ElringKlinger AG 2011年12月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万ユーロ) |
2011年 12月期 |
2010年 12月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 1,032.8 | 795.7 | 29.8 | 1) |
EBITDA | 245.5 | 188.9 | 30.0 | - |
OE部門 | ||||
売上高 | 827.2 | 606.9 | 36.3 | 2) |
要因
1) 全社
-2011年の売上高は、前年比29.8%増加の1,032.8百万ユーロとなり、史上最高の売上を記録。ほぼ全ての地域で自動車需要が旺盛であったこと、OE事業の新規受注、買収効果が売上増加に貢献した。
2) OE部門
-全ての事業で売上増加を達成。エンジン開発の分野でほぼ全ての自動車メーカーが注力している、エンジンの小型化の恩恵を享受。
<事業別>
-シリンダーガスケット事業:新世代小型直噴ガソリンエンジンで市場シェアが拡大。
-特殊ガスケット事業:売上高が大きく伸張。ターボチャージャー用および排気システム用の耐熱ガスケットの需要が旺盛であったことが寄与。また、ターボチャージャー用Vリング、最新AT用コントロールプレートの生産量が大きく増加した。
-2011年のシールド技術:売上高の二桁成長を達成。エンジンの小型化および過給化により、耐熱シールド部品や耐熱・防音ソリューション関連部品の需要が継続して堅調に推移したことが寄与。
企業買収
Hummel-Formen GmbH-2011年9月、ドイツのプラスチック加工用射出成形機製造メーカーHummel-Formen GmbHの株式90%を取得。Hummel-Formenは2011年10月1日をもって連結対象となった。本件買収で、同社は工具技術およびプラスチックベース(特に繊維強化複合物)の軽量化加工のノウハウを取得。自動車業界では燃費向上、CO2排出量削減のために、金属部品から軽量化プラスチックへの代替が重要なトレンドとなっており、今後の同社の収益の源泉になり得ると見られる。
Hug Group
-2011年5月11日付けで、スイスの排ガス処理システムメーカーHug Groupの株式66.7%の取得手続きを完了したと発表。Hug Groupは今年度、約46百万ユーロの売上を計画している。 (2011年5月12日付プレスリリースより)
-スイスを本拠とするHug Engineeringの株式66.7%を取得すると発表。Hug Groupは排ガス浄化システムの開発・製造を行っている。今後ElringKlingerは、同社の煤煙低減用コーティング材「CleanCoat」をHugのディーゼル粒子フィルターに施し、商用車向けに販売する計画。なお、株式取得の手続きは2011年第2四半期中に完了する見込み。 (2011年4月6日付プレスリリースより)
Freudenberg Groupのガスケット事業
-Freudenberg Groupは、同社に対するシリンダーヘッドガスケットおよびエキゾーストガスケットのOEM事業売却を、2011年1月1日付で完了したと発表。同事業は生産拠点をドイツのEurasburgとGeretsried-Gelting、フランスのChamboretとNantiat、イタリアのSettimoに置いている。 (2011年1月5日付プレスリリースより)
売却
-ドイツのLudwigsburg工業団地を売却したと発表。売却金額は34百万ユーロ。今回の売却による収益は、同社の中核事業となるCO2・排出ガス削減技術の向上および、E-Mobility事業の拡大に向けた投資に充当される見込み。(2011年8月31日付プレスリリースより)E-Mobility事業
-リチウムイオン電池および燃料電池ユニット用部品等のバッテリーシステムの需要の高まりを受け、同社は2010年にE-Mobility事業を立ち上げ、2011年も継続して事業拡大を実施。事業立ち上げから短期間ではあるが、開発と連続生産契約を受注するに至った。同事業は、同社グループのハイブリッド(HV)および電気自動車(EV)分野の将来の成長ドライバーになると認識している。今後15年から20年でEVの生産量はそこまで多くはないと見ているが、現在成長傾向にあるHV向け市場での地位を確立できると予測している。更なる小型化、効率化がなされた従来の内燃エンジン用部品とともに、ハイブリッド向けソリューションを将来の源泉と捉えている。開発動向
研究開発費 |
(単位:百万ユーロ) |
2011年12月期 | 2010年12月期 | 2009年12月期 | |
全社 | 49.9 | 40.6 | 35.7 |
研究開発体制
-2011年、同社は1) 小型化・軽量化による内燃エンジンの最適化、2) E-Mobilityをテーマに研究開発を実施。-2011年12月31日現在、研究開発に従事するスタッフは416名(2010年:316名)。
-開発ノウハウ、製造工程の優位性を保護するため、同社ではR&D活動をドイツ本社、スイスElringKlinger Abschirmtechnik AG、スイスHug Engineering AGに集約。2011年、これら拠点に"Centers of Excellence"を設立し、グループ全体のR&D業務を担う。
-ドイツGelting拠点を本社(Dettingen/Erms)に統合。排気システム用マイカおよびグラファイトシール・ガスケットの開発・製造に特化。
-北米、中国および日本において、自動車メーカー向けアプリケーションテクノロジーを拡充するべく、自動車メーカーの製造拠点近郊の同社拠点の生産能力の拡充を開始。
研究開発活動
-2011年は既存事業の研究開発だけでなく、新事業E-Mobilityの研究開発に特に注力した。2011年12月31日現在、同部門に従事するスタッフは約60名。主にドイツDottingen/Ermsで研究開発を実施。現時点では多額の費用を拠出している中で、売上にはあまり寄与できていないが、2011年下半期にEV・HV向けリチウムイオン電池に使われるセルコンタクトシステムの量産用設備を増強した。設備投資
設備投資額 |
(単位:百万ユーロ) |
2011年12月期 | 2010年12月期 | 2009年12月期 | |
全社 | 121.6 | 134.3 | 95.6 |
OE部門 | 105.9 | 123.5 | 83.1 |
-2011年の設備投資は、主に世界規模で拠点の拡大、最新の機械およびシステムの購入、製造工程の自動化、効率化に投資。地域的には、成長市場であるアジア、特に中国への投資に注力。
国内投資
-ドイツ本部Dettingen/Ermsに、オートメーション化された最新鋭のプラスチックハウジンモジュール製造工場を開設。製造スペースは20,000平方メートル、事務所スペースは3,000平方メートルを確保。投資額は合計24百万ユーロで、2012年1月に操業開始、フル稼働は2012年6月の予定。海外投資
<中国>-2011年第1四半期に長春市に新工場を開設。規模は既存工場の約2倍となり、新旧工場併せて15,000平方メートルに拡大。
-同社の中国第二拠点の蘇州市において、製造スペース5,000平方メートルの拡張事業を開始。