Hella 2007年5月期の動向
ハイライト
(単位:百万ユーロ) | 2007年5月期 | 2006年5月期 | 増減率 |
売上高 | 3,667 | 3,394 | 8.0% |
純利益 | 22 | (21) | - |
2006年5月期に前年度比10.5%の増収を達成したのに続いて、2007年5月期は前年度に比べて8.0%増収の3,667百万ユーロの売上を記録。照明、電子機器、アフターマーケットの3部門全てにおいて増収となった。また、同社が事業を行っている全ての地域で売上高がアップ。
2006年4月にスタートさせた事業改善プログラム"Lion (Light on)"の成功により、業績が成長した。この"Lion"は照明事業を対象として、継続的に利益を生み出せる体質に回復させることを目的とし、コスト削減・品質向上・売上増加に取り組む包括的なプログラム。同社は"Lion"を通じて、今後3年間で300百万ユーロの増収を目標に置いている。
部門別売上
(単位:百万ユーロ) | 2007年5月期 | 2006年5月期 | 増減率 |
照明部門 | 1,535 | 1,396 | 10.0% |
電子機器部門 | 1,025 | 1,102 | (7.0%) |
アフターマーケット部門 | 1,094 | 881 | 24.2% |
その他 |
13 | 13 | - |
合計 |
3,667 | 3,395 | 8.0% |
-事業改善プログラム"Lion"の成功により、2007年5月期は数値目標を上回った。
-800百万ユーロを超える新規ビジネスを獲得
電子機器
-2007年5月期、同部門は順調な成長を継続。2007年5月期より照明部門に移管された照明エレクトロニクス事業の数字を合算すると、同部門の売上は前年度比9%以上の増加となる。
-140億ユーロを超える新規ビジネスを獲得
地域別売上
(単位:百万ユーロ) | 2007年5月期 | 2006年5月期 | 増減率 |
ドイツ | 1,898 | 1,815 | 4.6% |
欧州(ドイツを除く) | 1,062 | 959 | 10.7% |
NAFTA | 464 | 455 | 2.0% |
アジア・大洋州 | 243 | 166 | 46.4% |
合計 | 3,667 | 3,395 | 8.0% |
-欧州
東欧地域において、生産拠点と開発拠点を有効に活用したことが業績アップに働いた。
-NAFTA
2%の増収を記録したものの、市場動向に比べて低い伸び率となった。NAFTA事業においては、短期的な成長を追うよりも、収益性を確保することに重点が置かれた。
-アジア
前年度に比べて36%の増収。インドの生産子会社を初めて連結決算に組み入れたことで、売上高は更に10%増加。
受注
欧州向け7人乗りCitroen C4 Piccaso MPV(2007年モデル)向けに、車内外の照明システムを供給している。この車両にはダイナミックベンドライト、LED技術を採用したテールランプが搭載。(2007年1月24日付プレスリリースより)
BMW 5シリーズ(2007年モデル)に車内外のライトを供給している。同社はBMWのエンジニアとの協力により、5シリーズ用のヘッドランプおよびコンビネーションテールランプを開発した。また、ヘッドランプのパワー洗浄システム、室内灯および読書灯も併せて供給する。(2007年4月11日付プレスリリースより)
買収
Enko Automotive GmbHを買収。ドイツのSchortens(ショルテンス)に本拠を置くEnkoは、自動車用センサー、車体エレクトロニクスのハードウエアとソフトウェアの開発を手掛けている。両社は1999年より協力関係にあった。この買収によって同社は、電子機器および照明機器による運転者支援システム市場での地位拡大を図る。(2007年3月5日付プレスリリースより)
開発動向
-同社グループにおいて、3,000名を超えるエンジニアや技術者が研究開発活動に従事。
-研究開発活動はドイツで集中的に行っているが、それと同時に世界ネットワークを拡大中。2007年5月期には特に東欧やアジア地域に焦点が当てられた。中国とインドに加え、チェコとルーマニアに研究開発拠点を建設・拡張。
研究開発費用
(単位:百万ユーロ) | 2007年5月期 | 2006年5月期 | 増減率 |
スタッフ数 | 3,117 | 2,886 | 8.0% |
研究開発費用 | |||
-照明 | 119.3 | 97.7 | 22.1% |
-電子機器 |
145.3 (*1) |
166.6 | (12.8%) |
-アフターマーケット | 20.2 | 21.3 | (5.2%) |
合計 | 284.8 | 285.6 | (0.3%) |
売上高に占める割合 | 7.8% | 8.4% | - |
*1: 2007年5月期より照明エレクトロニクスを除外
研究開発実績 (2007年5月期)
超音波式、電子式の駐車支援技術による自動縦列駐車システムを開発した。このシステムは、二台の車両間の開いたスペースに縦列駐車をする際、多くのドライバーが感じるストレスや不安を解消するためのもの。(2006年10月31日付プレスリリースより)
真上から見た車両の映像をディスプレイに表示し、安全性を確保するシステムである"Top View"を開発。リアビューミラー、フロントミラー、左右サイドミラーに開口度180度のカメラを取り付け、それぞれのカメラが捕らえた映像を元に、真上から見た車両イメージを作り出す。(2007年3月22日付プレスリリースより)
技術提携
Volkswagen(VW)およびサプライヤー2社とパートナーを組み、将来のVW車両向けECU(電子制御装置)を開発する。2007年中に同社、VW、NECエレクトロニクス・ヨーロッパ、3SOFT(Elektrobitの自動車ソフトウェア部門)が持つ自動車エレクトロニクスのノウハウを結集させ、ECUを新規開発。Passat
Limousineに搭載し、実際の走行条件下でのテストを行う計画。このECUは AUTOSAR (車載用ソフトウエアの標準化団体)の規格に準拠するものとなる。同社はこのプロジェクトでハードウェアおよびソフトウェアのアプリケーションを提供する。(2006年10月5日付プレスリリースより)
中国の吉利汽車との間で、自動車用電子部品およびシステムの共同開発に関する趣意書に調印。吉利汽車に対し、車体エレクトロニクスに関する技術サポートを提供する。(2007年5月14日付プレスリリースより)
新製品開発
同社の中心的な開発分野の一つとして、いわゆる"照度自動調節機能を利用した運転者支援システム"が挙げられる。同社は照射角度が調節可能なヘッドランプの生産を2008年より開始する。状況に応じて、ライトの照射をロービームからハイビームの間で継続的に調整可能な点が大きな特徴。これによって対向車の運転者は目が眩むことがなく、どんな運転・交通状況においても照明が最適化される。
Chrysler 300C(2007年モデル)のオプション搭載用として、車間距離を自動的に制御するACC(Adaptive Cruise
Control))の量産を開始すると発表。これは赤外線レーザー技術を利用し、前の車との車間距離を一定に保つシステム。(2007年5月23日付プレスリリースより)
設備投資
金額は200百万ユーロを超え、主に機械や設備に投資。
主な設備投資 (2007年5月期)
-照明部門
BehrおよびPlastic Omniumとの合弁会社であるHBPOは、カーメーカーがフロントエンドモジュールの設計・開発・組立・物流を外注化していく流れの恩恵を継続して受けている。需要の高まりに対応するため、HBPOは日本、カナダ、韓国、チェコにて生産能力を拡大する。
-電子機器部門
ルーマニアのTimisoaraに電子機器工場を開設。このHella Electoronics Romania S.R.L.では、ペダルセンサー、キセノンバラスト、ヒーティングコントロールユニット、オーバーヘッドコントロールユニット等の電子部品およびシステムを生産する。12百万米ドルが投資されたこの新工場は、使用可能面積が約88,200平方フィートで、生産スペースは51,600平方フィートの規模。従業員数は200人からスタートし、2007年には400人近くまで増員される見込み。なお、Timisoaraでは製造拠点に加えて、車体電子機器製品の開発グループが設立される。(2006年10月11日付プレスリリースより)