG AG) 2015年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2015年
12月期
2014年
12月期
増減率 (%) 要因
Rheinmetall Automotive
売上高 2,592 2,448 5.9 1)
営業利益 216 184 17.4 -
部門別売上高
Mechatronics部門 1,450 1,322 9.7 2)
Hardparts部門 952 934 1.9 3)



要因
1) 全社売上高
-2015年12月期の全社売上高は前年比5.9%増の2,592百万ユーロ。為替差益を除くと伸びは約4%で、自動車産業全体の伸び率を上回った。

2) Mechatronics部門
-同部門の2015年12月期の売上高は前年比9.7%増の1,450百万ユーロ。自動車メーカーからのCO2および排ガス削減ソリューションに対する需要が高まったことが好調の原因。自動車排気システム事業において、排気ガスフラップ、転換エアバルブ、空気圧コンバーターすべてが売上増だった。一方でラジエーターモジュールの売上は前年と比べて減少した。

-CO2排出削減の必要性から、可変オイルポンプと電気式水循環用ポンプ、電動ウォーターポンプが前年と比較して大幅に販売増となった。

3) Hardparts部門
-同部門の2015年12月期売上高は前年比1.9%増の952百万ユーロ。小径ピストンはブラジル市場と商用車およびオフロード車市場の低調により、減収となった。大径ピストンは、中国で新たに生産会社が立ち上がったこともあり、増収となった。ベアリング事業は最終的に前年と同水準の売上となった。

合弁事業

-2015年4月、華域汽車系統股份有限公司と同社の折半出資合弁会社 「上海皮尓博格有色零部件有限公司 [Kolbenschmidt Pierburg Shanghai Nonferrous Components Co., Ltd.]」 と 「上海乾通汽車附件有限公司 [Shanghai Cosmopolitan Automobile Accessory Co., Ltd.]」 は、ダイカスト業務部門統合の契約調印式を行ったと発表した。(2015年4月22日付けプレスリリースより)

業務提携

-2015年4月、同社傘下のKS Kolbenschmidtとリケンは、パワーシリンダーシステムの販売・エンジニアリング・開発に関するグローバルな戦略的提携に合意したと発表した。両社はパートナーシップを中国に拡大し、リケンが湖北省武漢 (Wuhan) に所有する既存工場を活用して、ピストンリングの合弁会社を設立することに基本合意した。さらに、必要な地域で両社の販売・エンジニアリング・技術サポー ト機能を統合し、共通のグローバルOEMの顧客基盤に向けて、最適なパワーシリンダーシステムを提供していく。(2015年4月27日付プレスリリースよ り)

受注

-2015年12月、大手商用車メーカーより最新世代のスチールピストンASSYを追加受注したと発表した。契約期間は2019年まで、受注総額は150百万ユー ロ。2017年第1四半期に量産を開始する予定。今回の契約では、ピストン、ピストンピン、リテーニングリング、ピストンリング、シリンダー (ライナー) から成るピストンASSYが対象となる。この部品は、排出ガス基準 「Euro 6」 に準拠する13Lおよび11Lの商用車用エンジンに採用される。これらのエンジンを搭載した車両は、欧州・NAFTA市場で販売される予定。地産地消の方針に基づき、商用車メーカーの欧州拠点向けにはドイツのNeckarsulm工場、北米拠点向けにはメキシコのKolbenschmidt de MexicoにおいてピストンASSYの生産を行う。(2015年12月1日付プレスリリースより)

-2015年11月、欧州・米国・日本の自動車メーカーより、可変オイルポンプの受注を複数獲得したと発表した。受注総額は245百万ユーロ。KSPG傘下のPierburg が受注した契約は、2015年中に開始される予定。今後3年間で、さらに複数の契約に向けた生産を開始する見込み。これらのポンプの生産は、フランス、イ タリア、メキシコにあるPierburgの拠点で行われる予定。(2015年11月20日付プレスリリースより)

-2015年9月、大手自動車メーカー2社から排気コントロール部品の大口受注を獲得したと発表した。メカトロニクス部門のPierburgが受注したもので、契約期間全体における売上総額は300百万ユーロを超える見込み。今回、欧州自動車メーカーからは排ガスフラップ、米国自動車メーカーからはEGRモジュールを受注し た。排ガスフラップは、2017年にチェコのPierburg s.r.o.で生産開始となる予定。EGRモジュールの生産も2017年に開始予定で、インドのKSPG Automotive Indiaで行う。プロジェクト期間は2件とも2022年までとなる。(2015年9月8日付プレスリリースより)

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
Rheinmetall Automotive 2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
合計 167 149 145


-将来にわたって継続する開発活動として、内燃機関の最適化製品に注力する。一方で燃料消費量と排出量の規制強化に伴い、部品の軽量化やハイブリッド車および電気自動車向け部品の開発にも力を注いでいる。

-2015年IAAフランクフルトモーターショーにおいて、同社はEUによる排ガス規制の要件を満たすため、“Road to 95” キャンペーンの一環として部品最適化に関するプレゼンテーションを行い、同社製品の使用によって最大13%の燃料節約が達成できることを証明した。

研究開発人員

Rheinmetall Automotive 2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
合計 1,035 988 992



製品開発

電子制御スロットルボディ
-2015年6月、新型の電子制御スロットルボディを発表した。この製品はドライバーの要求に基づき、随時トルクを調整し、アイドリング回転数を調整できるという。このスロットルのアクチュエーターは従来型のディーゼルエンジンとガソリンエンジンの吸気マネジメントに用いることができる。また、EGRバルブの駆動など排気ガス再処理分野に用いることもできるとしている。(2015年6月15日付け各種リリースより)

48Vシステム用冷却ポンプ
-2015年IAAフランクフルトモーターショーにおいて、48ボルトシステム用新型冷却ポンプを発表した。この新型ポンプは同社の製品開発が単に需要の増加によるものではなく、ハイブリッド車や電気自動車に適した部品ニーズに対応する方針を示している。

タンデムポンプモジュール
-エンジン構造を簡素化するため、多くの企業は異なるポンプ機能を組み合わせた部品への関心が高まっている。同社は真空ポンプと可変オイルポンプを組み合わせたタンデムポンプモジュールを設計。このポンプは2015年、NAFTA地域で大口の契約を取り付けた。

電動ターボチャージャー
-ターボチャージャー付きガソリンエンジンのグローバルトレンドに沿って、同社は電動ターボチャージャーの開発に着手した。

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
Rheinmetall Automotive 2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
合計 167 158 142


Mechatronics部門
-Mechatronics部門の2015年設備投資額は81百万ユーロで、前年よりも8百万ユーロの減額となった。大部分は新規顧客プロジェクトのための生産能力拡大への投資であった。これには排ガス再循環バルブ、排ガスフラップ、可変オイルポンプ、および電動ウォーターポンプの生産などが含まれている。

工場 投資内容
Nova Odessa, ブラジル フロントカバー製造施設および設備
Abadiano, スペイン 排ガス再循環モジュールの製造施設および設備
Neuss, ドイツ 排ガス再循環モジュールの製造施設および設備
Livorno, イタリア 可変オイルポンプの製造施設および設備
Fountain Inn, SC, 米国 排ガス再循環システムの製造施設および設備


Hardparts部門
-Hardparts部門の2015年設備投資額は72百万ユーロ。同社はスチールピストンの生産能力拡大に注力し、チェコと米国で施設の拡張を行った。このほか、再編や現地化のプログラムに投資。

工場 投資内容
Ustí, チェコ アルミ小径ピストンの製造工場と生産ラインの拡張
Celaya, メキシコ 小径ピストンの生産ライン
Supa, インド 主要材料の生産用施設の新設
Neckarsulm, ドイツ 乗用車用スチールピストン生産ラインの拡張
Neckarsulm, ドイツ 摩擦溶接工場の新設と商用車用スチールピストンの加工機