Kolbenschmidt 2008年12月期の動向

ハイライト

業績 (単位:百万ユーロ)
  2008年
12月期
2007年
12月期
増減率
(%)
要因
売上高 2,055 2,249 (8.6) -今なお続く米国の生産台数減や欧州OEMの生産台数大幅減に起因する第4四半期149百万ユーロ(26.8%)の売上急落が、通年の業績に影響を与えた。
-アフターマーケット事業を除いた全ての自動車関連部門の業績は悪化。
-受注額は前年の2,236百万ユーロから2,057百万ユーロに下落。
-期末時点の受注残高は376百万ユーロ。
金利税引前利益(EBIT) 62 120 (48.3) -前年度より58百万ユーロ減少し、62百万ユーロ。第4四半期だけで42百万ユーロの減。
-第4四半期以前の9ヶ月間では、16百万ユーロの売上減。特に米国での売上減など、販売不振が影響。
-また同9ヶ月間では、2008年6月に完了したピストン部門(KS Kolbenschmidt)拠点でのリストラが影響(計4百万ユーロ)。

部門別動向
Pierburg部門(Pierburg)
-第4四半期の需要減少により、同部門の売上はエア供給製品を除き大きく減少。

Pierburgポンプ技術部門(Pierburg Pump Technology)
-水循環ポンプのみ売上を伸長。電動ウォーターポンプの売上は堅調、バキュームポンプ、オイルポンプの売上は不振。

ピストン部門(KS Kolbenschmidt)
-各種小径ピストンの需要は軟調であったが大径ピストンの伸長により二ケタ成長をみせた。

滑り軸受け部門(KS Gleitlager)
-金属ベアリング、Permaglideベアリング、連続鋳造製品の売上は減少。年後半の売上減少は、原材料費の減少や製品レンジの再構成による。

アルミニウム技術部門(KS Aluminum Technology)
-全製品で売上は減少。


ライセンス契約
-インドのPuneにあるJaya Hind Industries Ltd.,とライセンス契約を締結。インド国内外の自動車メーカーやベンダー向けシリンダーヘッド、エンジンブロック、ベッドプレート、各種鋳造品の開発及び生産につき契約を結んだ。

開発動向

研究開発費 (単位:百万ユーロ)
  2008年12月期 2007年12月期 2006年12月期
合計 138 126 115
売上対比(%) 67 5.6 5.3


研究開発活動
-2008年の研究開発活動は、自動車産業の長期動向に沿った課題の取組みに重点が置かれた。課題としては、CO2排出の抑制、Euro 5 and Euro 6等排出ガス規制の強化、最新の製造技術の導入や製品の最適化を通じた部品コストの削減、無鉛ベアリングなどエコ製品への高まる要求に対する対応など。


新テクニカルセンター

-2008年4月、米国ミシガン州Auburn HillsにNorth American Technical Centerを開設。同社の自動車関連全6部門中5部門が同センターを利用する。70名超の要員が応用エンジニアリング、プロトタイプの開発・製造、顧客向け製品の試験に従事する。


技術提携
-2009年1月、KS Kolbenschmidtと旭テックの子会社Metaldyneは、パワーシリンダーシステムの開発とマーケティングを共同で行うことで合意。今回の提携に資本提携は含まれず、両社は対等な立場で互いの独立性を保つ。(2009年1月29日付プレスリリースより)


製品開発
新ピストン‐LiteKS2
-次世代ピストンを開発。LiteKS2はこれまでのガソリンエンジンのピストンにくらべ、20%も軽くなり、また、NanofriKSコーティングにより、排出ガスと燃料消費の削減にもつながる、

EGR システム
-新たなEuro 6排出ガス規制の2014年9月1日からの導入にそなえて、効率性を高めたEGRシステムの開発に着手した。

二次エアポンプとバルブ製品
-超低排出ガス車(SULEV)や準ゼロエミッション車(PZEV)といった将来の米国排出ガス規制をクリアするため、これまで以上に効率的なシステムに対する需要の拡大の拡大が見込まれる。それに対応するため、二次的エアポンプとバルブ製品を開発した。こうした規制をクリアする車両の排出ガスは現在の平均的新車に比べて90%減。電子制御の排出ガスフラップへの傾向に対応して低コストながら高機能の電子技術を採用した次世代アクチュエーターを開発している。

可変羽根オイルポンプ
-乗用車、商用車どちらにも装着でき、燃費を最大4%カットすることが可能な可変羽根オイルポンプを開発。現行の電動クーラントポンプに副次クーラント回路用の小型ポンプをとりつけるもので量産準備は完了。このポンプには、電気自動車やハイブリッド車で発電部位を冷却する機能もあるとされる。

2段階マグネットカップリングウォーターポンプの新製品
-商用車用にEuro 5排出ガス規制をクリアする2段階マグネットカップリングウォーターポンプの新製品を開発。量産は2009年初めを予定。こうした応用製品の開発を続ける他、出力と燃費の顕著な削減を目指して、ポンプ機構の改善にも取り組んでいる。

無鉛ピストンピン・ブッシング
-2008年初め、2011年から導入されるEU廃車規制の要件をすでに満たしている無鉛ピストンピン・ブッシングを開発。この新たな代替品はこれまで以上に厳しい条件にも対処できる能力をもっているため、その技術を他の製品にも応用することが可能。

設備投資

設備投資額 (単位:百万ユーロ)
  2008年12月期 2007年12月期 2006年12月期
合計 146 148 142

-今年度の設備投資額は146百万ユーロ(前年度は148百万ユーロ)。主にインド、メキシコ、チェコなどローコスト国での施設の立上げ・拡張に出費。


国内投資
ピストン部門(KS Kolbenschmidt)
-ドイツ国内の拠点で、大径ピストン、スチールピストン生産能力強化に投資の大部分を充当。

滑り軸受け部門(KS Gleitlager)
-無鉛製品の生産立上げやPapenburg工場でのディーゼルエンジン用滑り軸受け生産能力強化への追加投資に充当。

アルミニウム技術部門(KS Aluminum Technology)
-Neckarsulm工場で高級車メーカー向け新製品の生産立上げに充当。


海外投資
Pierburgポンプ技術部門 (Pierburg Pump Technology)
-インドのPuneで、工業団地立上げの設備投資プロジェクトがほぼ完了。この工業団地は、ウォーターポンプ、オイルポンプ、バキュームポンプを生産するPierburgポンプ技術部門をはじめ同社の複数部門が利用することになる。

Pierburg部門 (Pierburg)
-チェコの工場で2つめの生産ライン設置に投資。

ピストン部門(KS Kolbenschmidt)
-ドイツ自動車メーカーの需要に対応するため、チェコでの生産能力増強に投資。