American Axle & Manufacturing Holdings, Inc. 2008年12月期の動向

ハイライト

業績 (単位:百万ドル)
2008年
12月期
2007年
12月期
増減率
(%)

要因

売上高 2,109 3,248.2 (35.1) -GM、クライスラーの主要大型トラックやSUV向け販売量が約41%減少したこと、またGMの中型軽量トラックやSUV向け販売量が53%減少したことことが売上高に影響。

-UAW組合員のストライキにより、2008年度の前半6ヶ月の業績が大きな影響を受けた。
総利益 (865.2) 278.4 - -
※継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に関する注記
2008年度の同社アニュアルレポートにて、監査法人は同社の継続企業としての存続能力に重要な疑義を抱かせる要因が存在すると述べた。

UAW組合員によるストライキの影響

-2008年5月25日、ミシガン州、ニューヨーク州の5工場に勤務する同社従業員約3,650名が批准していた同社とUAWの4年間の労働協約が失効。失効に伴い、UAWはこれらの工場でのストライキを発令。ストライキは87日間続いた。このストライキは2008年度の前半6ヶ月の同社業績に大きな影響を与えた。詳細は以下のとおり

ストライキの影響 (単位:百万ドル)
2008年12月期前半6ヶ月
売上損失 414.0
総損失 129.4
純損失 132.5

新労働協約
-2008年3月、同社は新労働協約を締結し、ミシガン州、ニューヨーク州の5工場で勤務する76%のUAW組合員により批准された。新たな協約は、労務費構造や操業柔軟性の面で改善をもたらすものとなった。同社は、レガシーコスト(過去から継承したコスト負担)をほぼ全て解消し、労務費を固定費から変動費に切り替えた。特に、諸手当を含めた時間当たり労働コストを74ドルから34ドルと半分以下に削減することに成功。これにより時間当たりの労務費削減分は、年間で300百万ドルを超えるとみられる。

リストラクチュアリング

-2008年度、時間給労働者とフルタイム社員あわせて2,500名を削減。これにより、見込まれる構造的コストの削減額は350百万ドル(年間)。

-Detroit、Cheektowaga、Three Riversの各拠点で交代制勤務(AWS)を採用。

-以前より稼動休止、閉鎖していたBuffalo工場を2008年10月3日付で売却。

-Tonawandaの鍛造工場を、2008年12月3日付で売却。

-Detroitの鍛造工場を2009年1月に休止させる方向。

-Detroit Manufacturing Complexの大部分を休止もしくは統合する予定

受注
新規及び追加受注の受注残は2009年1月15日現在で約14億ドル。
その内訳は以下
- 約50%は北米を除く全世界のエンドユーザー向け
- 約85%は米国以外の工場が生産

- 約60%はAWD/RWD乗用車およびCUV向け

  . 6つの自動車メーカーより計13のAWD/RWD供給プログラム受注
- 約800百万ドル相当は2009-2011に供給開始予定
- 新規顧客からの受注:
  . 2009年供給開始のMack Truck向け大型受注(アクスルキャリアアッシー)
. 日産(2010年小型車向けリアアクスル、ドライブシャフト)
. Chery Automobile(2009年モデルのCUV向けドライブシャフト)
. Brilliance China Automotive (2010年CUV用独立型リアドライブアクスル)
. Tata Motors (2009年供給開始の小型車用アクスル)
. MNAL (2009年供給開始の商用車用ドライビングヘッド)

合弁事業

-2008年12月、同社は、中国のHefei Automobile Axle Co, Ltd., (HAAC)と折半出資による合弁会社を設立すると発表。HAACは、JAC Groupの子会社。新会社の名称は「Hefei AAM Automotive Driveline & Chassis System Co., Ltd」。2009年第1四半期から稼動開始の予定。JAC Automotiveが製造する乗用車、SUV(スポーツ多目的車)、MPV(多目的車)、商用車向けに、リアビームアクスル、フロントアクスル、パワートランスファーユニット(PTU)、リアドライブモジュール(RDM)、サスペンションモジュールを供給する。(2008年12月11日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費 (単位:百万ドル)
2008年12月期
2007年12月期 2006年12月期
合計 85.0 80.4 83.2

-パワートランスファーユニット、トランスファーケース、ドライブライン、トランスミッションデフ、マルチピースドライブシャフト、ハーフシャフト、トルクトランスファー装置、フロント/リアドライブアクスルなど。また、既存製品との電子統合化や、ハイブリッド車両システムの研究開発にも注力している。

製品開発
-前輪駆動車でパワートランスファーユニットやドライブシャフトを必要としないエレクトリックリアドライブモジュール、また左右トルク移動制御を行う電子制御ディファレンシャルなどを開発中。

設備投資

設備投資額 (単位:百万ドル)
2008年12月期 2007年12月期 2006年12月期
資本支出額 140.2 186.5 286.6

-リストラクチャリング、生産設備の配置転換、生産能力の再配置/調整、新規受注の乗用車とクロスオーバー車向け生産準備、タイ、ブラジル、インドにおける新工場建設、工場拡張など。

投資計画(2009年12月期)
-2009年12月期は140-150百万ドルの設備投資を見込んでおり、その内訳としてインド、ブラジルの新工場建設や生産設備・システムの設置などが含まれる。

国内投資

-2008年12月、FormTech Industries LLC (FormTech)よりディファレンシャルギア、ハイポイドピニオン、リングギアの鍛造事業を買収し、インディアナ州Ft. WayneのFormTech社の工場を取得。この取得した工場は、今後同社子会社AccuGear, Inc.としてネットシェイプディファレンシャルギアを生産する。

-ミシガン州OxfordでOxford Forge, Inc.の操業開始。

-ミシガン州Auburn Hillsで冶工具を製造するDieTronik Manufacturingを開設。

海外投資

-2008年2月、タイに新たな生産拠点を建設することを発表。既にバンコクの南東に位置するRayong県の工業団地内に約21エーカーの用地を取得している。建屋面積90,000平方フィート規模の独資工場を開設し、ドライブライン製品を生産する。2008年春に着工し、2011年での生産開始を目標とする。(2008年2月14日付プレスリリースより)