Magna International Inc. 2012年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
2012年
12月期
2011年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 30,837 28,748 7.3 1)
純利益 1,426 1,015 40.5 -
地域別売上高
北米 16,241 14,764 10.0 -
欧州 12,563 12,429 1.1 -
その他地域 2,010 1,506 33.5 -

要因

1) 全社
-2012年12月期の売上高は、前年比7.3%増加の30,837百万ドル。北米、その他地域および欧州の生産量増加が寄与。また、製造設備やエンジニアリング事業等も増加要因として挙げられるが、完成車組立事業の売上が減少したことで一部相殺された。

企業買収

<Magna Powertrain>
-同社のパワートレイン部門が自動車用バキュームポンプ、エンジンポンプ、トランスミッションポンプを生産するixetic Verwaltungs GmbHの買収を完了したと発表。同社はixeticの発行済株式100%を取得しており、買収金額は約308百万ユーロ。ixeticはドイツBad Homburgを本拠とし、2011年の売上高は約300百万ユーロを記録した。ixeticはドイツ、ブルガリア、中国に生産・組立工場を保有。このほかにブラジル、インド、日本、米国にも営業所を保有。(2012年11月30日付プレスリリースより)

-2012年、Magna PowertrainはSTT Technologies Inc.の株式の残り50%を合弁相手SHW AGより取得することで合意した。STT Technologiesは、北米の自動車市場向けにトランスミッションおよびエンジン関連のオイルポンプを供給している。買収金額は公表されていないが、数千万ユーロの見込み。

-2012年、同社はハイブリッド車/EV車用部品製造会社Magna E-Car Systemsの株式27%を合弁相手のStronach Groupの関連会社から取得することで合意。買収金額は74.67百万ドル。Magna E-Car Systemsの部品製造事業はMagna Powertrainに、車両統合事業はMagna Steyrに統合される。

<Magna International>
-2011年に米国の射出成形メーカーContinental Plasticsを買収したと発表。また、ドイツにある高強度押出プレス工場と、バス・路面電車用のシートシステムメーカーも買収済み。(2012年2月23日付プレスリリースより)

<Cosma International>
-2012年2月、傘下のCosma Intenationalがアルミ製構造部品サプライヤーBDW technologiesを買収した。BDW technologiesは真空高圧アルミダイカストに強みを持ち、ドイツ、ポーランドおよびハンガリーで事業を運営している。

<Magna Seating>
-傘下のMagna Seatingがドイツ・Karlsruhe-Stupferichを本拠とするVogelsitze GmbHを買収したと発表。Vogelsitzeは、バス用シートの開発・生産を行っている。2011年度の売上額は約19百万ユーロの見込み。納入先はMAN、Mercedes-Benz、Volvo、Bombardier、VDL、GAZなど。(2012年1月5日付プレスリリースより)

合弁会社

-Magna E-Car Systemsと現代重工業は、合弁会社「MAHY E-CELL」を設立することで合意したと発表。両社はEV・HV用の電池および電池パックの予備検証に向けて、共同でエンジニアリング、設計、開発、試験を行う計画。出資比率はMagna E-Car Systemsが60%、現代重工業が40%。(2012年4月3日付プレスリリースより)

受注

<Magna Exteriors and Interiors>
-傘下のMagna Exteriors and Interiors (MEI) がアクティブグリルシャッター (AGS) の生産を開始したと発表。AGSは、車両前部の通気孔を遮断するルーバーシステムで、空気抵抗を軽減するとともに最適なエンジン温度を維持する。ルーバーは家庭用ブラインドのような動作で、車両の様々な状態に応じて自動で開閉する仕組みとなっている。MEIは、1年半の間にこの新製品の開発および製品化を行った。なお、AGSはChrysler 「Dodge Dart」および「Ram 1500」ピックアップトラックの2013年モデルに初搭載され、今後発売予定の4モデルにも採用される予定。(2012年10月2日付プレスリリースより)

<Magna Electronics>
-2012年モデルのOpel 「Insignia」にMagna Electronics製の「EYERIS」電子ビジョンシステムを納入すると発表。このシステムは、北米においてChevroletおよびGMCのモデルに、韓国では韓国GMのモデルに搭載されている。さらに、VauxhallのSUV「Mokka」や「Astra VXR」など、今後発売される様々なGMブランドで採用される予定。(2012年4月26日付プレスリリースより)

<Magna International>
-新型Class 8トラックのKenworth 「T680」およびPeterbilt 「Model 579」に、様々な部品およびシステムを供給していると発表。シートシステム一式、アルミ製・スチール製のキャビン骨格構造用プレス部品およびASSY、フード、ルーフ、外装トリムなどの複合材料製品、内装トリムが含まれる。(2012年3月23日付プレスリリースより)

受賞

-Magna Internationalは、同社の11拠点がGMより「Supplier Quality Excellence Award」を受賞したと発表。受賞した拠点は以下の通り。(2012年11月13日付プレスリリースより)
<Cosma International>
  • Cosma Shanghai-中国・上海
  • Maple Stamping-カナダ・オンタリオ州Concord
  • Montezuma Manufacturing-米国・アイオワ州Montezuma
  • Victor Manufacturing-米国・アイオワ州Victor
<Magna Closures>
  • Dortec-カナダ・オンタリオ州Bradford
<Magna Powertrain / Electronics>
  • Innovative Cooling Dynamics-カナダ・オンタリオ州Mississauga
  • Magna Electronics China-中国・江蘇省
  • MPT Lansing-米国・ミシガン州Lansing
  • MPT Muncie-米国・インディアナ州Muncie
  • MSM-カナダ・オンタリオ州Woodbridge
  • Pullmatic Manufacturing-カナダ・オンタリオ州Unionville
<Cosma International>
-Cosma InternationalのブラジルCamacari工場がFordより「World Excellence Award」で銀賞を受賞したと発表。同工場は、シャシー構造部品や金属製溶接ASSYをFordへ納入している。(2012年7月5日付プレスリリースより)

-2012年、Cosma InternationalはVolvoより「Quality Award of Excellence」を初受賞した。

<Magna Mirrors>
-Magna MirrorsのInfinityリアビューミラーが「2012年Automotive News PACE Award」を受賞したと発表。同ミラーは、従来製品で使用されているミラー周辺のベゼルをなくし、研磨されたガラスエッジを採用。デザインの差別化と同時に、前方視野が増すことでミラーサイズを最大24%削減することが可能。

開発動向

研究開発費

-同社は、税引前利益の最低7%を年間の研究開発費として投資する方針。

技術提携

-傘下のMagna Exteriors and Interiorsは、米国の商業用炭素繊維メーカーZoltek Companies, Inc.と独占パートナーシップ契約を締結したと発表。低コストの炭素繊維シートモールディングコンパウンド (SMC) を開発する。新たに開発する炭素繊維SMC材料には、Zoltekの炭素繊維「Panex 35」とMagnaのSMC材料「EpicBlendSMC」を使用。この新材料「EpicBlendSMC EB CFS-Z」は、Magna Exteriors and Interiorsの「EpicBlendSMC」製品ラインの一部として、乗用車・商用トラック市場の様々な軽量部品およびサブシステム向けに供給される計画。特に、EV用バッテリー収納容器への利用に適している。(2012年3月28日付プレスリリースより)

製品開発

アクティブグリルシャッター
-傘下のMagna Exteriors and Interiorsがアクティブグリルシャッター (AGS) の生産を開始したと発表。AGSは、車両前部の通気孔を遮断するルーバーシステムで、空気抵抗を軽減するとともに最適なエンジン温度を維持する。ルーバーは、車両の様々な状態に応じて自動で開閉する仕組みとなっている。高速時にはルーバーが閉じ、空気抵抗を低減し燃費の向上を実現。一方で、低速時にはルーバーが開きエンジン室内に空気を取り入れることで最適なエンジン温度を維持する。(2012年10月2日付プレスリリースより)

シート

-傘下のMagna SeatingとGrammerとによる合弁会社GRA-MAG Truck Interior Systemsは、Kenworth 「T700」およびPeterbilt 「587」向けにトラック用シート「GT700」シリーズを開発した。両モデルは2012年第4四半期に発売される予定。新たに開発したシート「GT701」、「GT702」、「GT703」には、ドライバーの体重に合わせて自動調節する先進エアサスペンションシステムや、全てのシートにオプション搭載できる暖房装置など様々な機能を備える。さらにこれらのシートは、ビニール製、布製、ウルトラレザー製の選択が可能となる。(2012年9月19日付プレスリリースより)

MILA コンセプトカー
-傘下のMagna Steyrが2012年ジュネーブモーターショーで、コンセプトカー「MILA Coupic」を展示すると発表。MILAシリーズでは6番目となる「MILA Coupic」は、SUVクーペ、ピックアップ、オープンエアコンバーチブルの3つの車両コンセプトを1つにしたもので以下の特徴を持つ。(2012年2月28日付プレスリリースより)
  • フロントルーフとリアルーフはそれぞれ独立したモジュールになっており、別々に開閉することが可能。これによりオープンエア車を体感できる。
  • リアの折りたたみ式ルーフを運転席側に開け、リアシートモジュールを折りたたむと、ボタン1つでピックアップ車に変身する。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
全社 1,274 1,236 746

海外投資

<ロシア>
<Magna International>
-同社とロシアの自動車メーカーAvtotorは、ロシアKaliningradに自動車生産クラスター (自動車メーカーと部品サプライヤーの集合体) を設立することで合意したと発表。この自動車クラスターの完成時には、自動車の生産工場や自動車部品の生産に向けた合弁会社が複数立地する予定で、最大6つの自動車工場と、15の自動車部品工場が建設される見込み。部品工場では、Avtotor向けの製品だけでなく、その他の国内自動車メーカーや輸出向けにも生産を行う。今後いくつかの段階を経て、2018年までに自動車の生産能力は25万台、年間売上額は3,000億ルーブル (約100億米ドル) 超に達するとみられる。(2012年11月27日付プレスリリースより)

<ルーマニア>
<Magna Exteriors and Interiors>
-傘下のMagna Exteriors and Interiorsは、ルーマニアのCraiovaにおいて新たに工場を設立したと発表。新工場はFordの拠点内に位置し、Ford 「B-MAX」向けにフロントおよびリアバンパー、その他の外装トリム部品を生産する。このほかにも射出成形、塗装、組立などを行う。従業員は100名。生産スペースの面積は13,000平方メートル。(2012年10月25日付プレスリリースより)

<米国>
<Magna E-Car Systems>
-Magna E-Car Systemsは、米国ミシガン州のGrand Blanc TownshipにHV・EV用部品工場を設立したと発表。工場面積は66,000平方フィートで、従業員数は約95名。Ford 「Focus Electric」向けの電気モーター、インバーター、電動パワートレイン制御システムを生産するほか、Fisker 「Karma」にはインバーターを納入する。なお、Magna E-Car Systemsは、新工場を含めて北米に4拠点、欧州に2拠点を保有している。(2012年4月16日付プレスリリースより)