ElringKlinger AG 2006年度の動向

ハイライト

業績

百万ユーロ 2006年12月期 2005年12月期 増減率 要因
全社
売上高 528.4 474.6 11.3% -
税引き前利益 87.6 70.9 23.6 -
OE 部門
売上高  374.0 329.9 13.4% 売上げは、前年比13.4%増加の374.0百万ユーロ。
税引き前利益は、前年の41.9百万ユーロから56.6百万ユーロへ増加。
同部門の4つのセグメント(シリンダーヘッドガスケット、特殊ガスケット、エラストマー技術/モジュール、ならびにシールディング技術)すべてで二桁台の成長。

部門別事業概況
北米納入先メーカー数社の生産量削減や、欧州でのガソリンエンジン用シリンダーヘッドガスケットの需要縮小にもかかわらず、2006年のシリンダーヘッドガスケット部門の売上げは期をとおして伸張。ディーゼル乗用車、商用車用シリンダーヘッドガスケットも堅調に推移。

新世代製品であるCoined meanderまたはハニカムストッパー付きシリンダヘッドガスケットも好調。
新型の圧印加工セグメントストッパーは、高い技術が評価されており、同社は、次世代エンジンの80-90%はこのタイプのガスケットを搭載すると予測。

2006年度、同部門では世界中で150以上の取引先の新製品開発に参画。

特殊ガスケット部門も売上げは堅調。
この分野では、製品の投入が特に好調で、オートマチックトランスミッションコントロールプレートが初めて業績に寄与。同製品は、追加のプロジェクトも受注。
同時に、特殊ガスケットは排気管やトランスミッション用としての需要も旺盛。
ディーゼル乗用車および商用車用排気管が益々複雑化するのに伴い、極度の高温にも耐えうるエキゾーストシステムガスケットに対する要求が高まっている。

厳しい競合環境の中、エラストマー技術/モジュール部門も売上げが増加。
乗用車用カムカバー、商用車エンジン用メタルーエラストマーシリンダーヘッドガスケットが牽引。
オイルパン用や、コントロールハウジング用のメタル-エラストマーガスケットも業績に寄与。

シールディング技術部門は、平均を超えた売上げ増を達成。これは、コンプレックスヒートシールドの需要増加によるもので、触媒コンバーターや一体型エキゾーストシステムで使われている空気抜き装置をヒートシールドに装着するという発想が特に顧客の関心を集め、受注増につながった。また、酸化触媒コンバーターや、DPFを始めとする排気システム向けのサーマルシールディングパーツの開発、供給が増加。さらに、製品投入と平行して、少量生産の特殊部品の受注も売上げ増加に寄与。

受注
・2006年8月、米国最大手のトラックおよびエンジンメーカーに、継続的サプライヤーとして、カムカバーモジュール、複合ガスケットセットを供給すると発表。北米市場向けに新開発されたV6ディーゼルエンジン用にシリンダーヘッドガスケット、オイルパンガスケット、および排気管用ガスケットを生産する。2007年末に製品納入を開始する予定。2008年からの年間売上高は4百万ドルから5百万ドルを見込む。

開発動向

研究開発費用

(単位:百万ユーロ) 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度
R&D 26.0 24.3 22.9 19.7

・2006年度、グループ内のR&D部門に直接従事していたスタッフは229名。全社従業員に対する構成比率は7.0%。
・R&D活動の大半はドイツに集中。

新製品開発
次世代型シリンダーヘッド・ガスケット
・シリンダーヘッド・ガスケット部はセグメント・ストッパーの導入により鋳造シリンダーヘッド・ガスケットの性能を向上する新技術の開発を促進。今後登場する150件を超える新エンジン開発プロジェクトのうちほぼ90%に新型ストッパーを採用。

シーリング技術の新しい応用
・マグネシウムやアルミなどの軽量でより優れた熱伝導性材料を用いた小型高性能密閉型エンジン(encapsulated engines)の利用に向けた自動車用エンジンの開発傾向は、次世代型エンジンのシーリング部品の需要を活発化。シールド技術分野における開発活動の主たる焦点のひとつとしてあげられるのは、追加機能付複合ヒートシールド。数箇所のポイントで作動温度が摂氏1000度に到達することもある排気管の対策として、サーマル・シールドの開発を推進。

排気管開発が特殊ガスケット部門の中心課題
・特別ガスケット部門ではAT車用油圧制御プレートの新製品を数種類開発。ディーゼル車用としてますます複雑化する複合排気管用の高温度ガスケットも開発。その他、2つの高温ガスケットを一体化したディーゼル・パーキュレート・フィルター用の連結モジュールの開発も行った。

エラストマー技術とモジュール
・エラストマー技術・モジュール部で樹脂カム・カバーのオイル・トラップを開発。以前はこの部品を外部調達していた。この分野では同社の開発能力は最新鋭の検査・テスト機器を購入して、さらに向上。統合エラストマー・ガスケット付き樹脂製軸受プレートカバーはマニュアル車用に開発され、2007年に生産を立ち上げる。

2電極プレートと燃料電池スタック
・ElringKlingerはプレス成型技術分野の中核技術を活用して燃料電池部品の開発を数年間行っている。新規事業部は燃料電池用の2電極プレートの開発を行うが、更にSOFC (固体電解質型燃料電池)対応の燃料電池スタック一式の生産も行う。自家用発電・発熱双方の分野では燃料電子技術の応用が期待されている。

開発が進む新ディーゼル・パーティキュレートフィルター
・2006年、新規事業部ではディーゼル車両用のパーティキュレートフィルターの革新的製品を開発。エンジン及び車両実験用のサンプル部品と少量ロットの部品生産を目的として、2007年初頭には小ロット生産対応施設の投資を行う。基礎的試作期間は2007年の秋までに終了する予定。

設備投資

(単位:百万ユーロ) 2006年度 2005年度 2004年度
工場、土地及び機材、無形資産への投資金額 49.1 54.7 40.8

シリンダーヘッドガスケット部門では、鋳造ストッパー付シリンダーヘッドガスケット製造用で1,500トンプレスマシンを導入。このプレスマシンは、新開発のメタルトランスミッションハウジングモジュールや燃料電池用2電極プレートの製造にも使用される。


シールディング技術部門
は、Langenzenn工場のサーマルシールディング部品の生産能力を増強。自動レーザー切断機や、溶接機も含まれる。

特殊ガスケット部門は、偏心プレス機を導入。Dettingen/Erms工場では、マニホールドガスケットの組立てラインと、エキゾーストシステム用インジェクションモジュール(AdBlueモジュール)の最終組立てラインを導入。

エラストマー技術/モジュール部門
は、Dettingen/Erms工場で、商用車用メタル-エラストマーシリンダーヘッドガスケット製造のためのオートメーションセルおよびプレスシステムの稼動を開始。プラスチックカムカバー製造用機器ならびにその他機器も購入。

新規事業部門で100万ユーロを投資。多くは、燃料電池部品生産や、新型DPFの初期開発のための計測、試験機器や、研究室の機材購入に充てられる。


2007年度の計画
2007年度の設備投資費用は売上げの約11%を投じる計画。

ツーリングを除いて、32百万ユーロをErlingKlinger AG本社の設備投資。
-シリンダーヘッドガスケット、および特殊ガスケット部門の生産能力増強のため、新工場および機械の取得を予定している。
-エラストマー技術/モジュール部門の新規受注に対応し、現在Dettingen/ Erms工場ではプラスチックカムカバーの新工場の建設を検討。
-Langenzenn工場では、シールディング技術部門の生産能力増強のため、新工場を建設中。

新規事業部門は、DPFの小ロット生産システムを2007年初めに購入し。そのほか、燃料電池部品部門の工場および試験システムにも投資。

子会社および関連会社の設備投資は、合計で30百万ユーロ超の予定。
-中国のChangchun工場と、韓国のChangwon工場の生産能力を増強する予定。
アジアの拡大のため、インドのRanjangaonにシリンダーヘッドガスケットおよび特殊ガスケット生産の新工場を設立する予定。

その他の重要地域はメキシコ。現地工場では、米国の納入メーカー向けプラスチックカムカバーの生産のため、生産設備を増強する予定。


なお、2008年度の投資(無形資産、土地、工場、設備、投資用資産)は売上げの9%と通常の水準に戻る予定。