DEUTZ AG 2009年度の動向

ハイライト

近年の動向

事業概要

-小型エンジン部門の2009年売上は636百万ユーロ。前年比で44%の減少(08年売上は1,143.2百万ユーロ)。小型エンジン部門市場の状況は グループ全般の市場状況と同様に不況。地域別売上をみるとドイツ単独では前年に比べてほぼ半減、ドイツ以外でも同様に40%減少した。米州は前年比で3分 の2に減少。
09年第4四半期になると一部地域の売上に大幅な回復基調がみられた。前年同期比で、ドイツを除く欧州地域は11.5%、中近東は32.4%、アフリカで は77.3%の改善。しかし、中近東とアフリカでの売上高13.2百万ユーロと欧州の11百万ユーロは合算しても同社全体の売上高減少を補てんするには十 分とは言えない金額であった。

受注

-2009年6月、Volvoグループと2013年に契約満了を迎える協業契約の延長に関する交渉を開始。両社は1998年、排気量4-7リットルクラス のディーゼルエンジンを共同で開発・供給することで合意していた。現行契約が期限を迎える4年前の段階で交渉を開始した背景の一つに、Volvoが 「Euro6」対応エンジンの自主開発を決定したことがあげられる。(2009年6月16日付プレスリリースより)

合弁事業

-中国の自動車大手第一汽車集団(FAWグループ)の完全子会社であるFAW Jiefang Automotive Co., Ltd. (本社:長春)とディーゼルエンジン生産の合弁会社設立で合意。合弁会社はDEUTZとFAWとの折半出資、社名をDEUTZ (Dalian) Engine Co., Ltd. (DEUTZ 大連)。DEUTZ大連の事業主導権はDEUTZが掌握、新会社に60百万ユーロ相当額を拠出する。DEUTZ (大連) Engine Co., Ltd. (DEUTZ 大連)の設立は既に10年以上にわたるDEUTZとFAWグループとの協業関係を大幅に拡大すると見られる。操業開始は2007年半ばを見込む。この合弁 会社の中核となるEURO3対応エンジンの生産及び組立て工場の本格稼働は、操業から2年以内の予定。この開発と並行して、同合弁会社の他工場で製造した 製品は、FAWグループやその他の中国メーカーへ納入される。

-2008年はDEUTZ(大連)の設立後初めての通年稼働。計97,000基のエンジンを生産、そのうち7,000基は同社技術をもとに生産した。同合 弁企業の年間売上は226百万ユーロ超。折半の合弁相手であるFAW Jiefang Automotive Co., Ltd.への納入が最も多いが、その他顧客からも受注した。

-2009年12月、Bosch、Eberspaecherとディーゼル排気制御システムを扱う合弁会社を設立することで合意。建設用・農業用機械および 商用車向けに、ディーゼル排気後処理システムモジュールを供給するのが目的。新会社の名称は「Bosch Emission Systems GmbH & Co. KG」で、ドイツStuttgartに本社を置く。2010年1月に事業を開始し、2010年第3四半期から本格生産を開始する予定。(2009年12月 10日付プレスリリースより)

売却

-2007年7月、 分散型発電システム用のガスおよびディーゼルエンジン事業を手掛ける同社の電源システム(DEUTZ Power System)部門を、3iに売却することで合意した。DEUTZ電源システム部門は、主としてガスエンジンを使った高性能・環境調和型分散発電システム 供給における世界最大手。同社は、中型/大型の固定式ガスエンジンを主体とする電源システム部門を維持しつつ、小型エンジン部門のもつ高い市場ポテンシャ ルを最大限に伸ばしてゆくのは困難との判断から、電源システム部門の売却に踏み切ったとしている。同社は、電源システム部門の売却完了後、主力部門である 小型ディーゼルエンジン事業での開発・生産に集中する。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2009年12月期 2008年12月期 2007年12月期
全社 104.6 90.3 55.8
小型エンジン部門 93.1 78.7 47.3

研究開発体制

- 同社はR&Dセンターをドイツのケルン市に保有。

研究開発活動

-2007年、出力が75 kW から130kW までのエンジン向けの Stage III A/TIER 3 基準に対応するエンジンシリーズ用の重要製品を立ち上げた。 このエンジンシリーズは、4バルブ技術、コモンレール式噴射システム、外部冷却式排気ガス循環装置を備え、その他自動噴射や内部排気ガス循環装置を採用し たものも含まれる。顧客の要望や排気ガス基準に対応して、デザインは最適化されている。トラクター用の製品をテストした際、2012年、2013年シリー ズはエンジン性能、燃料消費ともに優れた成果を収めた。

-2008年、暫定TIER4基準が2012年より適用されるのを受け、出力130kW以下のエンジン開発の基盤作りに着手。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2009年12月期 2008年12月期 2007年12月期
全体 119.5 118.1 167.8
小型エンジン部門 110.3 106.6 160.5
カスタムソリューション部門 9.2 11.5 7.3

-2010年の設備投資額は09年に比べ増額の予定。投資金額の3分の1は新製品の開発を目的としたもの。残りはBoschとEberspacher (Bosch Emission Systems GmbH & Co. KG)のJ/V企業に投資する計画。

小型エンジン部門
-2007年、中国の合弁事業への投資に加え、生産能力拡大のためのプロジェクトへの設備投資に重点が置かれた。このプロジェクトには、商用車及び工業製 品向けのTDC 2013 4V エンジンシリーズ、工業製品向けの2011シリーズ、ケルン(ドイツ)とゼフラ(スペイン)の製品工場及びケルンのアッセンブリー工場での生産能力拡大が 含まれる。これを受けて、多数の加工工場建設と旋盤、研磨機及び切削機の購入が可能になり、クランクケース、カムシャフト、クランクシャフト、コンロッド 及びシリンダーヘッドの生産拡大に至った。

-2008年、小型エンジン部門の設備投資の約半分(45.1百万ユーロ)は現在・将来の排ガス基準対応のエンジン開発や改良に支出。