Magna International 2007年度(2007年12月期)の動向

ハイライト

業績

単位:百万米ドル 2007年度 2006年度 増減率
(%)
要因
全社
売上高 26,067 24,180 8 -
営業利益 1,150 792 45.0 -
部門別
北米部品 12,977 11,883 9 下記1)参照
欧州部品 6,936 5,624 23 下記2)参照
その他地域部品 411 269 53 下記3)参照
完成車組立て 4,008 4,378 (8) -
ツーリング、生産技術他 1,735 2,026 (14) -

要因
1)北米部品売上

-北米での台あたり平均売上高は11%増加したが、この増加は北米自動車生産台数の2%減少で一部相殺。
- もっと重要なことは、北米最大の取引先の生産台数の悪化傾向が依然として続いていることで、北米全体の2007年の生産台数の減少は前年比2%にとどまっていたにもかかわらず、GMとFordは夫々8%と7%と大きく減少。
同社の車両台あたり平均売上高は、前年の775ドルから84ドル、11%増加して859ドル。主な要因は以下のとおり。

1) 2006年及びそれ以降の新規立ち上げ車種
- Ford Edgeおよび Lincoln MKX;
- Saturn Outlook, GMC Acadia、Buick Enclave;
- GMのフルサイズピックアップ
- BMW X5;
- Jeep Wrangler および Wrangler Unlimited;
- Ford F-シリーズ SuperDuty;
- Dodge Nitro; および
-e Dodge Avenger、Chrysler Sebring
2) カナダドル高による米ドル建て売上高の上昇

上記プラス要因を一部相殺したマイナス要因:
1) 下記車種の生産台数の減少
- Ford Fusion, Mercury Milan および Lincoln Zephyr / MKZ;
- Ford Explorer、Mercury Mountaineer;
- Chevrolet HHR;
2)2006年及び以降の下記車種の生産終了:
- Ford Freestarおよび Mercury Monterey;
- Saturn ION;
- Buick Rendezvous;
- Chrysler Pacifica等
3顧客からの要望に応えた販売価格の引き下げ.

2)欧州部品売上
- 欧州の自動車生産台数の増加は3%だったが、同社の台あたり平均売上高は20%増加したため、欧州での売上げは増加。

同社の車両台あたり平均売上高は、前年の362ドルから73ドル、20%増加して435ドル。主な要因は以下のとおり。:

1) 2006年及びそれ以降の新規立ち上げ車種:
- MINI Cooper;
- Mercedes-Benz C-Class;
- Smart fortwo; および
-e BMW 3-Series;
2) カナダドル高による米ドル建て売上高の上昇.
3)2007年1月の Pressac Investments Limited の工場施設2箇所を含む買収が2006年、およびそれ以降に完了.

上記プラス要因は下記のマイナス要因で一部相殺:
1) 下記モデルの生産台数減少:
- Mercedes-Benz E-Class;
- Volkswagen Golf;
2) 2006年もしくはそれ以降の工場施設等の売却
3)顧客からの要望により販売価格の引き下げ.


3)その他地域での部品売上
- その他地域での売上げは、2006年の269百万ドルから142百万ドル、53%上昇して411百万ドル。

増加の主な要因は下記のとおり。:
1) 2006年およびそれ以降の、韓国、中国、ブラジル、南アにおける新規プロジェクトの立ち上げ;
2)韓国、中国、ブラジルにおける生産の増加
3) ブラジル、中国通貨レートの対ドル高による米ドル建て売上高の上昇。

合弁事業
- 2007年10月、同社は、インドにオイルポンプやウオーターポンプなどのエンジン関連ユニットの合弁生産会社を設立、2009年前半から生産を開始すると発表した。
>>>詳細は 設備投資 を参照

買収
2007年, Pressac から二つの工場施設を総額52百万ドルで買収。

ロシアでの事業展開

- 2007年、 Basic Element Limited の100%子会社Russian Machinesによる同社への大規模戦略的投資手続きを株主の承認を得て完了。Russian Machines はBasic Element の機械部門で、自動車メーカーのGAZ Group、 航空機メーカーのAviacor ならびに鉄道車両メーカーのAbakanvagonmash を含む企業体。この取り決めにしたがい、Russian Machines は、15億4千万ドルを出資して同社の株式を取得。
- 2007年11月、ロシアにおける部品供給について、日系を含む5社の自動車メーカーと交渉を開始。同社は、トヨタ自動車やスズキが進出を予定するサンクトペテルブルグ地区及びロシア系メーカーが拠点を置くヴォルガ地区の2地区に現地工場を設置、2010年の操業を計画。複数メーカーの部品受注を実現することによってスケールメリットを引き出しながら、新興市場での優位性の確立に結びつける。現地生産部品の品目については、プレス部品、内外装の樹脂部品、シートなどを計画している。(2007年11月29日付日刊自動車新聞より)
- 2007年8月、東京都内で会見し、日系自動車メーカーの受注開拓に向けた戦略を明らかにした。この中でトヨタ自動車との取引については、トヨタ系サプライヤーとのパートナーシップの強化に重点を置き、拡大に取り組む。ロシアを始め日系メーカーの進出が遅れていた、英語圏以外の新興地域で人材、生産基盤をすでに確保しているメリットを生かし、トヨタ系サプライヤーとの事業協力の拡大を目指す。同社は現在5%規模の日系向け売り上げ構成比を2010年に10%以上に拡大する計画で、その達成にはトヨタへの拡販が必須としている。(2007年8月22日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費用
‐同社は、以前より技術開発を重視しており、対税前利益で最低7%を研究開発に投入するという政策を企業憲章に記載している。


新製品開発
トータル・ブラインドゾーンマネジメント(TBZM)
‐2007年4月、自動車の死角を大幅に低減する新技術「トータル・ブラインドゾーンマネジメント」(TBZM)を開発したと発表した。後方モニターやコーナーカメラ、複合サイドミラーなどの最新デバイスを統合した技術提案として、自動車メーカーや部品メーカーに売り込む。TBZMは、自動車内外の死角を減らすための統合技術と関連装置の統合コンセプト。後方カメラによるモニター「リバース・エイド リア・カメラ・システム」と、凸面鏡組み込みサイドミラー「ブラインド・ゾーン・ミラー」、後部座席モニター「ベイビー・ビュー」、フロントバンパーカメラ「コーナー・ビュー」、可動ヘッドランプの「予測フロントライト」など、五つのデバイスで構成される。(2007年4月12日付日刊自動車新聞より)

BioFoam(TM)シート:
- 2007年11月、Woodbridge Group及び同社の一事業部門であるIntier Automotive Seatingは、バイオ素材をベースとした、環境負荷の低い自動車用シート製品の販売を開始したと発表した。このほど市販化されたBioFoam(TM)は、バイオ素材をベースとしたポリウレタン発泡材で、大豆油などの様々な植物油から作られる。Woodbridge GroupとIntier Automotive Seatingは連携し、2008年に発売が開始される新型「Ford Escape」向けに、BioFoamを採用したシートクッションを供給する。Woodbridgeが製造したシートクッション用ポリウレタン発泡材をIntierの工場で完成品に組み立て、Fordの拠点に納入する。BioFoamのバイオポリオール含有率は、目下のところ最大40%で、シートクッション、ヘッドレスト、アームレスト、ヘッドライナー及び乗員保護システムなど様々な自動車部品に採用されている(2007年11月25日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資費用

単位:百万米ドル 2007年度 2006年度
設備投資費用 741 793
2007年に 741百万ドルの設備投資を実施。投資は通常の設備更新や生産性向上に充てられるほか、2007年の設備投資の大部分は2007年および2007年以降に立ち上げるプロジェクトのための製造設備に充てられる。対象となる新規プロジェクトは下記のとおり。
- Ford F-Series;
- Ford Flex および Lincoln MKS;
- Jeep Liberty; and
- Chrysler 300/300C および Dodge Magnum.

海外投資
ロシア
- 2007年7月、ロシアにおける自動車メーカーの受注開拓に向けて、現地でフレキシブル生産システムを構築する。ロシアでは日米欧の主力メーカーが生産進出を活発化している半面、当面は各社の生産台数が小規模にとどまる見通しだ。このため、少量多品種生産を効率的にこなせる体制を確立してニーズを吸収、グローバルな拡販に結びつける。(2007年7月23日付日刊自動車新聞より)
中国
- 2007年8月、同社のパワートレインシステム(Magna Powertrain)部門は、江蘇省の常州ハイテク地区に新会社Magna Powertrain (常州) Co. Ltd. を設立したと発表。同部門は、常州で生産工場を操業しているが、このほど新たに研究&開発センターを建設、施設の拡充を図ったもの。Magna Powertrain (常州) Co. Ltd.への投資総額は、5,000万米ドル。新会社.では、目下、トランスミッションオイルポンプ、マスバランスシステム、パワーテイクオフユニット(PTU)を生産しており、これら製品の量産体制が整った時点で、組立も並行して行う。現従業員数は約130人で、上海通用汽車有限公司(SGM:Shanghai General Motors)に製品を納入している。2010年を目処に人員を補充する計画。(2007年8月23日付プレスリリースより)
アジア太平洋地域
- 2007年9月、アジア太平洋地域(AP)の生産能力を増強すると発表。現在の自動車部品を生産している16工場に加えて、2007年中には新たに8工場の稼働を本格化、合計24拠点での量産体制を整える。中国とインドを中心に拡大するもので、成長が見込まれるこれら地域での供給体制を拡充し、優位性の確立に結びつける。さらに、まだ生産進出していないタイでの合弁生産に近くめどをつける見通し。同社は、このところは、APを重点地区においてグローバル生産の拡大に力を入れている。APにおける工場設置は、これまで中国が中心となっていた。当面は、引き続き受注の開拓を見込める中国への投資を活発化していくとともに、現地生産の拡大が確実視されるインドの生産を強化していく方針。(2007年9月5日付日刊自動車新聞より)
メキシコ
- 2007年9月、同社の一事業部門であるルーフシステム(Magna Car Top Systems)部門は、メキシコ・Tolucaの工場施設(リース契約物件)を含む、生産関連資産と生産用機材の一部を取得。買収完了後、事業所名をMagna Car Top Systems de Mexico, S.A. de C.V.と改称した。Magna Car Top Systems de Mexico, S.A. de C.V.は、コンバーチブルモデル用ルーフトップの生産・組立を手掛けており、「Pontiac Solstice」、「 Saturn Sky」、「Opel GT」といったGMの複数車種向けに供給している。同工場は、建屋面積276,000平方フィートの規模をもち、メキシコ・シティーから西40マイルに位置している。従業員数は309人で、プレス、機械がけ、塗装、裁断/接合、溶接といった一連の加工から最終組立作業まで、一環した生産設備を備えている。(2007年9月24日付プレスリリースより)