Magna International Inc. 2010年12月期の動向

ハイライト

 

業績

(単位:百万ドル)
  2010年
12月期
2009年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高
24,102 17,367 38.8
-
EBIT
1,187 (504) - -

地域別売上高

北米
12,757 8,306
53.6

+北米における車両生産台数の増加
+北米生産車における一台あたりの平均搭載額の増加...(1)

+Meridian Automotive Systemsの数拠点の取得(2009年第3四半期)

欧州
10,457 8,551 22.3

+欧州における車両生産台数の増加
+欧州生産車における、一台あたりの平均搭載額の増加...(1)
+Cadenceの買収 等の企業買収の完了

その他地域
1,185 786 50.8

+中国及び韓国での車両生産台数の増加、または製品搭載モデルの生産量増加。

+Karmann Japanの買収効果
+中国及び韓国における新規プログラムの立ち上がり


要因

(1)  2010年の車両1台あたりの平均搭載額は、北米で13%増加の988ドル、欧州では8%増加の536ドルとなった。
北米
欧州
<新規プログラム>
Chevrolet Equinox, GMC Terrain, Jeep Grand Cherokee, Ford Fiesta, Chevrolet Cruze, Cadillac SRX

<新規プログラム>
MINI Countryman; Mercedes Benz SLS, Peugeot RCZ, Porsche Panamera, Porsche Cayenne, VW Touareg
<生産量が好調な搭載モデル>
Dodge Grand Caravan, Chrysler Town & Country, VW Routan, GM full sized pickups and SUVs, Chevrolet Traverse, GMC Acadia, Buick Enclave, Jeep Wrangler
 

受注

2010年の新規受注は、主に以下の通り。
 -GMの次期型フルサイズピックアップ及びSUV用のフレームアッシー
 -VWの新型中型セダンPassat用の車体及び骨格部品、ウィンドウレギュレーター、デックリッドラッチ、インストパネル、シーリングシステム、B&Cピラートリムカバー、シートシステム一式。 なお、このモデルは、2011年からVWのテネシー州Chattanooga 工場で生産開始予定。

企業買収

2010年は、企業買収による南米地域での基盤強化が顕著であった。
-Resil Minas (ブラジル): 南米最大のシートフレームメーカー。Fiat、Ford、GM、VW、IVECO、PSAに納入。ブラジル国内に4拠点を保有。買収後は、Magna Seating Brazilとして運営。
 -Pabsa S.A. (アルゼンチン); シート、フォーム製品、トリムカバー、シート骨格メーカー。アルゼンチン国内の3拠点を保有。買収後は、Magna Seating Argentina として運営。

その他の企業買収
-Karmann Japan (日本); コンバーチブルシステムメーカー. 買収後は、Magna Steyr日本事業に統合される。
-Erhard & Sohne (ドイツ); 商用車用の燃料タンクメーカー。MAN、Daimler、Scaniaに納入。

合弁会社

-ジーエス(GS)・ユアサコーポレーションは、三菱商事およびマグナと電気自動車(EV)用二次電池の合弁生産について検討を開始した。欧州で2012年からリチウムイオン電池の生産を立ち上げる計画で、現地自動車メーカーに供給する。GSユアサが半数以上を出資、筆頭株主になる模様。(2010年9月18日付日刊自動車新聞より)

-2010年8月にE-Car Systems部門をスピンオフし、Stronach Trustとの合弁により、新会社Magna E-Car Systemsを設立した。出資比率はMagnaが73%、Stronach Trustが27%。

受賞

-Cosma international (ボディー&シャシー部門): 2009 supplier of the year(GM)
-World Excellence awards(Ford)
-Supplier performance award(American Honda Motor)
-Supplier performance award (Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America)
-Supplier performance award(Toyota Motor Europe)
-Excellent Technology Award (Toyota)

売却

- 2010年は、中国での電子部品合弁会社の株式を譲渡。

開発動向

研究開発拠点

-傘下の合弁会社 Magna E-Car Systemsは米国ミシガン州Auburn Hillsに、ハイブリッド・電気自動車システム開発センター、バッテリー・素材試験施設を開設した。この新拠点を含め、同社は北米4拠点、欧州3拠点を保有。これらの拠点で、Ford「Focus EV」、Volvoのハイブリッド、GM向けパワートレインコントローラーといったプログラムに取り組んでいる。

製品開発

-Dynamax (TM)
新型AWDシステム"Dynamax" を開発。Hyundai WIA との合弁会社Wia-Magna Powertrainが生産を立ち上げた。このAWDシステムは、走行状況を常時監視し、AWD システムの要件を予測するインテリジェントコントロールユニットを搭載。先ずはKia の新型Sportageに搭載されるが、今後も車種は増える予定。

-環境対応技術
ポリウレタンフォームのくずをポリオールに再生する技術が評価され、Society of Plastic Engineers (SPE)の自動車部門の環境分野でイノベーションアワードを受賞。この技術は、2011年型Jeep Grand Cherokeeに初めて利用された。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
全社 784 629 739

新興国市場の拡大を事業戦略としており、2010年度のロシア、中国、ブラジル、インドへの設備投資額は全体の19%(2009年は18%)となった。

国内投資(カナダ以外)

<南米>
南米事業の拡大に対応し、設備投資を加速。傘下の事業ユニット、Cosma InternationalとMagna SeatingはブラジルのSao Paulo地域に新工場を設立する。Cosmaの新工場は2011年初頭より、プレス・溶接部品の生産を行う。一方、Magna Seatingの拠点ではシート一式を生産し、GM向けに供給する計画。工場開設は2012年を予定している。
また、Magna Closuresは、ドアハンドルとウィンドウレギュレータを新規受注。それに伴い、Sao Paulo工場の生産能力を拡大すると発表した。なお、この事業ユニットは最近、ブラジルに拠点を置くカーメーカーからミラーも受注している。(2010年10月5日付プレスリリースより)

<ロシア>
-2010年9月、ロシアのサンクトペテルブルグ市近郊に自動車部品工場を3拠点開設したと発表。 うち、2拠点は、Cosma International と韓国Shin Young Metalとの合弁会社が運営し、ボディー&シャシー及びエネルギーマネジメントシステムを現代、GM、日産、VW向け等に生産する。また、3つめの拠点は内外装部品をFordや日産向けに生産する。

-2010年10月、ロシアのKaluga新工場を開設。バンパー、フロントエンドモジュール、ラジエーターグリル(アッセンブリー)、インストパネルビーム(アッセンブリー)を生産し、Volkswagen/Skoda、PSAグループ、Renaultなどに供給する計画。なお、工場のフル稼働は2012年を予定している。(2010年10月28日付プレスリリースより)